RPAは、これまで人が行ってきた業務の一部をロボットが代替する仕組みであり、経営上の新たな戦略として導入する企業が増えています。この記事では、RPAをどのような業務に導入すべきかお悩みの方に向けて、実際に活用されている事例をいくつかご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
RPAの導入事例
RPAとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の頭文字を取った用語です。人があらかじめ設定したシナリオに沿って、ロボットが定型作業を自動化するソリューションです。
近年、人手不足に悩まされている企業は少なくありません。限られた人員でも業務の効率性を上げられるため、あらゆる業種でRPAを導入するシーンが増えています。そこで以下では、RPAを使ったさまざまな活用事例についてご紹介します。
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「家庭用・業務用ゴミ袋で国内シェアトップを誇る企業」のRPA活用事例
ゴミ袋を製造しているあるメーカーでは、AXやExcelを使っている業務が多く、情報の共有や見える化、業務効率化が大きな壁となっていました。そこで海外拠点もふくめて組織横断的にプロジェクトを立ち上げ、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進することになりました。
同社が考えたのは、大きな骨組みとしてシステム化し、細かい部分はRPAを導入して自動化することです。まずRPAでは、インターネットを対象に、取引先2,000社にわたる与信情報の収集業務に着手しました。従来、この作業は管理本部のスタッフが手分けし、すべて人の手で行ってきたものです。それをRPAツールである「AutoMate」にて自動化したことで、年間266時間の余力が生まれたのは大きな成果です。また、初めてのRPA化にもかかわらず、2週間もかからずに導入できたといいます。
「グループ会社のマネジメントを行う企業」のRPA活用事例
グループ企業全体の財務や経営をマネジメント統括する企業では、毎月の入金管理ファイルを作成して、グループ企業全体の資金の流れや取引先との関係性などをチェックしています。しかし、月末はどうしても業務が集中するため、ファイル作成に3時間ほどかかるのが悩みの種でした。そこで、入金管理ファイル作成を自動化できるRPAツールとして、「AutoMate」を導入しました。
RPAのプログラムは、基幹システムへアクセスして入金データを取得したあと、Excelにコピーします。次に、必要な部分をさまざまなExcelにコピーしていくというシンプルな仕組みです。その結果、これまで3時間かかっていた作業を、ごく易しいプログラムで40分程度まで短縮することに成功しました。単発ではなく毎月発生するからこそ、そのメリットは大きなものと考えられます。
「建設・土木機械のレンタルおよび販売を手掛ける企業」のRPA活用事例
建設や土木業で機械の総合レンタルを行う企業では、月次の売上資料を作成しています。その資料は多岐にわたり、機種別の賃貸売上管理や拠点別得意先売上管理など10種類におよびます。
IBMi にアクセスしてファイルから該当のデータをExcelへ送り、拠点別や取引先別などによって仕分けてファイルを作成します。これは毎月必ず発生する作業であり、人の手に頼った方法では非効率になったり、どうしてもミスが発生したりするのが課題となっていました。
そこで、ひとまず機種別売上管理表の作業についてRPA化を進めたところ、50分ほどかかっていた作成時間を数分に短縮できました。RPAにより、複数ファイルの集約に成功した事例です。
「住宅・不動産業を営む企業」のRPA活用事例
東証第一部上場のある不動産メーカーでは、年間700〜800棟以上の戸建て分譲住宅を販売しています。個々に手掛けた住宅の建築や施工では、配置や換気など細かな設計図を作成し、保存する作業が不可欠です。図面を1枚1枚スキャンし、それらのデータを個別のフォルダへ格納する作業に手間がかかっていました。
そこで、該当のフォルダへ自動振り分けできる方法を考案しました。まず、図面にそれぞれカバー用紙を添えて、「カバー用紙、図面」の順番でスキャンします。さらに、カバー用紙のデータを「AutoMate」のOCR機能により読み取る仕組みです。その結果、約40本のRPAで年間1,700時間以上の稼働削減に成功しています。
設計図面をスキャンして個々別々のフォルダに入れる際の作業負荷と担当者のストレスを、RPAのOCR機能を活用することで改善できた事例です。
「臨床検査・医療研究サービスを提供する企業」のRPA活用事例
海外で臨床検査や医療研究サービスを提供している企業では、人材のリソース不足が課題でした。検査・試験データの収集やホストシステムへのアップロード、レポートの生成・配布といった作業は、トレーニングを受けたごく少数しか担当できないうえに、すべて手作業で行っていました。予定通りに作業が進まない場合は、ほかの部門や顧客、取引先などに大きな影響を与えてしまうこともあります。
そこでRPA化を進めることで、作業可能な人が少人数であっても、滞りなく業務を遂行できるようになりました。従来、ひとつのレポートの作成に1時間以上かかっていたところ、導入後はそうした負担から解放され、労働環境改善にもつながった事例です。
「家庭用製品や自動車部品の製造を行う企業」のRPA活用事例
海外の家庭用製品や自動車部品のメーカーでは、基幹業務の一元管理に向けERP製品を導入したものの、システムメンテナンスなどは逆に実質2倍もの時間を要するようになってしまいました。
たとえば各営業日の終業時に、12種類の運用レポートを手動で各サイトから作成し、アプリケーション上で組み合わせたうえで、生産計画などのダッシュボードとして見られるようにする作業に毎日4時間かかっていたといいます。
RPAツールの「AutoMate」を導入したところ、これらの作業を自動化できたほか、ERPともスムーズに連携できるようになりました。結果として、1週間あたり25時間以上の事務処理時間を節約することに成功しています。
「電力事業により年間数十億の収益を誇る企業」のRPA活用事例
通常、電力会社が発電と電気の安定した供給を行うには、数千台にのぼるポンプやバルブ、ガスタービンなどの稼働状況をリアルタイムに監視し、継続的に測定しなければなりません。
ある電力会社では、電力システムにトラブルが発生した場合、すべてのイベントログを確認・取得するのに数時間かかるなど、システム担当者の負担増が懸念されていました。この問題を解決すべく、自社で監視・測定データを自動的に取得するアプリケーションを開発したものの、データ量が多すぎてクラッシュしてしまうリスクも新たに生まれてしまいました。
最終的に「AutoMate」を導入し、イベントログの収集・蓄積を自動化できるロボットを開発することで、データ損失の100%削減を実現できたとのことです。また、セキュリティに関しても向上したと報告されています。
まとめ
RPAの用途はあらゆる可能性を秘めており、情報の共有化や見える化、毎月のファイル作成、監視作業・継続的測定などで大きなメリットが生まれています。また、図面作成が欠かせない不動産業界では、RPAツールのOCR機能を使って業務改善につなげた例も見られます。
今回ご紹介したものはほんの一例ですが、自社でどのように活用できるか、この機会にぜひご検討ください。
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