自治体向けビジネスチャット完全ガイド|
庁内連携・情報共有の効率化と選定ポイント

 島村 奉明

全国の自治体でビジネスチャットの導入が進んでいます。しかし「セキュリティポリシーを満たせるか」「現行のLGWAN環境と共存できるか」「職員が使いこなせるか」という懸念から、導入を検討しながらも踏み出せない担当者も少なくありません。 庁内の情報共有を迅速化しつつ、行政機関として求められる高いセキュリティ基準を維持すること——これが、自治体のビジネスチャット選定が一般企業より難しい理由です。 本記事では、自治体特有のセキュリティ要件・LGWAN対応・情報公開への配慮を整理し、庁内連携・災害時連絡・住民対応を安全かつ効率的に実現するチャットツールの選び方を解説します。

業界別の比較を見たい方は、業界別ビジネスチャット活用事例と導入ポイントをご覧ください。

対象読者

  • 自治体のDX推進担当者や情報システム部門の方
  • 庁内のコミュニケーション効率化を検討している方
  • 厳格なセキュリティ要件を満たすツールを探している方

課題

  • メールや電話中心の業務による情報共有の遅延
  • 部署間連携の非効率や災害時の連絡体制の脆弱性
  • LGWAN環境や情報セキュリティポリシーへの対応

この記事で分かること

  • 自治体でビジネスチャット導入が進む背景と現状の課題
  • 行政機関がツールを選定する際に必須となる要件
  • LGWAN対応やデータ管理に優れたツールの導入メリット

本記事を、庁内の円滑な情報共有とDX推進の参考にしてください。

自治体でビジネスチャット導入が増えている背景

近年、自治体でビジネスチャット導入が増えている背景には、社会全体のデジタル化の波と行政サービスの変化があります。職員の働き方改革や業務効率化を推進する上で、迅速なコミュニケーション環境の構築が不可欠となっているのが理由です。紙や口頭での伝達からデジタルツールへの移行が進む中で、即時性の高い情報共有手段としてビジネスチャットが注目されています。

デジタル庁推進のDX政策と行政のコミュニケーション課題

デジタル庁推進のDX政策と行政のコミュニケーション課題は、自治体が新しいツールを導入する大きな原動力となっています。国は自治体DX推進計画を策定し、行政手続きのオンライン化や業務システムの標準化を強く求めています。このDX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるためには、組織内の円滑な意思疎通が欠かせません。

しかし、従来の行政機関では、部署間の壁や縦割り組織の影響から、横断的な情報共有が難しいというコミュニケーション課題を抱えていました。ビジネスチャットを導入することで、全庁的なプロジェクトを進行する際にも、関係者間での迅速な意見交換や進捗確認をスムーズに行う環境を整備できます。また、テレワークやサテライトオフィス勤務といった多様な働き方が広がる中で、離れた場所にいる職員同士でも円滑に連携できる仕組みが求められています。

メール・電話中心の業務が抱える限界

メール・電話中心の業務が抱える限界も、ビジネスチャットへの移行を後押しする重要な要因です。これまで自治体の業務連絡は、主に電話、メール、そして紙の回覧板や対面での会議に依存していました。しかし、これらの手段では、情報が届くまでに時間がかかったり、過去の経緯を遡るのが難しかったりといった問題が発生します。

以下の表は、従来のコミュニケーション手段が抱える課題と、ビジネスチャットを導入することでどのように改善できるかを整理したものです。

コミュニケーション手段 抱えている課題・限界 ビジネスチャットでの改善点
電話 相手が離席中や対応中の場合は連絡がつかず、伝言の手間が発生する。言った言わないのトラブルが起きやすい。 相手の状況に関わらずメッセージを送信できます。テキストとして履歴が残るため、正確な情報伝達を実現できます。
メール 定型的な挨拶文の作成に時間がかかり、大量の受信トレイから必要な情報を探すのが困難になる。 チャット形式で本題から簡潔に伝えることができます。検索機能を利用して過去のやり取りを素早く見つけ出すことができます。
紙の回覧・対面会議 関係者全員に情報が行き渡るまでに日数を要し、テレワーク中の職員には情報が届かない。 グループチャットを活用して関係者全員へ瞬時に情報を共有できます。場所を問わずオンラインで議論を進行できます。

このように、従来の手段では対応しきれない業務スピードの向上や情報共有の確実性を確保するために、多くの自治体が新しいコミュニケーションツールの導入を進めています。メールや電話の欠点を補い、庁内の情報流通を最適化できるのがビジネスチャットの強みです。他のシステムから通知を受け取る連携機能なども活用することで、業務全体の生産性を高めることができます。

自治体が抱えるコミュニケーション課題

自治体が抱えるコミュニケーション課題

自治体が抱えるコミュニケーション課題は、多岐にわたります。行政サービスの多様化や複雑化が進むなかで、旧態依然とした連絡手段では対応が難しくなっているのが現状です。ここでは、多くの自治体が直面している具体的なコミュニケーション課題についてわかりやすく解説します。

庁内連携の非効率(部署間・職員間の情報断絶)

庁内連携の非効率(部署間・職員間の情報断絶)は、多くの自治体で深刻な課題となっています。縦割り組織の弊害が原因で、部門を超えた情報共有がスムーズに行われないケースが少なくありません。電話やメールを中心とした従来の連絡手段では、情報が特定の担当者に留まりやすく、組織全体としての迅速な意思決定を阻害する要因となっているのが理由です。

また、紙ベースの決裁や回覧板が残っている部署も多く、情報の伝達に物理的な時間がかかってしまうことも課題です。総務省の地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及びAI・ロボティクスの活用に関する研究会の資料などからも、行政機関におけるデジタル化の遅れが業務効率を低下させていることが指摘されています。これらの課題を解決するためには、リアルタイムで双方向のやり取りが可能なシステムを導入し、部署間の垣根を越えた情報共有基盤を構築することが求められます。システムを活用することで、情報を一元管理できます。

災害時・緊急時の連絡体制の脆弱性

災害時・緊急時の連絡体制の脆弱性も、自治体が抱えるコミュニケーション課題として重要なポイントです。地震や台風などの大規模災害が発生した際、自治体は住民の安全を守るための対策本部を迅速に立ち上げ、関係機関と連携する必要があります。しかし、電話回線の輻輳(ふくそう)や停電などが原因で、従来の通信手段が機能しなくなるリスクがあります。

緊急時には、現場の被害状況を正確に把握し、対策本部へ即座に報告できる体制が不可欠です。画像や位置情報をリアルタイムで共有できるシステムが整備されていない場合、初動対応の遅れや被害の拡大を招く恐れがあります。そのため、平常時から利用でき、かつ緊急時にも安定して稼働する堅牢なコミュニケーション基盤の確保が急務となっています。

状況 従来の連絡手段の課題 求められる要件
平常時 電話やメールでは情報の蓄積や検索が困難 日頃から操作に慣れておくことができる直感的なインターフェース
災害時・緊急時 電話回線の輻輳による通信障害、口頭伝達による情報の欠落 テキストや画像で正確な情報を一斉に送信・共有できる安定した通信基盤

住民対応における情報共有の遅延

住民対応における情報共有の遅延は、行政サービスの品質低下に直結する課題です。窓口や電話から寄せられる住民からの問い合わせに対して、担当部署が異なる場合、確認や引き継ぎに時間がかかることがよくあります。情報がシステム上で一元管理されていないと、たらい回しが発生し、住民の不満を招く原因となります。

特に、福祉や子育て、税務などの複雑な案件では、複数の部署が連携して対応する必要があります。このような場面において、担当者間で迅速に情報を共有し、過去の対応履歴を簡単に参照できる仕組みが整っていなければ、適切かつスピーディーな住民対応を実現することは困難です。住民のニーズに的確に応えるためには、庁内でのシームレスな情報連携が不可欠となっています。システムを導入することで、部署をまたいだ情報共有を円滑化できます。

自治体がビジネスチャットを選ぶ際に確認すべき要件

自治体がビジネスチャットを選ぶ際に確認すべき要件

自治体がビジネスチャットを選ぶ際に確認すべき要件は、民間企業がツールを選定する基準とは大きく異なります。住民の機密情報を扱う行政機関では、高度なセキュリティと独自のネットワーク環境への対応が求められるからです。ここでは、自治体がビジネスチャットを導入する際に必ず確認すべき4つの重要な要件についてわかりやすく解説します。

LGWAN対応・閉域網での利用可否

LGWAN対応・閉域網での利用可否は、自治体にとって最も重要な選定基準の一つです。多くの自治体では、インターネットから分離されたLGWAN(総合行政ネットワーク)を利用して日々の業務を行っています。そのため、導入するビジネスチャットがLGWAN環境下でも安全に利用できるかどうかを確認する必要があります。

具体的には、インターネット接続系とLGWAN接続系の双方からアクセスできる構成が構築できるツールを選ぶことが求められます。LGWAN対応のツールを導入することで、職員はセキュリティを担保しながら庁内の情報共有を円滑に進めることができます。また、完全な閉域網であるオンプレミス環境に構築できるツールも、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるための有効な選択肢となっています。

行政の情報セキュリティポリシーへの準拠

行政の情報セキュリティポリシーへの準拠も、欠かせない要件です。各自治体は、総務省が策定した地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインに基づき、独自のセキュリティ基準を設けています。ビジネスチャットのシステムが、これらの厳格な基準を満たしているかを事前に評価する必要があります。

クラウド型のツールを選定する場合は、データセンターの所在地やデータの暗号化方式、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)に登録されているかなどを確認することが重要です。セキュリティ要件を満たすシステムを導入することで、住民の個人情報や機密性の高い行政データを安全に管理できます

権限管理・アクセスログ・監査対応

権限管理・アクセスログ・監査対応の機能が充実していることも、自治体がビジネスチャットを選ぶ際に確認すべき要件に含まれます。庁内には多数の部署が存在し、職員ごとにアクセスできる情報を厳密に制御しなければなりません。そのため、柔軟なアクセス権限の設定や、ユーザーに一意の識別子を付与して管理できる機能が必要です。

また、情報漏洩などのインシデントが発生した際に備えて、誰がいつどのような発言をしたか、どのファイルをダウンロードしたかといったアクセスログを長期間保存できる機能も求められます。以下の表は、監査対応において確認すべき主な機能要件を整理したものです。

機能項目 確認すべき要件
権限管理 部署や役職に応じた細かなアクセス権の設定やゲスト制限が柔軟にできます
ログ取得 メッセージの送受信履歴やファイルの操作履歴を正確に記録できます
監査機能 管理者が過去のログを検索し、必要に応じてデータを抽出できます
データ保存期間 自治体の規定に基づく期間、ログデータを安全に保持できます

モバイル対応と現場での使いやすさ

モバイル対応と現場での使いやすさも、業務効率化の観点から非常に重要です。自治体の業務は庁舎内にとどまらず、災害時の現場対応や施設点検など、外出先での業務も多く発生します。そのため、スマートフォンやタブレット端末から安全にアクセスできるモバイルアプリが提供されているかを確認する必要があります。

モバイル端末から利用する際は、端末にデータを残さない仕組みや、万が一端末を紛失した際に遠隔からデータを消去できるMDM(モバイルデバイス管理)連携などの機能が備わっていると安心です。現場の職員が直感的に操作できるわかりやすい画面設計のツールを選ぶことで、ITリテラシーにばらつきがある職員間でもスムーズにコミュニケーションを図ることができます

Rocket.Chatソリューションカタログ

自治体でのビジネスチャット活用シーン

自治体でのビジネスチャット活用シーン

自治体でのビジネスチャット活用シーンは、庁内の業務効率化から住民サービスの向上まで多岐にわたります。ここでは、具体的な活用方法を3つの視点からわかりやすく解説します。

活用シーン 具体的な活用例 期待できる効果
日常の庁内業務連絡・情報共有 部署間プロジェクトの進行管理、会議資料の共有 意思決定の迅速化、ペーパーレス化の推進
災害・緊急時の迅速な情報伝達 現場からの画像送信、職員の安否確認 リアルタイムな状況把握、初動対応の迅速化
住民窓口対応・問い合わせ管理 バックオフィスへの即時確認、ナレッジの蓄積 窓口の待ち時間削減、住民サービスの向上

日常の庁内業務連絡・情報共有

日常的な業務連絡において、ビジネスチャットは従来の電話やメールに代わる迅速なコミュニケーション手段として活用できます。

部署間をまたぐプロジェクトの進行管理

自治体の業務には、複数の部署が連携して進めるプロジェクトが多数存在します。ビジネスチャットのグループ機能を活用することで、関係者全員が同時に情報を把握できます。これにより、情報の伝達漏れを防ぎ、意思決定のスピードを向上できます。また、タスク管理機能を用いることで、誰がいつまでに何をするのかを明確に可視化できます。

ペーパーレス化と会議の効率化

会議資料の事前共有や、軽微な報告や相談をチャット上で完結させることで、ペーパーレス化を推進できます。総務省が推進する自治体DXの取り組みにおいても、デジタル技術を活用した業務効率化が推奨されています。紙の印刷や配布にかかる手間が省けるだけでなく、過去のやり取りを検索機能で容易に振り返ることができるため、業務の引き継ぎもスムーズに行えます。

災害・緊急時の迅速な情報伝達

災害時や緊急事態において、正確かつ迅速な情報伝達は住民の安全を守るために重要となります。

被災状況のリアルタイムな把握

現場に出向いた職員がスマートフォンなどのモバイル端末から、被害状況のテキストや画像を即座に送信できます。対策本部は現場の状況をリアルタイムで把握できるため、迅速な人員配置や物資の手配に対応できます。電話回線が混雑しやすい災害時でも、インターネット回線を利用するビジネスチャットは比較的つながりやすく、安定した連絡手段として活用できます。

職員の安否確認と初動対応の迅速化

災害発生直後には、全職員の安否確認と登庁可否の把握が急務となります。一斉送信機能やアンケート機能を活用することで、短時間で状況を集約できます。これにより、初動対応にあたる人員を迅速に確保し、組織としての対応力を高められます。

住民窓口対応・問い合わせ管理

住民からの問い合わせ対応においても、バックオフィスとの連携を強化することでサービスの質を向上できます。

窓口とバックオフィスの連携

窓口の担当者が専門的な知識を要する問い合わせを受けた際、ビジネスチャットを通じて即座にバックオフィスの専門部署に確認できます。住民を長時間待たせることなく、正確な回答を提供できるため、窓口業務の負担軽減と住民満足度の向上につなげられます

住民からの問い合わせに対するナレッジ共有

頻出する問い合わせ内容やその回答例を庁内で蓄積し、ナレッジとして共有できます。チャットボット機能と連携させることで、定型的な質問に対する自動応答システムを構築できます。これにより、職員はさらに複雑な個別対応に専念できます。

クラウド型とオンプレミス型の比較|自治体はどちらを選ぶべきか

クラウド型とオンプレミス型の比較|自治体はどちらを選ぶべきか

自治体がビジネスチャットを導入する際、クラウド型とオンプレミス型の比較は非常に重要な検討事項となります。それぞれの特徴を正しく理解し、自庁のセキュリティ要件や運用体制に合ったシステムを選択することが求められます。

クラウド型ビジネスチャットの特徴

クラウド型は、サービス提供事業者のサーバーを利用してシステムを運用する形態です。インターネットを経由して手軽にアクセスでき、サーバーの保守管理を自庁で行う必要がありません。

メリットとして、初期費用を抑えつつ短期間で導入できる点が挙げられます。また、スマートフォンやタブレットからでも容易にメッセージの送受信ができます。一方でデメリットとして、自治体が求める厳密なセキュリティ要件を満たせない場合がある点が挙げられます。データを外部のサーバーに保存するため、機密性の高い情報を扱う際には注意が必要です。

オンプレミス型ビジネスチャットの特徴

オンプレミス型は、自庁内のサーバーやデータセンターにシステムを構築し、運用する形態です。自治体専用の閉域網の内部に環境を構築できます。

メリットとして、データを完全に自組織で管理できるため高いセキュリティを確保できる点が挙げられます。また、既存のシステムと柔軟に連携できるなど、カスタマイズ性にも優れています。デメリットとしては、サーバーの調達や構築に初期費用がかかることや、保守運用を自庁で行う必要があることが挙げられます。

クラウド型とオンプレミス型の比較表

それぞれの特徴をわかりやすく比較すると、以下のようになります。

比較項目 クラウド型 オンプレミス型
初期費用と導入期間 安価で短期間に導入できる サーバー構築のため費用と期間がかかる
セキュリティとデータ管理 事業者のセキュリティ基準に依存する 自庁のポリシーに合わせて厳密に管理できる
カスタマイズ性 標準機能の範囲内に限られる 柔軟にカスタマイズやシステム連携ができる
保守と運用 事業者が行うため手間がかからない 自庁で専門的な運用管理を行う必要がある

自治体はどちらを選ぶべきか

結論からお伝えしますと、自治体においてはセキュリティ要件とデータの管理体制を最優先に考慮して選択する必要があります。総務省「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」でも示されている通り、自治体が扱う情報は極めて高い機密性が求められます。

そのため、住民の個人情報や機密情報を日常的にやり取りする環境では、LGWAN(総合行政ネットワーク)などの閉域網で安全に運用でき、データを自組織で完全に管理できるオンプレミス型や、それと同等のセキュリティを確保できるプライベートクラウド型が適している場合が多いと言えます。一方で、公開情報の共有や外部との連絡を主目的とする場合は、クラウド型を選択することも有効な手段となります。

→ 官公庁向けビジネスチャットの選定ポイントについては「官公庁向けビジネスチャット選び方ガイド」もあわせてご覧ください。

Rocket.Chatが自治体に選ばれる理由

Rocket.Chatが自治体に選ばれる理由

Rocket.Chatが自治体に選ばれる理由は、行政機関に求められる厳格な情報セキュリティ要件を満たしつつ、効率的なコミュニケーション環境を構築できるためです。ここでは、具体的な選定ポイントをわかりやすく説明していく内容となっています。

オンプレミス・プライベートクラウド対応でデータを自組織管理

オンプレミス・プライベートクラウド対応でデータを自組織管理できることは、Rocket.Chatの大きな特徴です。自治体が扱う情報は機密性が高く、外部のサーバーにデータを預けるパブリッククラウド型のシステムでは、情報漏えいのリスクを懸念する声が少なくありません。Rocket.Chatであれば、庁内のサーバーや専用のプライベートクラウド環境にシステムを構築できます。

これにより、すべてのメッセージ履歴や添付ファイルを自組織の管理下で安全に保管できます。また、総務省が推進する自治体情報セキュリティ対策のガイドラインに沿った運用体制を構築できます。細かなアクセス制御や監査ログの取得も標準機能として備わっており、万が一の事態にも迅速な原因究明や対策を実施できます。

LGWAN環境でも活用できる柔軟な構成

LGWAN環境でも活用できる柔軟な構成を備えていることも、自治体で高く評価されているポイントです。LGWAN(総合行政ネットワーク)は、地方公共団体を相互に接続する行政専用の閉鎖的なネットワークであり、インターネットから分離された安全な環境となっています。

多くのクラウド型ビジネスチャットはインターネット接続を前提としていますが、Rocket.Chatは閉域網であるLGWAN環境内に構築できます。そのため、インターネットから分離された安全な環境のまま、庁内の職員同士で円滑にコミュニケーションを図ることができます。LGWAN環境とインターネット接続環境の違いによるシステムの適性を比較すると、以下のようになります。

環境 特徴 Rocket.Chatの対応状況
LGWAN環境(閉域網) インターネットから切り離された高度なセキュリティ環境 オンプレミス構築により安全に利用できます
インターネット接続環境 外部のクラウドサービスなどを利用する一般的な環境 プライベートクラウド構築などで柔軟に対応できます

このように、Rocket.Chatは各自治体のネットワーク構成やセキュリティポリシーに合わせて柔軟に導入できます。外部からの不正アクセスを防ぎつつ、庁内の部署間や職員間の連携を強化できるため、多くの自治体から信頼されるシステムとなっています。

既存の庁内システムとシームレスに連携できる拡張性

既存の庁内システムとシームレスに連携できる拡張性も、Rocket.Chatが多くの自治体から評価されている理由の一つです。自治体の情報システムは、文書管理システム・グループウェア・防災情報システムなど、長年にわたって構築・運用されてきた多様なシステムが存在します。新しいコミュニケーションツールを導入する際、これらの既存システムと連携できるかどうかは、業務効率化の観点から非常に重要な選定基準となります。

Rocket.Chatは、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて外部システムからの通知をチャット上に自動配信したり、SSO(シングルサインオン)連携によって既存の庁内認証基盤をそのまま活用したりすることができます。これにより、職員が新たなIDやパスワードを管理する手間を省き、セキュアな環境を維持しながら導入時の現場負担を最小限に抑えられます

以下の表は、自治体での主な連携用途を整理したものです。

連携対象システム 活用例
庁内認証基盤(Active Directory等) SSOにより既存アカウントでログインできます
文書管理・グループウェア 更新通知や承認依頼をチャットへ自動配信できます
防災・情報システム 災害アラートや気象警報をチャンネルへ即時通知できます
FAQボット・チャットボット 住民対応の定型質問に自動応答する仕組みを構築できます

既存システムとの連携により、バラバラに運用されていた情報をチャット上に集約できるため、職員が複数のシステムを行き来する手間を削減し、庁内業務全体の生産性向上につなげることができます

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よくある質問(FAQ)

自治体でLINEやSlackなどの一般的なチャットツールを使うのはなぜ問題なのですか?

LINEやSlackなどの一般的なクラウド型チャットツールは、データが外部サーバーに保存されるため、住民の個人情報や機密性の高い行政情報の取り扱いに適さない場合があります。総務省のガイドラインでは情報資産の分類に応じた管理が求められており、セキュリティ要件を満たすツールを選定することが重要です。シャドーIT(非公認ツールの業務利用)は情報漏えいリスクにもつながります。

LGWAN環境でもビジネスチャットは使えますか?

対応しているツールであれば利用できます。LGWAN(総合行政ネットワーク)はインターネットから分離された閉域網のため、一般的なクラウド型チャットはそのままでは利用できません。オンプレミス型のツールをLGWAN環境内に構築するか、LGWAN接続系とインターネット接続系の双方からアクセスできる構成を取る必要があります。導入前に対応可否を必ず確認してください。

自治体がビジネスチャットを導入する場合、オンプレミスとクラウドのどちらが向いていますか?

住民の個人情報や機密性の高い情報を日常的に扱う場合は、データを自組織で完全に管理できるオンプレミス型またはプライベートクラウド型が適しています。一方、公開情報の共有や外部との連絡が主目的であればクラウド型も選択肢になります。自庁のセキュリティポリシーやネットワーク構成を踏まえ、情報システム担当部門と連携して判断することを推奨します。

職員のITリテラシーにばらつきがある場合、定着させるためのポイントは何ですか?

直感的に操作できるUI設計のツールを選ぶことが最初の一歩です。加えて、管理者向けの操作マニュアルの整備と、導入初期の職員向け研修の実施が定着率を高めます。また、まず特定の部署や業務(例:災害時連絡・会議連絡)に限定して試験運用を行い、効果を実感した職員が周囲に広める方法も有効です。ベンダーのサポート体制が充実しているかも選定時に確認してください。

災害時にビジネスチャットは本当に使えますか?電話回線が混んでいる場合でも大丈夫ですか?

ビジネスチャットはインターネット回線(データ通信)を使用するため、音声通話が集中して繋がりにくくなる電話回線の輻輳(ふくそう)の影響を受けにくい特徴があります。テキストや画像で被害状況を対策本部へ即座に送信したり、安否確認や一斉通知を行ったりする用途に活用できます。ただし、インターネット回線自体の障害時には利用できないため、平常時からの訓練と複数の通信手段の確保が重要です。

まとめ

自治体がビジネスチャットを導入するうえで重要なポイントは、大きく3つに整理できます。

第一に、LGWAN対応・閉域網での利用可否を確認することです。一般企業向けのクラウド型ツールをそのまま使うことは、自治体のセキュリティ環境では難しい場合がほとんどです。第二に、総務省ガイドラインや各自治体の情報セキュリティポリシーへの準拠です。権限管理・監査ログ・データ保存期間など、行政機関特有の要件を満たすツールを選ぶ必要があります。第三に、現場での定着しやすさです。セキュリティが強固でも、職員が使いこなせなければ意味がありません。

庁内の業務連絡から災害時の緊急連絡、住民窓口のバックオフィス連携まで、ビジネスチャットは自治体の多様な場面で活用できます。「どのツールが自庁の環境に合うか」「オンプレミスとクラウドのどちらが適切か」など、要件整理の段階でお悩みの場合は、自治体へのビジネスチャット導入支援の実績を持つ三和コムテック株式会社にお気軽にご相談ください。

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この記事の執筆・監修者
島村 奉明
三和コムテック株式会社
Rocket.Chatプロダクトマネージャー
PCハードメーカーの企画営業としてエンタープライズ企業を担当、2023年三和コムテックに入社。
新規ソリューションの営業・企画面にて参画。中小企業から年商1,000億円以上の企業まで幅広く対応。
PCIDSS保持に関するセキュリティソリューションの導入を支援。脆弱性診断系を専門分野とする。
近年は、金融機関、カード会社、流通事業者へのセキュリティコミュニケーションツールとしてオンプレミスチャットの導入を推進。Security情報の啓蒙活動に従事し、お客様イベントにて講演多数。

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