【業界別】RPA導入事例10選|自動化した業務と効果をAutoMateの実例で紹介

  

「RPAを導入したいが、自社のどの業務に使えるのかイメージできない」「他社は実際にどんな成果を出しているのか知りたい」。業務自動化を検討し始めた担当者の多くが、まずこの壁にぶつかります。RPAは業界や部門によって効果が出る業務が大きく違うため、一般的な機能説明を読んでも、自社に当てはめるのが難しいからです。

この記事では、RPAツール「AutoMate」を導入した国内外10社の事例を業界別に紹介し、各社がどの業務を自動化して、どんな効果を得たのかを解説します。部門別の活用例や、成功した企業に共通するポイント、自社で導入を進める手順もあわせて紹介します。

対象読者

  • RPAの導入を検討している経営者・部門責任者
  • 日々の定型作業を効率化したい経理・営業事務・情シス担当者
  • 少人数で業務を回す必要がある中小企業の担当者

課題

  • 自社のどの業務にRPAを適用できるか判断できない
  • Excel集計やシステムへの転記作業に多くの時間を取られている
  • IT専任者がおらず、導入後にツールを運用できるか不安がある

この記事で分かること

  • 製造・物流・金融など業界別のRPA導入事例10選と削減時間
  • 経理・人事・営業など部門別に自動化しやすい業務の具体例
  • 事例から導き出されたRPA導入の成功パターンと失敗回避策

各企業の自動化プロセスと成果を確認し、自社の業務改善にお役立てください。

RPA導入事例の全体像|業界・部門・企業規模で自動化する業務はどう違う?

RPA導入事例の全体像|業界・部門・企業規模で自動化する業務はどう違う?

RPA導入事例の全体像を把握するうえで、業界や部門、企業規模によって自動化する業務の対象や目的が異なる点を押さえておくことが重要です。自社の状況に近い切り口から事例を見ることで、導入後にどのような業務時間を削減できるかがわかります。

業界・部門・企業規模ごとの主な自動化対象と導入目的の違いを次の表に整理しました。

切り口 主な自動化対象の業務 導入の主な目的
業界別 製造業のERP連携、物流業のFAX受注処理、金融業の顧客情報照合など、業界特有のシステムや商習慣に関わる定型業務 基幹システムへの手入力削減、紙帳票のデータ化、大量データの迅速な処理
部門別 経理の請求・入金消込、人事の勤怠集計、営業のレポート作成、情シスのログ収集など、バックオフィスを中心とする共通業務 月次・日次の締め処理の短縮、入力ミスの防止、本来業務への時間シフト
企業規模別 大企業は複数部門にまたがる大量データの処理、中小企業は少人数で兼任している日常の事務作業や定型レポート作成 大企業は全社的なコスト削減と統制強化、中小企業は人手不足の解消と属人化の防止

このように、企業が抱える課題によってRPAの活用方法は多様です。具体的な事例を確認する前に、まずはRPAの基本的な仕組みと、自動化に適した業務の条件を整理します。

RPAとは?事例を読む前に押さえたい基本

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、人間がパソコン上で行っている定型的な事務作業を、ソフトウェアのロボットが代行して自動化する仕組みのことです。総務省の「令和元年版 情報通信白書」においても、業務改革と生産性向上を実現する技術として位置づけられています。

RPAツールを導入すると、あらかじめ設定した手順に従い、複数のアプリケーションやシステムをまたいだ作業を正確に実行できます。たとえば、業務システムから出力したCSVファイルのデータをExcelに転記し、集計結果をメールで送信するといった一連の作業を無人で処理できます。

よく比較される技術にExcelの「マクロ(VBA)」や「AI(人工知能)」がありますが、それぞれ役割が異なります。マクロは原則としてMicrosoft Office製品内の自動化に限定されるのに対し、RPAはブラウザや基幹システム、OCR(光学文字認識)ツールなど、パソコン上の幅広いソフトウェアを横断して操作できます。また、AIが過去のデータから学習して「判断」を行う技術であるのに対し、RPAは人間が決めたルール通りに「作業」を遂行する技術です。

基幹システムを直接改修する場合は多額の費用と開発期間が必要になりますが、RPAは既存のシステム画面を人間と同じように操作して連携できるため、システム自体に手を加えず短期間で自動化を始められるのが利点です。

RPAで自動化しやすい業務に共通する3つの特徴

RPAで自動化しやすい業務には、共通する3つの特徴があります。導入事例で高い成果を上げている企業は、これらの条件に合致する業務を優先して選んでいます。

  • 手順とルールが明確に決まっていること
  • 定期的に発生し、処理するデータ量が多いこと
  • パソコン上のデジタルデータで完結すること

1つ目の特徴は、作業の判断基準が明確で、例外処理が少ないことです。RPAは決められたルール通りに動くため、「Aの条件ならBに入力する」といった手順が定まっている業務であれば、途中で停止することなく最後まで処理を完了できます。反対に、担当者の経験やその場の状況に応じた判断が求められる業務は、RPA単体での自動化には向きません。

2つ目の特徴は、毎日・毎週・毎月といったサイクルで繰り返し発生し、かつ手作業では時間がかかる大量の処理であることです。月に数分しかかからない作業を自動化しても開発や設定の手間を回収できませんが、毎日1時間かかる日次レポートの作成や、数千件に及ぶ取引先データの照合などを自動化すれば、削減できる作業時間が大きくなり高い費用対効果を得られます。

3つ目の特徴は、業務で扱う情報がデジタルデータになっていることです。RPAはパソコンの画面上でデータを読み書きするため、Webブラウザ、Excel、基幹システムなどの間でデータをやり取りする業務をそのまま自動化できます。なお、FAXの受注票や紙の図面といったアナログな書類が起点となる業務であっても、文字をデータ化するOCRツールなどと組み合わせることで、RPAの処理対象に組み込むことができます。

【業界別】RPAの導入事例10選|AutoMateで自動化した業務と効果

【業界別】RPAの導入事例10選|AutoMateで自動化した業務と効果

業界別のRPAの導入事例10選として、RPAツールであるAutoMateで自動化した業務と効果を紹介します。総務省の情報通信白書でも、労働力不足の解消や業務効率化に向けたデジタル活用の重要性が示されていますが、実際にどの業務に適用できるか具体的なイメージを持てないケースも少なくありません。以下の表は、各業界における自動化の対象業務と導入効果を整理した一覧です。

業界 自動化した業務 導入効果
製造業 取引先約2,000社の与信情報の収集と更新 年間約266時間を削減
製造業(自動車部品) 12種類の日次レポートの集計とERP連携 週25時間以上を削減
物流業 FAX受注データの取り込みとファイル監視 社員27名のまま事業を拡大
建設機械のレンタル・販売 IBM iのデータを使う売上レポートの作成 作成時間を約50分から数分に短縮
グループ経営(経理業務) 複数口座の入金データ取得と入金管理ファイルの作成 作成時間を約3時間から約40分に短縮
住宅・不動産業 OCRと連携した図面のテキスト抽出とフォルダ仕分け 年間1,700時間以上を削減
銀行業 複数システムを横断した顧客情報の確認と照合 導入5カ月でROI 3,800%を達成
保険業 月末の締め処理と業績レポートの作成・配信 業務期間を3営業日以上短縮
臨床検査・医療研究 検査機器からのデータ収集とレポート配信 手作業による転記ミスをゼロ化
電力業 監視システムのイベントログ収集と保存

取得漏れによるデータの欠損を防止

製造業:取引先約2,000社の与信情報の収集を自動化し、年間約266時間を削減

製造業において、取引先約2,000社の与信情報の収集を自動化し、年間約266時間を削減した事例です。この企業では、審査部門の担当者が外部の信用調査会社のWebサイトへアクセスし、取引先ごとの評点や財務情報を手作業で検索・ダウンロードして社内システムへ転記していました。取引先の数が多いため、定期的な見直し作業のたびに膨大な工数がかかり、本来注力すべき審査業務を圧迫していたのが課題です。

AutoMateの導入後は、信用調査会社のWebサイトへのログインから企業コードの検索、最新データの取得、社内データベースへの格納までを自動化できます。夜間や休日にスケジュール実行することで、担当者が手作業で行うことなく最新の与信情報を収集でき、年間約266時間の作業時間を削減しました。あわせて、手入力による転記ミスや確認漏れも防げるようになっています。

製造業(自動車部品):12種類の日次レポートの集計とERP連携を自動化し、週25時間以上を削減

製造業(自動車部品)において、12種類の日次レポートの集計とERP連携を自動化し、週25時間以上を削減した事例です。生産管理部門では、毎日各工場の生産実績や在庫状況、出荷データなどをERP(企業資源計画)システムから抽出し、Excelで加工して12種類の日次レポートを作成していました。早朝から複数の担当者がデータ集計に追われ、会議資料の準備に多くの時間を費やしていたのが実情です。

この業務にAutoMateを適用したことで、ERPからのデータ抽出やExcelマクロの実行、レポートのフォーマット整形、関係者へのメール配信までを一貫して処理できます。始業前にすべてのレポート作成が完了するため、週25時間以上の定型業務を削減できただけでなく、朝の会議で最新の生産状況を即座に共有できる体制を構築しました。

物流業:FAX受注データの取り込みとファイル監視を自動化し、社員27名のまま事業を拡大

物流業において、FAX受注データの取り込みとファイル監視を自動化し、社員27名のまま事業を拡大した事例です。物流の現場では依然としてFAXによる注文が多く、受信したFAXのPDFファイルを担当者が常時確認し、内容を目視で読み取って倉庫管理システムへ手入力していました。取引量の増加に伴い入力作業が限界に達していたものの、人手不足により新規採用も難しい状況にありました。

そこで、特定のフォルダにFAXの受信ファイルが保存されたことを検知するファイル監視機能を用い、データの取り込みから基幹システムへの登録までを自動化しました。AutoMateはファイル生成をきっかけに自動で処理を開始できます。結果として、人員を増やすことなく増加する受注処理に対応でき、社員27名の体制を維持したまま事業の拡大を実現しています。

建設機械のレンタル・販売:IBM iのデータを使う売上レポートの作成を約50分から数分に短縮

建設機械のレンタル・販売を行う企業で、IBM iのデータを使う売上レポートの作成を約50分から数分に短縮した事例です。この企業では基幹システムとしてIBM i(旧AS/400)を利用しており、営業担当者が毎日エミュレータ画面を操作して営業所別のレンタル稼働状況や売上データを抽出し、Excelに貼り付けてレポートを作成していました。データの抽出条件が複雑で、毎日約50分の作業時間が発生していたのが課題です。

AutoMateの端末エミュレータ連携機能を活用することで、IBM iの画面操作やコマンド実行をバックグラウンドで自動処理できます。エミュレータから取得したデータを直接Excelファイルへ出力して集計できるため、毎日約50分かかっていた売上レポートの作成時間をわずか数分に短縮し、営業担当者が顧客対応に使える時間を増やしました。

グループ経営(経理業務):入金管理ファイルの作成を約3時間から約40分に短縮

グループ経営(経理業務)において、入金管理ファイルの作成を約3時間から約40分に短縮した事例です。グループ全体の経理業務を請け負うシェアードサービス部門では、毎朝複数の銀行の法人向けインターネットバンキングにログインし、グループ各社の口座の入出金明細をダウンロードして入金管理ファイルを作成していました。口座数が多いため、ログインと明細取得を繰り返すだけで毎日約3時間を要していました。

AutoMateの導入により、複数の金融機関のWebサイトへのログイン、ワンタイムパスワードや電子証明書の処理、明細データのダウンロード、所定フォーマットへの転記を自動化しました。一部の例外確認を除いて自動で処理が進むため、入金管理ファイルの作成時間を約3時間から約40分に短縮し、経理担当者の朝の業務負担を軽減しています。

住宅・不動産業:OCRとRPAで図面の仕分けを自動化し、年間1,700時間以上を削減

住宅・不動産業において、OCR(光学的文字認識)とRPAで図面の仕分けを自動化し、年間1,700時間以上を削減した事例です。設計・施工管理部門では、協力会社から送られてくる大量の建築図面や仕様書のPDFファイルを開き、記載されている物件名や図面番号を目視で確認したうえで、該当する案件フォルダへ手作業で振り分けていました。ファイル数が膨大であり、ファイル名の変更や移動作業に多くの時間を取られていました。

この課題に対し、OCRで図面内の特定箇所から物件名や管理番号をテキストデータとして読み取り、その情報を基にAutoMateがファイル名を自動で変更して指定の階層フォルダへ格納する仕組みを整えました。OCRとRPAを組み合わせることで、目視確認と手作業による図面の仕分けが不要になり、年間1,700時間以上の工数を削減しています。

銀行業:20名で3週間かかった顧客情報の確認を自動化し、導入5カ月でROI 3,800%を達成

銀行業において、20名で3週間かかった顧客情報の確認を自動化し、導入5カ月でROI(投資利益率)3,800%を達成した事例です。コンプライアンス対応や定期的な顧客データ整備の一環として、行内の複数のシステムに分散している顧客の属性情報や取引履歴を突き合わせ、不整合がないか確認する業務が発生していました。従来は20名の担当者を動員し、約3週間かけて画面の照合と確認作業を行っていました。

AutoMateを用いて複数システムからのデータ取得と照合ルールに基づく突合処理を自動化したことで、不一致の可能性があるデータのみを抽出して人間が確認するフローへ変更できました。結果として、大規模な人員動員をなくして短期間で正確な確認を完了できるようになり、導入から5カ月でROI 3,800%という高い投資対効果を達成しています。

保険業:月末の締め処理と業績レポートの作成・配信を自動化し、業務を3営業日以上短縮

保険業において、月末の締め処理と業績レポートの作成・配信を自動化し、業務を3営業日以上短縮した事例です。保険会社の営業企画部門では、月末から月初にかけて全国の支社や代理店の契約実績データを集計し、経営層や各拠点向けの業績レポートを作成していました。複数システムからのデータ出力と膨大なExcelファイルの集計作業が重なり、月末の締め処理からレポート配信までに数営業日を要していました。

AutoMateで夜間のバッチ処理としてデータ抽出と集計、グラフの更新、PDF化、各拠点へのメール配信までを自動化しました。担当者が不在の夜間帯に処理を進めることができるため、月末の締め処理から業績レポート配信までの期間を3営業日以上短縮し、月初の迅速な営業戦略の立案に貢献しています。

臨床検査・医療研究:検査データの収集からレポート配信までを自動化

臨床検査・医療研究の分野において、検査データの収集からレポート配信までを自動化した事例です。検査センターでは、各種の分析機器から出力される検査結果のCSVデータを収集し、検査管理システムへの取り込みや医療機関向けの報告書フォーマットへの変換を行っていました。医療に関わるデータであるため1件の転記ミスも許されず、ダブルチェックを含めて検査技師や事務スタッフに大きな心理的負担がかかっていました。

AutoMateを導入し、分析機器の共有フォルダに出力されたデータを自動で検知してシステムへ連携し、報告書の作成から医療機関への安全な配信までを自動化しました。人の手を介さずにデータを処理できるため、手作業による転記ミスや取り違えのリスクをゼロにし、検査スタッフ本来の分析業務に専念できる環境を実現しています。

電力業:監視システムのイベントログ収集を自動化し、データの欠損をなくす

電力業において、監視システムのイベントログ収集を自動化し、データの欠損をなくすことに成功した事例です。発電所や変電所の設備を管理する部門では、インフラの安定稼働を維持するために、複数の監視システムから定期的にイベントログや稼働データを収集して保管する必要がありました。しかし、古い監視システムではログの保存期間や容量に制限があり、担当者が手動でバックアップを取る際に作業タイミングの遅れから古いデータが上書きされ、欠損が生じるリスクを抱えていました。

そこで、AutoMateのスケジュール機能を使い、毎日決まった時刻に各監視システムへアクセスしてイベントログを取得し、外部のストレージへ保存する処理を自動化しました。異常検知時には管理者へアラートメールを送信することもできます。定期的なログ収集を無人化したことで、手動対応の遅れによるデータの欠損を完全になくし、設備の予防保全に必要な記録を確実に蓄積できるようになりました。

【部門別】RPAの活用事例

【部門別】RPAの活用事例

【部門別】RPAの活用事例は、どの業界の企業にも共通して存在するバックオフィス業務や営業サポート業務に集中しています。総務省などの公共機関でも業務効率化に向けたRPAの導入が推進されており、定型作業の自動化は官民を問わず重要な課題です。自社のどの部署から導入を始めるべきか判断できるよう、主要な4つの部門とExcel業務における具体的な活用方法を整理しました。

対象部門/業務 主な自動化の対象業務 連携する主なシステム/データ 導入後に期待できる効果
経理・財務部門 請求書処理、入金消込、仕訳入力 会計システム、ネットバンキング、OCR 月次決算の早期化、入力ミスの防止
人事・総務部門 勤怠集計、未打刻アラート、給与計算連携 勤怠管理システム、給与計算システム、メール 締め日直前の残業削減、確認漏れの解消
営業・営業事務 受注データ入力、在庫確認、売上レポート作成 販売管理システム、SFA/CRM、EDI 顧客対応スピードの向上、コア業務への集中
情報システム部門 システム監視、ログ収集、アカウント管理 サーバー、Active Directory、クラウド管理画面 夜間・休日の無人運用、障害検知の迅速化
Excel業務 複数ファイルの集計、システム間のデータ転記 Microsoft Excel、CSVファイル、各種基幹システム 手作業による集計時間の短縮、転記ミスの撲滅

経理・財務部門:請求書処理と入金管理の自動化

経理・財務部門における請求書処理と入金管理の自動化は、金銭に関わる入力ミスを防ぎ、月末月初の業務負担を軽減するために有効です。経理業務は会計基準や社内規定によって処理ルールが明確に定められているため、RPAのシナリオ(自動化の手順)に落とし込みやすいという特徴があります。

請求書処理では、取引先からメール添付やWebシステム経由で受領したPDFの請求書データをRPAが自動でダウンロードできます。さらに、OCR(光学文字認識)と連携させることで、請求金額や支払期日などのテキストデータを抽出し、会計システムへ仕訳データとして自動登録できます。

また、入金管理においては、複数のネットバンキングから入出金明細を自動で取得し、販売管理システムの請求データと照合する入金消込を自動化できます。振込手数料の差額パターンやカナ名義の揺らぎをあらかじめルールとして設定しておけば、一致するデータはシステム上で即座に消込処理を完了できます。金額の不一致など、人の判断が必要な例外データのみを担当者へメールで通知する仕組みにすることで、確認作業の時間を大幅に短縮できるのが利点です。

人事・総務部門:勤怠集計と給与計算の自動化

人事・総務部門における勤怠集計と給与計算の自動化は、毎月の締め日付近に集中する確認作業とデータ連携の負荷を平準化するために活用されています。従業員数が多い企業ほど対象データの件数が膨大になるため、手作業からRPAへ切り替えることで高い時間削減効果を得られます。

具体的な活用例として、勤怠管理システムからのデータ抽出と打刻漏れのチェックが挙げられます。RPAが毎日または月末の指定日時に勤怠管理システムへログインし、打刻漏れや残業時間の超過がある従業員をリストアップできます。抽出された対象者およびその上長に対して、修正や承認を促すリマインドメールを自動送信できるため、人事担当者が個別に連絡する手間が省けます。

確定した勤怠データを給与計算システムへ連携する作業も自動化の対象です。勤怠管理システムから出力したCSVファイルを、給与計算システムの指定フォーマットに合わせて加工・インポートする一連の作業を無人で実行できます。あわせて、月の途中で発生した入退社や異動、扶養家族の変更といった人事マスタの更新情報を、複数の関連システムへ一括で反映させる業務にも応用できます。

営業・営業事務:受注入力と売上レポート作成の自動化

営業・営業事務における受注入力と売上レポート作成の自動化は、バックオフィス業務の時間を削減し、顧客への提案活動や問い合わせ対応といったコア業務に時間を割くために重要です。取引先ごとに異なる注文方法や、複数システムにまたがるデータ集計をRPAが代行できます。

受注入力業務では、ECサイトの管理画面やWeb-EDI(電子データ交換)、メールなどで届く注文データをRPAが定期的に監視・取得できます。取得した情報から品番や数量、納品先を読み取り、社内の販売管理システムや基幹システムへ自動で転記できます。在庫管理システムと連携して引き当て状況を確認し、在庫が不足している場合は購買部門や営業担当者へアラート通知を送る処理も組み込めます。

売上レポートの作成においては、SFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)や基幹システムから日々の売上実績データを抽出し、所定のフォーマットへ集計・グラフ化する作業を自動化できます。毎朝始業前にRPAを稼働させるスケジュールを組んでおけば、営業担当者は出社後すぐに最新の数値を確認でき、迅速な営業戦略の立案につながるのがメリットです。

情報システム部門:ログ収集とシステム監視の自動化

情報システム部門におけるログ収集とシステム監視の自動化は、社内のITインフラを安定稼働させつつ、エンジニアの夜間・休日対応や定常運用の負担を減らすために導入されています。24時間365日の稼働が求められる監視業務や、厳格な手順が定められたメンテナンス作業はRPAの得意分野です。

ログ収集業務では、社内のファイルサーバーやネットワーク機器、クラウドサービスの管理画面へRPAが定期的にアクセスし、アクセスログやエラーログを自動でダウンロードできます。収集したログファイルを統合し、不正アクセスの兆候や容量逼迫などの異常値を検知した際に管理者へ即時通知する体制を構築できます。これにより、目視による確認漏れを防ぎ、内部統制やセキュリティ監査への対応を強化できます。

システム監視だけでなく、入退社や人事異動に伴うアカウント管理の自動化も広く行われています。人事部門が作成した申請ファイルをもとに、Active Directoryやグループウェア、各種業務用ツールのID発行・権限付与・アカウント削除をRPAが一括で処理できます。手作業による権限設定のミスや削除漏れといったセキュリティリスクを低減できるのが導入の理由です。

Excel業務の自動化:集計・転記作業をRPAで効率化する例

Excel業務の自動化として集計・転記作業をRPAで効率化する例は、特定の部門を問わずあらゆる職場で最初に着手されやすい取り組みです。日本企業ではMicrosoft Excelが帳票作成やデータ管理の基盤として広く使われており、システム間のデータ受け渡しにExcelやCSVファイルが介在するケースが多いためです。

Excel内部の計算や整形だけであればマクロ(VBA)でも自動化できますが、RPAはExcel以外の外部アプリケーションをまたいだ操作を自動化できる点に違いがあります。たとえば、Webブラウザ上の管理画面からデータをダウンロードし、Excelで加工したうえで、別の基幹システムへアップロードするといった一連の業務フロー全体を自動化できます。

具体的な活用場面として、各拠点や店舗からメールで送られてくる日報や予算管理のExcelファイルを1つのマスターファイルへ統合する作業が挙げられます。RPAを使えば、特定フォルダへのファイル保存から、データのコピー&ペースト、表記ゆれの修正、PDF変換、関係者へのメール配信までを完全に自動化できます。専門的なプログラミング知識がなくても画面上の操作を直感的に設定できるツールが多いため、現場主導での業務改善を進めやすいのが特徴です。

中小企業のRPA導入事例|少人数でも効果を出すポイントは?

中小企業のRPA導入事例|少人数でも効果を出すポイントは?

中小企業のRPA導入事例からわかる少人数でも効果を出すポイントは、属人化しやすい定型業務を優先して自動化の対象に選ぶことです。大企業のように大量の人員を配置できない中小企業では、1人の担当者が複数の業務を兼任しているケースが少なくありません。そのため、特定の従業員に集中しているルーティンワークをRPAツールに任せることで、少人数の組織であっても業務時間の削減やコア業務への集中といった明確な成果を得ることができます。

実際に、中小企業庁が公開している調査データや支援策においても、人手不足を補う手段としてデジタル化や業務自動化ツールの導入が推奨されているのが現状です。第2章で紹介した社員27名の物流業の事例のように、人員を増やさずに事業規模を拡大できたケースは、限られたリソースを最大限に活かす中小企業ならではの成功例といえます。

中小企業でRPAが効果を出しやすい業務

中小企業でRPAが効果を出しやすい業務は、毎日または毎月の決まったタイミングで発生し、手順が明確に定まっているバックオフィス業務や営業事務です。中小企業ではシステム間の連携が手作業で行われていることが多く、データの転記や照合に多くの時間が割かれている傾向があるためです。

具体的にどのような業務が自動化に向いており、導入によってどのような変化が生まれるのかを以下の表に整理しました。

対象業務 自動化前の課題(誰が・何をしているか) RPA導入後の変化(何が・どう変わるか)
受発注データの入力 営業事務の担当者が、メールやFAXで届く注文書を見ながら販売管理システムへ手入力しており、入力ミスや残業が発生している。 RPAツールが指定フォルダのデータを読み取り、販売管理システムへ自動登録できるため、担当者は確認作業のみに集中できる。
請求書の発行・配信 経理担当者が、月末に基幹システムから売上データを抽出し、取引先ごとのフォーマットに合わせてPDF化してメールで送付している。 スケジュール機能により、夜間や休日にデータの抽出からPDF作成、メールの下書き保存までを無人で完了できる。
日次・月次の実績集計 管理職や担当者が、複数のファイルやシステムからデータを集め、会議資料用のグラフや表を手作業で更新している。 毎朝出社する前に最新の数値が集計・反映されたレポートを自動生成でき、意思決定や分析のスピードが向上する。

このように、システムを改修することなく、人間がパソコン画面上で行う操作をそのまま代行できる領域から着手することで、短期間で投資対効果を実感しやすくなります。

IT専任者がいなくても運用を続けるための工夫

IT専任者がいなくても運用を続けるための工夫として最も重要なのは、プログラミングの専門知識を必要とせず、現場の担当者自身が直感的に操作・修正できるRPAツールを選定することです。中小企業では情報システム部門が存在しない、あるいは1人の担当者が社内インフラの保守からヘルプデスクまでを兼務しているケースが一般的だからです。

もし高度なコーディングが必要なツールを導入してしまうと、業務手順や利用するシステムの画面が変更された際に、現場でシナリオ(自動化の処理手順)を修正できずに運用が停止してしまいます。IT専任者が不在の環境で継続的にRPAツールを稼働させるには、以下の3つの体制づくりとルール設定が欠かせません。

  • ドラッグ&ドロップなどのマウス操作を中心に、日本語の画面で設定できるツールを選ぶ
  • 1つのシナリオに多くの処理を詰め込まず、「データ取得」「加工」「入力」のように工程を分けてシンプルに作成する
  • ベンダーのサポート窓口や操作トレーニングを活用し、社内で最低2名以上の担当者が設定内容を理解できる状態にする

特に、処理工程を細かく分けて作成する工夫は、エラーが発生した際の原因特定を容易にするために有効です。現場の業務を最もよく知る担当者が自らメンテナンスできる環境を整えることが、少人数の組織でRPAの運用を定着させる鍵となります。

10社が選んだRPAツール「AutoMate」とは?事例から見える3つの特長

10社が選んだRPAツール「AutoMate」とは?事例から見える3つの特長

10社が選んだRPAツール「AutoMate」とは、三和コムテック株式会社が国内で提供している業務自動化のためのRPAツールです。プログラミングの知識がなくても、日本語の操作画面から必要な処理(アクション)をドラッグアンドドロップで組み合わせるだけで、自動化シナリオを作成できます。

前半で紹介した10社の導入事例を分析すると、業種や企業規模を問わずAutoMateが選ばれ、実際に業務時間の削減につながっている背景には、以下の表にまとめた3つの特長があることがわかります。

AutoMateの3つの特長 連携・対応できる対象 自動化によって得られる具体的な変化
既存の基幹システムとの直接連携 IBM i(AS/400)、ERP、データベース、Excel、Webブラウザ 基幹システムの改修を行わずに、データ抽出やシステム間の転記作業を自動化できます。
OCRやFAXとの組み合わせ AI-OCRツール、複合機、FAXサーバー、PDFファイル、ネットワークフォルダ 紙の帳票や図面をデータ化し、基幹システムへの入力やフォルダへの仕分けまでを一貫して処理できます。
スケジュール・イベント起動による無人実行 日時指定、特定フォルダへのファイル格納、メール受信、システムログの発生 担当者が不在の夜間や休日に、月次締め処理や日次レポート作成を自動で完了できます。

IBM iやERPなど、既存の基幹システムとそのまま連携できる

IBM iやERPなど、既存の基幹システムとそのまま連携できる点は、長年にわたり独自のシステムを構築・運用してきた企業にとって大きな利点です。一般的なRPAツールでは、画面上の座標や画像認識に頼って操作を行う場合が多く、画面レイアウトの微細な変更で処理が停止してしまう課題があります。

これに対しAutoMateは、エミュレータ接続用の専用アクションやデータベースへ直接クエリを発行する機能、さらにAPI連携機能を標準で備えています。既存の基幹システムに手を加えることなく、バックグラウンドで安全かつ高速にデータを抽出・投入できます。

例えば、建設機械のレンタル・販売業の事例ではIBM i(AS/400)から直接データを抽出し、自動車部品の製造業の事例ではERPと連携して日次レポートを出力しています。システム改修のコストや期間をかけずに、現場主導で自動化の範囲を広げられるのが特長です。

OCRやFAXと組み合わせて、紙の書類が絡む業務も自動化できる

OCRやFAXと組み合わせて、紙の書類が絡む業務も自動化できるため、取引先とのやり取りに紙媒体が多く残っている業界でも導入が進んでいます。RPA単体では紙の書類を直接読み取ることはできませんが、文字認識を行うOCR(光学的文字認識)ソフトやFAXサーバーと連携させることで、データ化から後続の処理までを自動化できます。

具体的には、FAXで受信した注文書やスキャナで読み取った図面が特定のフォルダにPDFや画像として保存されると、AutoMateがOCRソフトを起動してテキストデータへ変換します。その後、変換されたCSVデータやテキスト情報をAutoMateが読み取り、基幹システムへの転記や取引先別フォルダへの自動振り分けを実行できます。

物流業におけるFAX受注データの取り込みや、住宅・不動産業での図面仕分けの事例のように、これまで担当者が目視で行っていた確認と手入力の作業を大幅に削減できるのが強みです。

スケジュールやイベントをきっかけに、夜間・月末の処理を無人で実行できる

スケジュールやイベントをきっかけに、夜間・月末の処理を無人で実行できる機能は、業務の平準化と残業時間の削減に直結します。人の手でロボットの起動ボタンを押す必要があるツールの場合、結局は担当者がパソコンの前にいなければならず、稼働時間帯が日中の営業時間内に制限されてしまいます。

AutoMateには多様な起動条件(トリガー)が用意されており、「毎月最終営業日の22時」といったカレンダーや時刻の指定に加え、「指定フォルダに新しいファイルが格納されたとき」「特定の件名のメールを受信したとき」「システムのイベントログが記録されたとき」といった事象を検知して自動で処理を開始できます。業務時間外である夜間や早朝にデータ集計やシステム監視を無人で完了させ、翌朝には担当者が確認作業からすぐに業務を始められる環境を構築できます。

保険業における月末締め処理の3営業日短縮や、電力業における監視システムの24時間ログ収集は、このトリガー機能を活用することで達成されています。エラー発生時には管理者へメールで通知し、画面のスクリーンショットを自動で保存して原因特定を補助できるため、無人環境でも安定した運用を継続できるのが理由です。

事例から見えるRPA導入の成功パターンと失敗パターン

事例から見えるRPA導入の成功パターンと失敗パターン

事例から見えるRPA導入の成功パターンと失敗パターンには、業務プロセスの整理状況や運用体制の構築方法に明確な違いがあります。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入で期待通りの削減効果を得ている企業は、ツールを稼働させる前の事前準備と、稼働後の保守管理のルール化を徹底しているのが特徴です。

成功した企業に共通する3つのポイント

RPAの導入に成功した企業に共通する3つのポイントは、対象業務の絞り込み、現場とIT部門の連携、そして導入前の業務フローの見直しです。これらを実行することで、開発期間の短縮と安定した稼働を両立できます。

定型業務からスモールスタートで自動化の範囲を広げる

成功している企業は、最初から複雑で大規模な業務を自動化しようとするのではなく、ルールが明確な定型業務から小さく始めています。例えば、日次の売上レポート作成や入金データの照合など、判断基準が固定化されている単一の業務を最初の対象に選ぶ方法です。

小さな業務でロボットの開発からテスト、本番稼働までの一連の流れを経験することで、社内に開発と運用のノウハウが蓄積されます。最初は1つの部門の特定業務に絞ってスモールスタートを切り、確実に削減効果を出してから他部門へ横展開するアプローチが、結果として全社的な自動化を早めることにつながります。

現場部門と情報システム部門の役割分担を明確にする

業務の具体的な手順や例外処理のパターンを最も深く理解しているのは現場の担当者であり、セキュリティ管理やシステム連携の知識を持つのは情報システム部門です。成功事例では、この両者がそれぞれの強みを活かして協力する体制が組まれています。

具体的には、現場部門が自動化したい業務の手順書を作成し、情報システム部門が基幹システムへのアクセス権限の設定やサーバー環境の監視を担うといった分担です。総務省が公開している「自治体におけるRPA導入ガイドブック」においても、庁内の推進体制として業務所管課と情報政策担当課が連携し、役割分担を明確にすることの重要性が示されています。

自動化ありきではなく導入前に業務プロセスを標準化する

RPAを導入する前に、既存の業務手順に無駄がないかを見直し、誰が作業しても同じ結果になるように業務プロセスを標準化しておくことが重要です。担当者ごとにファイルの保存場所が異なっていたり、データの入力規則が統一されていなかったりする状態でロボットを作成すると、条件分岐が複雑になり開発コストが膨らみます。

不要な承認フローの廃止や入力フォーマットの統一を先に行うことで、ロボットのシナリオ(動作手順)がシンプルになり、稼働後のエラー発生率を低く抑えることができます。

よくある失敗例と、事前に避けるための対策

RPA導入でよくある失敗例と、事前に避けるための対策を把握しておくことは、投資対効果を高めるうえで不可欠です。導入そのものが目的化してしまうと、稼働後にロボットが停止したまま放置される事態を招きます。

よくある失敗例 発生する原因 事前に避けるための対策
ロボットが頻繁に停止し、使われなくなる 例外処理が多い業務や、画面レイアウトが頻繁に変わるシステムを対象にしている ルールが固定化された業務を選び、画面操作ではなくAPIやデータベース連携を活用する
担当者の異動や退職で修正できなくなる(ブラックボックス化) 特定の担当者だけで開発を行い、設計書や手順書が残されていない 作成ルールを統一してドキュメント化し、複数人で管理する体制を作る
野良ロボット(管理外のロボット)が増加する 現場部門が独自の判断でロボットを量産し、情報システム部門が把握できていない 開発申請と承認のフローを設け、実行ログや稼働状況を一元管理できるツールを導入する

例外処理が多い業務を選んでしまいメンテナンスに追われる

人間の曖昧な判断が必要な業務や、取引先ごとにフォーマットが異なる書類の処理などをそのままRPAに任せようとすると、例外パターンへの対応だけで膨大な設定が必要になります。さらに、連携先のWebサイトやシステムの画面レイアウトが変更されるたびにロボットが停止し、その修正作業に時間を取られてしまいます。

対策として、人間の判断が必要な工程とルール通りに処理できる工程を切り分け、定型化された部分だけをRPAの対象にすることが挙げられます。また、画面上のボタンの位置を認識させる方式だけでなく、バックグラウンドで直接データをやり取りできる機能やデータベース連携機能を持つRPAツールを選ぶことで、画面変更によるエラーを回避できます。

担当者の異動でロボットがブラックボックス化する

プログラミングの知識を持つ一部の社員や、熱心な現場担当者1人だけにRPAの開発を任せてしまうと、その担当者が異動や退職をした際に、誰もロボットの中身を修正できなくなる「ブラックボックス化」が起きます。エラーで停止しても原因がわからず、元の手作業に戻ってしまうケースは少なくありません。

この問題を防ぐには、ロボットを作成する際の命名規則やコメントの記入ルールを社内で統一し、第三者が見ても処理内容がわかる仕様書を残すことが対策となります。あわせて、専門的なコードを書かずにマウス操作で設定できるRPAツールを採用し、複数の担当者がメンテナンスできる状態を維持することが大切です。

全社的な管理ルールがなく「野良ロボット」が発生する

各部門のパソコンにインストールして手軽に使えるRPAツールを導入した場合、現場主導で自動化が進む反面、情報システム部門が把握していない「野良ロボット」が増殖するリスクがあります。管理されていないロボットが夜間や月末に一斉に稼働すると、社内ネットワークや基幹システムに過度な負荷をかけ、業務全体の遅延を引き起こす原因になります。

事前に避けるための対策として、導入初期の段階で「どの業務を誰が自動化し、いつ稼働させるか」を登録・承認するガバナンス(統制)の仕組みを作ることが求められます。サーバー上でロボットの稼働スケジュールや実行ログを一元管理できるRPAツールを活用すれば、不正なアクセスやシステム負荷の集中を防ぎながら、安全に自動化の範囲を拡大できます。

自社でRPAの効果を出すには?事例を参考にした導入の進め方

自社でRPAの効果を出すには?事例を参考にした導入の進め方

自社でRPAの効果を出すには、事例を参考にした導入の進め方を段階的に実践していくことが重要です。他社の成功事例で自動化された業務をそのまま模倣するのではなく、自社の業務構造やシステム環境に合わせて計画を立てる必要があります。具体的には、対象業務の選定からRPAツールの比較、全社的な目的の共有という3つの手順を踏むことで、導入後の形骸化を防ぎ、確実な業務効率化につなげることができます。

自動化する業務を洗い出し、優先順位を決める

自動化する業務を洗い出し、優先順位を決める作業は、RPAの導入効果を早期に引き出すための最初の工程です。まずは各部門の担当者から日常の定型業務を収集し、作業時間や発生頻度、手順の複雑さといった客観的な指標で一覧化します。

最初から全社の複雑な業務を一度に自動化しようとすると、ロボットの構築に時間がかかり、運用開始までに挫折する原因となります。そのため、まずは手順が明確で修正の少ない小規模な定型業務から着手し、段階的に対象範囲を広げていく進め方が有効です。

洗い出した業務の優先順位を決める際は、以下の4つの評価軸を用いて点数化すると、着手すべき業務がわかりやすく整理できます。

評価軸 確認する内容 優先度が高くなる条件の例
削減できる工数 1回あたりの作業時間と、月間の発生頻度を掛け合わせた合計時間 毎日30分以上発生している、または月末に複数人で数日間作業している業務
ルールの明確さ 作業手順がマニュアル化されており、担当者の経験に基づく判断が不要か 数値や文字列の条件分岐のみで処理が完結し、例外処理がほとんど発生しない業務
データの形式 業務で扱うデータが最初からデジタル化されているか CSVファイルやデータベースから直接データを取得でき、紙の書類の読み取りが不要な業務
業務の影響度 人的ミスが発生した際のリスクや、処理の遅延が後続業務に与える影響 金額の転記ミスが許されない経理処理や、営業開始前に完了させる必要がある日次集計

 これらの基準に照らし合わせ、「削減できる工数が大きく、かつロボットの開発難易度が低い業務」を最優先の自動化対象として設定します。最初の業務で確実な時間削減の成果を出すことで、社内での理解が得られやすくなり、次の業務への展開が円滑に進みます。

自社に合うRPAツールを選ぶ

自社に合うRPAツールを選ぶ際は、自動化の優先順位が高い業務の特性と、それを開発・維持する社内の体制を基準に比較します。RPAツールは製品によって稼働する環境や操作性が異なるため、自社のシステム環境に適さないものを選ぶと、想定した業務が自動化できない事態に陥ります。

RPAツールは、大きく分けてサーバー型、デスクトップ型、クラウド型の3種類に分類されます。それぞれの特徴と適した用途は以下のとおりです。

種類 稼働環境と特徴 適している企業や業務の条件
サーバー型 サーバー上で複数のロボットを一元管理でき、大量のデータ処理やシステム連携を実行できます。 複数部門をまたぐ業務や、夜間・休日に無人でスケジュール実行したい基幹業務がある場合
デスクトップ型 担当者個人のパソコンにインストールして稼働させ、個人の手元作業を自動化できます。 特定の担当者しか行わない小規模な業務や、部門単位で予算を抑えて小さく始めたい場合
クラウド型 インターネット上の環境で稼働し、専用サーバーの構築なしにWebブラウザ上の操作を自動化できます。 自動化したい対象がクラウドサービス中心であり、社内システムとの連携が不要な場合

稼働環境の選択とあわせて、誰がロボットを作成・保守するのかという視点も欠かせません。現場の業務担当者が自ら作成する場合は、画面上の操作を記録したり、アイコンを並べたりするだけで設定できる操作性の高いRPAツールが適しています。一方で、情報システム部門が主導して基幹システムや外部ソフトウェアと連携させる場合は、API連携や細かなエラー通知設定ができる拡張性の高い製品を選ぶ必要があります。

また、業務手順や利用しているシステムの画面仕様が変更された際、ロボットの修正作業が必ず発生します。そのため、導入前の無料トライアルや概念実証(PoC)を通じて、自社の実際の業務画面を正確に認識できるか、エラー発生時に社内の担当者だけで修正できるかを確認することが重要です。自社での解決が難しい場合に備え、日本語での技術サポート窓口やオンライン研修が提供されているかも確認しておくと安心です。

働き方改革や人手不足対策としての位置づけを明確にする

働き方改革や人手不足対策としての位置づけを明確にすることは、現場の協力を得てRPAの運用を定着させるために不可欠です。総務省の令和6年版 情報通信白書でも示されているとおり、国内の生産年齢人口が減少するなかで、デジタル技術を活用した業務の省力化は多くの企業にとって急務となっています。

しかし、経営層や推進担当者が「コスト削減」や「人員の削減」ばかりを強調して導入を進めると、現場の担当者から「自分の仕事が奪われるのではないか」「新しいツールの学習負担が増えるだけではないか」という反発を招くことがあります。現場の協力が得られないままでは、自動化できる業務の洗い出しが進まず、RPAツールを導入しても使われなくなってしまいます。

こうした事態を防ぐには、RPAの導入目的を「従業員を単純作業から解放し、働きやすい環境を作ること」として社内全体に周知する必要があります。具体的には、RPAの活用によってどのような変化を目指すのかを、以下のように定義して共有します。

  • 月末や期末に集中していた残業時間を削減し、定時で退社できる体制を作る
  • 手作業による入力ミスや確認漏れのプレッシャーから担当者を解放し、心理的な負担を軽減する
  • 単純な転記や集計にかけていた時間を、顧客への提案活動や業務改善の企画といった人間ならではの業務へ振り向ける

さらに、RPAによって削減できた時間をどの業務に再配分するのかまでをセットで計画し、部門ごとの目標として設定することが効果的です。たとえば、「日次のレポート作成を自動化して生まれた毎日1時間を、既存顧客へのフォロー連絡に充てる」といった具体的な活用方針を決めておきます。これにより、現場の担当者も導入のメリットを実感しやすくなり、自律的に自動化の対象業務を広げていく文化が育まれます。

よくある質問(FAQ)

RPAの導入事例にはどんなものがありますか?

RPAの導入事例には、業界や企業規模を問わず、パソコン上で行う定型作業を自動化したものが数多く存在します。具体的には、複数のシステムをまたぐデータの転記、Webサイトや外部データベースからの情報収集、および定型レポートの作成・配信という3つのパターンに大別できます。

たとえば、経理部門における請求書データと入金データの照合、営業事務におけるFAX受注データの基幹システムへの登録、情報システム部門におけるサーバーのログ収集などが代表的な業務です。人間が画面を見ながらルール通りに進めていた作業をRPAツールに置き換えることで、処理時間の短縮と入力ミスの防止を同時に達成している事例が一般的です。

自動車業界ではRPAでどんな業務を自動化していますか?

自動車業界では、完成車メーカーから部品メーカー(サプライヤー)に至るまで、取引先との受発注データ連携や生産管理に関わる日次レポートの集計業務をRPAで自動化しています。自動車業界特有の商慣習として、各完成車メーカーが提供する専用のWeb EDI(電子データ交換)システムへ毎日ログインし、発注データや内示データをダウンロードする作業が挙げられます。

担当者が手作業で複数の取引先ポータルサイトを巡回し、取得したCSVファイルを自社のERP(企業資源計画)システムや生産管理システムへ取り込む作業は、多大な時間を要します。RPAを導入して早朝にこれらのデータ取得からシステム連携、さらには現場向けの生産指示書や日次レポートの出力までを自動実行させることで、担当者が本来注力すべき納期調整や在庫管理に時間を割けるようになります。

中小企業でもRPAを導入して効果は出ますか?

中小企業でも、業務の選定とツールの選び方を適切に行うことで十分な導入効果が出ます。大企業のように1つの業務で年間数千時間を削減するような規模ではなくても、1人の担当者が複数の業務を兼任しているケースが多い中小企業では、毎日30分の定型作業を複数自動化するだけで、残業時間の削減やコア業務への集中といった明確な効果が表れます。

中小企業庁が公表している調査データなどでも、人手不足への対策としてITツールやRPAを活用し、生産性を向上させている企業の取り組みが確認できます。特に、初期費用や固定費を抑えられるライセンス体系のRPAツールを選び、まずは受発注入力や日次の売上集計といった身近な業務から小さく始めることが、中小企業で費用対効果を高めるための条件です。

RPAの導入に失敗する企業にはどんな特徴がありますか?

RPAの導入に失敗する企業には、業務プロセスの整理を行わずに複雑な業務から自動化に着手してしまうこと、および作成されたロボットの管理体制(ガバナンス)が欠如していることという特徴があります。

例外処理が多い業務や、担当者の経験則による判断が含まれる業務をそのままRPAに組み込もうとすると、開発期間が長期化するだけでなく、稼働後もエラーが頻発します。また、現場の担当者個人にロボットの作成と運用を任せきりにしてしまうと、その担当者が異動や退職をした際に誰も設定を変更できなくなる「ブラックボックス化」を招きます。失敗を防ぐには、ルールが明確な業務から優先して自動化し、仕様書の作成やエラー発生時の連絡フローを標準化しておくことが不可欠です。

RPAの導入効果はどのように測ればよいですか?

RPAの導入効果を測る際は、削減できた作業時間や人件費などを数値化する「定量的効果」と、業務品質や従業員の負担軽減などを評価する「定性的効果」の2つの軸で測定するのが基本です。それぞれの具体的な評価指標は以下の通りです。

評価の軸 主な測定指標 具体的な算出・評価方法
定量的効果 削減時間・コスト換算額・ROI(投資利益率) 「(1回あたりの手作業時間 - RPA実行時の人間関与時間)× 年間実行回数」で年間削減時間を算出し、担当者の時給を掛けて金額換算します。そこからRPAのライセンス費用や開発・保守コストを差し引くことで、投資対効果を算出できます。
定性的効果 ヒューマンエラーの減少・業務の標準化・従業員満足度 手入力による転記ミスや確認漏れの発生件数の推移、夜間や休日の自動実行による納期短縮の度合い、および定型作業から解放されたことによる従業員の心理的負担の軽減などをアンケートやヒアリングで評価します。

導入直後は削減時間やROIといった定量面に目が向きがちですが、中長期的には「ミスの許されないプレッシャーからの解放」や「属人化していた業務の可視化」といった定性面の効果も合わせて評価することで、社内でのRPA活用をさらに推進しやすくなります。

まとめ

まとめ

RPAの導入では、データ収集や集計、システム間の転記といった定型業務を自動化することで、業界や企業規模を問わず作業時間の短縮と人為的ミスの防止を実現できます。

導入効果を得るためには、担当者が現場の業務を洗い出して優先順位をつけ、IBM iやERPなどの既存システム、OCRと連携できる「AutoMate」のような自社環境に合ったツールを選ぶことが必要です。

まずは本記事の事例を参考に、自社の定型業務から自動化の対象を選定し、段階的な導入を進めてみてください。 


この記事の執筆・監修者
三和コムテック株式会社
AutoMateプロダクト事業部三和コムテックは、お客様の「必要」をいち早く察知し、先取りする“新市場創出型”のITテクノロジー企業です。
DXやRPA、IBMi、セキュリティなど多彩な領域でソフトウェア開発・導入支援・コンサルティングを行い、
技術と発想の力で企業の課題解決と新たな価値創造を支援しています。
ブログでは、現場で培った知見をもとに、ビジネスを前進させる最新ソリューションやテクノロジー情報を発信します。

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