Rocket.Chatとは? 業界別活用シーンにおける使い方や
導入メリットを解説

 2023.12.28  三和コムテック

テレワークの普及に伴い、コミュニケーションの効率化に課題を抱える企業が増えています。現在では、多様なチャットツールが登場しているものの、情報セキュリティ事故を懸念する声も絶えません。本記事では、閉域網でシステムを構築できるビジネスチャットツール「Rocket.Chat」の概要と特長を紹介します。

Rocket.Chat (ロケットチャット)とは

「Rocket.Chat」とは、150か国以上、約1,200万人のユーザーをもつビジネスチャットツールであり、ソフトウエア開発のプラットフォーム「GitHub」にソースコードが公開されているオープンソース(OSS)型のソフトウエアです。クラウドサービス(SaaS)として提供されているツールの場合、自社の目的にあわせてカスタマイズできる範囲は限られます。

しかし、OSSで利用できるRocket.Chatであれば、社内利用に限定した閉域網(オンプレミス環境)やプライベートクラウド環境に導入するなど、企業の目的に応じた適切な環境で活用できます。また、Rocket.Chatは単なるチャットツールではありません。プラグインの導入によりChatGPTと連携したり、Google Calenderと連携したりすることも可能です。

必要に応じてチャットボットを追加して活用するなど、コラボレーションツールとしてさまざまなコミュニケーションの一元管理を可能にします。

Rocket.Chatが選ばれている背景

コロナ禍をきっかけとしたテレワークの浸透により、コミュニケーションの課題に直面する企業が増えています。対面で会話できるオフィス環境とは異なり、テレワーク環境ではメールや電話を使ってコミュニケーションを取る必要があり、スムーズな業務の遂行が困難になっていました。

現在では、多様なコミュニケーションツールが登場し、幅広い分野で導入が進められています。ファイルの共有やグループウエア、チャットなど、目的に応じて複数のツールを活用するケースも珍しくありません。このような状況で懸念されるのは、情報がそれぞれのツールに埋もれ、正しく共有できない状況に陥るサイロ化です。

Rocket.Chatは、コミュニケーションの効率化だけでなく、情報のサイロ化防止にも有用なソリューションです。近年では、社会情勢が大きく変化したことにより、サイバー攻撃による被害はますます深刻化しています。SaaSで提供されているツールは、常にインターネットへ接続して利用することが前提となるため、サイバー攻撃の標的となりやすく、機密情報を扱う業界では導入を懸念する声も高まっています。

このような背景から、近年では、オンプレミス回帰の動きが顕在化しています。上述したように、Rocket.Chatは閉域網(オンプレミス環境)の導入に適したツールなので、セキュリティ性向上の施策としてRocket.Chatを導入することも有効です。

Rocket.Chatの基本機能

Rocket.Chatの主な機能は「グループチャット」「ファイル共有」「ビデオ通話」「タスク管理・カレンダー機能」の四つです。

グループチャット機能では、メンション機能によって重要なメッセージの確認漏れを防止できます。メインとなるスレッドとは別の独立したスレッドで会話できる機能もあり、重要な会話をやり取りしている途中で他者に遮られる事態を回避できるのも特長です。
メッセージを一覧表示できる機能により、必要な情報へスムーズにアクセスできるため、確認作業の手間を削減できます。ゲスト機能の実装により、外部のゲストともスムーズにやり取りできる環境も整備できます。

Rocket.Chatのファイル共有機能では、直観的なドラッグ&ドロップで操作できるため、アップロード操作に手間を要しません。検索機能を用いて必要な情報をスムーズに探し出し、ダウンロードすることも可能です。

近年では、ビジネスの場面でビデオ通話を利用するシーンも増えました。Rocket.Chatには、ビデオ通話機能も搭載されています。ビデオ通話機能では、プラグインを用いてZoomなどのオンライン会議サービスと連携することが可能です。
画面共有機能を活用すれば、事前に資料を共有する手間を減らせます。さらに、グループチャット内で参加通知を共有すれば、会議の招集に時間を割く必要はありません。録音・録画機能を利用してボイスメッセージやビデオメッセージをチャンネルに投稿する機能も搭載されています。

また、タスク管理機能では、プロジェクト管理ツールのTrelloなどと連携して活用することも可能です。SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツール同士を連携できるため、異なるツール間でチャットのやり取りを行えます。さらに、チャットボット機能も利用できます。

Rocket.Chatの主な特徴

多様な機能を実装しているRocket.Chatには、SaaSで提供されている他のコミュニケーションツールとは異なるOSSならではの特長があります。

セキュリティ性が高い

Rocket.Chatは、閉域網でチャットシステムを構築できるサービスです。インターネット上にシステムを構築するクラウド型とは異なり、自社サーバー内にチャットシステムを構築できるため、安全性を担保できます。機密情報が含まれないよう設定したうえで、プッシュ通知のみ外部サービスに接続するセミクローズド環境で利用できるのも特長です。

閉鎖網にシステムを構築できるため、やり取りされるチャットメッセージ、アップロードされるファイルは、閉域網内のデータベースやファイルストレージに保存されるため、高いセキュリティレベルを保持できます。クラウド上にも構築できるなど、柔軟性が高い点も幅広い業界で活用されている理由のひとつです。

カスタマイズの自由度が高い

OSSのRocket.Chatは、特定のサービスとして提供されるツールとは違い、柔軟にカスタマイズできます。既存のシステムやサービスと容易に連携できるため、顧客の環境にあわせてSlackやMicrosoft Teamsなどを使い分けている場合や、部門ごとに異なるツールでタスクやスケジュール管理を行っていても、Rocket.Chatと連携することで一元的に管理できます。

近年では、ウェルビーイングに対する意識も高まっています。Rocket.Chatをスマートウォッチと連携すれば、測定した心拍数や血圧で異常を検知した際に通知するバイタルチェック機能も活用できるため、健康状態を把握するためのプラットフォームとして活用するのもひとつのアイデアです。

データの保存期間がない

一般的なSaaS型のサービスでデータが保存できるのは定められた期間内です。長期間にわたる保存を必要とする場合は、新たなプランを契約しなければならないため、期間に応じて追加の費用が発生します。また、サービスがベンダーの都合によりクローズされてしまった場合、データを失う可能性もあります。

一方、OSSのRocket.Chatであれば、自社のサーバーにデータを保存できるため、期間に縛られることはありません。さらに、データをどう管理するかユーザー側で判断できるため、より柔軟に企業のデータを活用できます。

【業界別活用シーン】Rocket.Chatの使い方

下記では業界別にRocket.Chatの使い方を紹介します。

シーン1:行政機関の場合

新型コロナワクチンの接種対応、特別定額給付金の手続きなど、コロナ禍中に行政機関に追われていたのは記憶に新しいところです。これをきっかけに、行政機関では災害対策のキーパーソンといかにスムーズにやり取りするかが課題となっています。
また、多くの部局が存在するため、大人数での利用に対応したツールでなければ業務効率化を実現することは困難です。また、日々の業務で公文書や機密情報をやり取りするため、セキュリティ性にも十分な配慮が求められます。

このような課題解消に有用なのが、閉域網で活用できるRocket.Chatです。チャット上で手軽にやり取りできれば、確認作業に要する時間の短縮により、意思決定のスピードアップが実現します。
操作性にも優れているので、災害が起きた際も落ち着いて取り扱えるほか、大人数でのグループチャットにも対応しています。閉域網にチャットシステムを構築できるため、外部に機密情報が公開されてしまう心配もありません。

シーン2:金融業の場合

金融業界が抱える課題として、機密情報・機微情報の安全性確保のほか、顧客にニーズに応じて複数のツールを利用することで起こるサイロ化の解消が挙げられます。またコロナ禍においては、面談の機会を確保する施策に取り組む必要がありました。閉域網(オンプレミス環境)でシステムを構築できれば、情報漏えいのリスクは極めて低くなるため、高いセキュリティ性を保持できます。

またRocket.Chatを用いて複数のツールを統合すれば、サポートの効率化も実現できます。多くの顧客をサポートするために、ニーズに応じたツールを用意するのはとても大切なことです。しかし、電話やビデオ通話用のツール、モバイルアプリ、Webサイトなど、複数のツールを使うことで管理は複雑になりがちです。

コミュニケーションに関する情報が統合されていないと、時間や費用が掛かるだけでなく、サイロ化もますます深刻化します。これらの課題解決に有用なソリューションがRocket.Chatです。ツールを統合してコミュニケーションに関する情報を一元で管理すれば、サポート業務の効率化は大きくアップするはずです。

シーン3:建築業の場合

建設業の場合、現場での作業が多くなるため、社員同士の連絡手段に電話やメールを用いることが大半でした。また、紙媒体で情報を管理するケースも多いため、ペーパーレス化の実現も難しくなっています。Rocket.Chatを利用して一斉に情報を配信できる環境が整えば、これらの課題を解消できます。

ツールに搭載されている共有機能を用いれば、現場にいながら書類の内容を確認したり、業務連絡の内容を確認したりすることが可能です。これまで紙で提出していた稟議書などもオンライン化できるので、ペーパーレス化の推進にも有用です。チャットの内容をテキストで残せるやり取りは、認識ミスの防止や言った言わないで起こるトラブルの防止にも役立ちます。

必要に応じてオプションのトランシーバーを追加すれば、連携により現場とのやり取りがよりスムーズに実行できるなど、幅広いニーズに対応できる柔軟性に優れたツールです。

シーン4:製造業の場合

製造業のコールセンターやコンタクトセンターは、消費者の声を直接聞ける重要な業務です。これまでは、電話対応が主流となっていたため、同じ質問に繰り返し対応したり、難易度の高い質問の回答に時間を要したりするケースも珍しくありません。

また、窓口の受付時間を過ぎてからも対応を要求されるなど、解消すべき課題は数多くあります。このような窓口業務における効率化の施策として、Rocket.ChatとAIの連携が挙げられます。AI機能を用いて応答を自動化すれば24時間対応の実現と顧客満足度の向上も期待できるはずです。

現在では、顧客ニーズに対応するため、メール・SNS・ホームページといったように多様な問い合わせ経路を設けているケースが多く、非効率を引き起こす要因となっているのも事実です。
Rocket.Chatはさまざまなツールをつなぐハブとして活用できるため、製造業の業務効率化に有用です。

シーン5:医療・介護・福祉業の場合

医療・介護・福祉の現場では、訪問診療に対応できるツールが求められています。
また、患者の容体が急変するケースもあり、医療機関とスムーズに連絡を取るために、使いやすさも考慮しなければなりません。
このような課題の解消に向けてRocket.Chatを導入すれば、在宅患者の急変に対する連絡体制を素早く整備でき、意思疎通のスピードと質の向上を実現できます。
パソコンを使い慣れていないユーザーでも簡単に操作できるのもメリットのひとつです。
さらにオプションのバイタルチェック機能を活用してスマートウォッチと連携させることにより、測定した心拍数や血圧、体温に異常がある際に医療従事者や家族へリモート通知を行うことも可能です。

Rocket.Chatの導入で得られる5つのメリット

1. 閉域網(オンプレミス環境) でグループウェアを構築できる

閉域網(オンプレミス環境)で構築できるため、外部へ情報が流出する可能性が低く、高いセキュリティ性を保持できます。チャットでやり取りしたテキストメッセージだけでなく、共有したファイルのデータもオンプレミスの閉域網内に保存されるので、機密情報を扱う業種でも安心して導入できます。

2. 組織内コミュニケーションを円滑にできる

Rocket.Chatは、チャット機能以外にファイル共有機能・ビデオ通話機能・タスク管理機能を備えたツールです。そのため、グループウェアとしてRocket.Chatを利用することで、コミュニケーションの円滑化を図れるようになります。既存のシステムとも容易に連携できるため、多様なコミュニケーションツールとつないで活用できるのもメリットです。

3. ペーパーレス化を実現できる

これまで紙と押印を必要としていた承認作業などを電子化し、ワークフローシステムによる申請まで連携できます。ペーパーレス化の施策として導入するのもひとつの方法です。

4. 人手不足に対応できる

AIチャットボットなどと連携することにより、問い合わせの自動化が実現できます。24時間対応を実現し、コールセンターにおけるオペレータ不足の課題解消に貢献します。また、社内FAQシステムとして活用することで、情報システム部門の負荷を軽減できるなど、人手不足の課題解消に役立つのも大きなメリットです。

5. DX推進につながる

カスタマイズ性が高いため、RPAツールのMicrosoft Power Automateと連携し、自動処理のトリガーとして活用する方法もあります。既存のさまざまなシステムやツールと連携し、一元的な利用環境を整備できるため、社内DX推進のフロント機能として活用できます。

6. BCP対策を行える

モバイルデバイスから利用することも可能です。災害発生時、危機管理室メンバーの連絡手段としても利用できるため、グループウェアを支援する基盤として活用できます。

Rocket.Chatの導入コスト

三和コムテック株式会社では、Rocket.Chatのオンプレミス版とクラウド版を提供しています。オンプレミス版のCommunityプランは無償で利用できますが、サポートサービスは含まれていません。また、同時接続できるユーザー数は200ユーザー程度という制限が設けられています。

Enterpriseプランでは、サポートサービスを利用できます。機能制限は無く、本格的なビジネス現場での導入に適しています。Enterpriseプランの価格は利用環境によって異なるため、導入を検討する際は、気軽にお問い合わせください。

なお、クラウド版はEnterpriseプランのみの提供となっています。

Rocket.Chatを検討中なら、まずは無料トライアルから

Rocket.Chatの導入を検討しているのなら、実際にトライアル版を利用してみましょうRocket.Chatには無料で利用できるEnterpriseプラントライアル版が用意されています。30日間利用できる無料トライアル版は、クラウドでの提供となるため、個別の環境を準備する必要はありません。実際にツールを操作して、Rocket.Chatの導入を前向きに検討してみてください。

まとめ

チャット機能の以外の多彩な機能を実装したRocket.Chatを導入すれば、業務の効率化が実現できます。連携性にも優れているため、コミュニケーションに関する情報の一元管理が可能です。
Rocket.Chatは、OSSのチャットツールです。閉域網に構築できるチャットツールは、高いセキュリティ性を保持できるのがメリットです。ぜひRocket.Chatのトライアル版を利用したうえで、導入を検討してみてください。

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