リモートワークなど場所にとらわれない働き方が浸透しつつある現在、コミュニケーションの新たな形として「ビジネスチャット」が注目されています。一方で、セキュリティ面が気になる方は少なくありません。
この記事では、ビジネスチャットツールの機能として備わっているセキュリティ対策や、自社でできること、これから導入する際の注目すべきポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
ビジネスチャットのセキュリティ機能や対策方法
ビジネスチャットは、組織内におけるコミュニケーションの活性化に寄与します。利便性が高いツールである反面、セキュリティ機能を充実させ、サイバー攻撃対策を講じることが必要不可欠です。ここでは、とくに押さえておきたいセキュリティ対策について解説します。
ビジネスチャットのセキュリティ機能
現在、多くのビジネスチャットツールでは、メールと比べて、情報漏えいにつながる標的型攻撃や誤送信のリスクを低減させられる機能が搭載されています。
たとえば、「IPアドレス制限」の機能があります。これは、認められていないIPアドレスからのアクセスを制限できることがポイントです。この機能を使えば、社外からのアクセスをブロックできます。また、社内においても特定の端末からのみファイルなどの送受信を行える仕組みを構築できます。社内外のやり取りに細心の注意を払う必要性が高い官公庁においては、この機能を利用することで、より厳格なセキュリティ管理が実現できます。
また、管理者が認証した端末のみがシステムにアクセスできる、「端末認証」の機能が備えられているツールもあります。「ログ保存」機能では、ビジネスチャットでやり取りを記録・保存できるため、不正アクセスがあった場合に追跡しやすくなります。
「アクセス権限」機能は、情報が漏れることを防ぐために有用です。さらに、通信の「暗号化」機能によって機密性を高められます。そのほか、一度送信されたメールを一定時間以内に取り消すことができる「メッセージの取り消し」機能や、「メールの一時保留」などの機能によって、誤送信のリスクを低減させられます。
このようなセキュリティ対策が実施されていることから、業務の効率化とともに、安全にデータ共有や職員間のコミュニケーションを行えるということで、官公庁でもビジネスチャットが導入されるようになりました。
自社でできるビジネスチャットのセキュリティ対策
自社でビジネスチャットを安全に使えるようにするためのセキュリティ対策としては、以下のようなものが挙げられます。
まず、「パスワードを複雑にする」ことです。生年月日など推測されやすい文字列は避けるのが無難です。次に、「二段階認証や多要素認証を活用する」ことも有効とされます。万一パスワードが外部に漏れてしまった場合でも、あらかじめ登録済みのメールアドレスに認証コードを送るようにしておけば、不正アクセスを防げます。
ほかにも、「グループチャットに参加しているメンバーを定期的に確認し最新化する」、あるいは「メンバーへ常日頃から、スマートフォンなどのデバイス紛失の防止やアカウント管理について意識づける」といった取り組みも有効です。
ビジネスチャットの選び方
現在、ビジネスチャットツールにはさまざまな種類があります。ここでは、自社でツールを導入する際に着目すべき6つのポイントを紹介します。ぜひツール選びの参考にしてみてください。
使用する目的から選ぶ
最初に、なぜ自社でビジネスチャットを導入するのか、目的をはっきりさせることが大切です。リモートワークが浸透しつつあるなか、社内におけるコミュニケーションをより活性化させたいなどの理由が挙げられます。需要に応じてグループを作成し、部署を越えて横断的に意思疎通を図ったり、ノウハウを共有したりすることも可能です。
また昨今では、社内のみならず社外の取引先とのコミュニケーションでも、ビジネスチャットを活用するシーンが増えています。自社でもそうした取り組みをしている、あるいは今後そうする可能性があるなら、高度なセキュリティ対策が敷かれたものや、初めてビジネスチャットツールに触れる人でも直感的に使えるものがおすすめです。
料金で選ぶ
導入や運用コストが、自社にとって見合うものかどうかもポイントです。ビジネスチャットのなかには、無料で使えるもの、月々あるいはユーザー数に応じて料金が発生するものなど、さまざまな種類があります。
有料ツールでも、ユーザー数に応じて料金が発生するタイプの場合、1ユーザーあたりの利用料金はそれほど高くありません。しかし、数十人、数百人、数千人と導入規模が大きくなるにつれて、全社的な運用費用はそれなりに高くなります。また、それが1回のみならず継続して課金されるわけです。実際に導入した際の運用状況をイメージしたうえで、予算の範囲内におさまるかどうかを確認しましょう。
一方、自社の導入目的と照らし合わせて問題がなければ、無料版が提供されているツールを選ぶのも一案です。
連携できるシステムで選ぶ
ビジネスチャットツールは、外部ツールなどと連携させることで、より利便性が高まります。実際、ビジネスチャットツールにはファイル共有サービスや勤怠管理システムなどと連携できるものもあるため、ぜひ確認しておきたいポイントです。たとえばファイル共有サービスと連携させれば、ファイル共有が行われるごとにチャットへ通知が届き、見逃しにくくなります。
ほかにも、ビデオ会議やメールなどの機能がふくまれているビジネスチャットツールもあります。外部ツールとわざわざ連携せずとも、ひとつのツールですべての機能が使えるため便利です。さまざまなコミュニケーションツールを一括で導入することで、スムーズに業務効率化を図れるようになります。
操作性で選ぶ
先に述べたように、近年、ビジネスチャットツールは社外との連絡手段として用いられるケースが増えています。つまり、これまでツールに触ったことがない人も使う可能性が十分あります。そのため、どのツールを導入するのかを決める際には、誰でもわかりやすく、使いやすいものを選びましょう。
たとえば、パソコン操作の苦手な人がいる場合は、スマートフォンでも簡単に利用できるツールがおすすめです。また、チャットといえば、何か文章を入力しなければならないと思われがちです。しかし、いろいろなスタンプ機能があると、文章を入力するよりは堅苦しくなく、よりスピーディーなコミュニケーションを実現できます。
セキュリティで選ぶ
冒頭でも紹介したように、現在提供されているビジネスチャットツールの多くは、不正アクセスを防げるなどセキュリティに強いつくりとなっています。ただ、サイバー攻撃の手口は日に日に巧妙化しており、情報漏えいのリスクが完全に排除されているわけではありません。
官公庁が扱う情報はプライバシーの保護が最優先されなければいけないものも数多く、ユーザーデータが十分に保護されることが不可欠です。そのため、メッセージやファイルにエンドツーエンドの暗号化を施せたり、細かいアクセス権限の付与ができたりするなど、より強固なセキュリティ対策が備わっていることは必須条件です。標準搭載されているセキュリティ対策はどのようなものか、またクライアントの必要に応じて追加できるセキュリティ機能はあるかなど、導入前にベンダーへ確認しましょう。セキュリティ面においても、自社のニーズに適したツールを選ぶことが大切です。
「クラウド型」か「オンプレミス型」かを選ぶ
ビジネスチャットツールを新たに導入する際には、2つの環境から選べます。
まず「クラウド型」は、クラウド上にあるサービスにログインして、インターネット上で利用するビジネスチャットツールです。初期費用が安価に済む一方で、不特定多数にアクセスされるおそれがあり、セキュリティ面の対策がより重要になります。
一方「オンプレミス型」は、自社サーバーにソフトウェアをインストールして利用するビジネスチャットツールです。一般に、クラウド型よりも高いセキュリティで運用できるのが強みとなっています。とくに「Rocket.Chat」は、自社内に設けたクローズドなネットワーク内で運用できるため、機密情報もやり取りしやすいのがメリットです。
まとめ
今やコミュニケーションの形は大きく様変わりし、さまざまなビジネスチャットツールが誕生しています。これからツールを選ぶ際には、まず導入目的を明確にしましょう。また、予算内で効果的に運用できることはもちろん、セキュリティ面もしっかり確認しなければなりません。
今回ご紹介した6つのポイントを押さえたうえで、ぜひ自社に合ったビジネスチャットツールを検討してみてください。
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