ビジネスチャットのセキュリティは安全?
リスクや使用時の注意点

 2024.02.05  三和コムテック

ビジネスチャットは安全性が高いコミュニケーションツールであり、導入している企業も多く見られます。それでも重要なデータを取り扱う際など、セキュリティが気になるケースも少なくありません。本記事では、ビジネスチャットのセキュリティに関して、安全性やリスク、使用時の注意点などを解説します。おすすめのツールも併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ビジネスチャットのセキュリティは安全? リスクや使用時の注意点 1

ビジネスチャットのセキュリティは安全?

ビジネスチャットは、従来ビジネス上の連絡手段に多く用いられてきたメールでのやりとりと比べ、安全性の高い連絡手段です。メールは相手を特定せずにやりとりできるツールのため、誤送信をするリスクが高く、悪意ある第三者からのサイバー攻撃を受けやすい傾向があります。

対してビジネスチャットは、ビジネス上の使用を目的に作られたツールのため、セキュリティ対策をはじめとする基本的な機能が充実しています。しかし、ビジネスで取り扱うデータには、個人情報や会社の機密情報など重要なものが多く、さまざまなセキュリティリスクが存在します。そのため、どのようなセキュリティ対策が施されているかは重視すべきポイントです。

基本的なビジネスチャットのセキュリティ機能

ビジネスチャットには、基本的なセキュリティ機能が備えられています。まずログイン時には、本人確認を2回行う二段階認証で、システムへのログインを制限できます。

さらに、情報漏洩を防ぐために端末認証やIPアドレス制限、専用URL機能などの機能制限も設定可能です。端末認証は管理者が登録した端末からのアクセスのみ、IPアドレス制限は認証されているIPアドレスからのアクセスのみ、それぞれ許可する機能です。

ほかにも、通信データが外部から盗み見されるリスクを防ぐデータの暗号化機能や、送信後のメッセージやファイルを削除・編集できる機能、不正アクセスが発生した際に過去の操作ログを確認できるログ保存機能などで、セキュリティを高められます。細かい機能はツールによって異なるため、導入時に確認しましょう。

ビジネスチャットで考えられるセキュリティリスク

ビジネスチャットは安全性の高いツールですが、全くセキュリティリスクがないわけではありません。誤送信、不正アクセス、マルウェア感染などのリスクを考慮する必要があります。

チャットの誤送信で情報が漏洩する

ビジネスチャットでは、誤送信により情報が外部に漏れる恐れがあります。誤送信が発生する状況としては、社外の人に対して社内の重要な情報を送ってしまうケースや、トークルームを間違えて情報発信してしまうケースなどが考えられます。

個人情報や機密情報の漏洩を防ぐには、送信前に確認を徹底することが重要です。「送信前にトークルームを間違えていないかチェックする」「添付ファイルはパスワードを設定してから送る」などの運用ルールを設けて、誤送信の発生を予防しましょう。また、管理者がアクセス権限を設定することで、メンバー以外にファイルや情報が漏れるリスクも防げます。

外部から不正アクセスされる

ビジネスチャットはシステムにアクセスして使用するため、外部からの不正アクセスへの対策が必要です。ログイン用のID・パスワードが外部に漏れると、第三者の不正アクセスによって、システム上のメッセージを盗み見されたり、チャット内のファイル情報から情報が漏れたりするリスクが生じます。メンバーになりすましてメッセージの送受信が行われ、メッセージ以外の情報まで窃取されてしまうケースもあり得ます。

さらに、ビジネスチャットのパスワードを簡単すぎるものに設定している場合や、二段階認証を設定していない場合にも、総当たり攻撃などでパスワードを予測されてアカウントが乗っ取られるリスクがあるため、注意しなければなりません。

マルウェアに感染する

マルウェアは、悪意のあるプログラムやソフトウェアの総称です。プログラムなどを書き換えて自己複製する「ウイルス」、ネットワークを通じてほかのパソコンに自己複製したプログラムを拡散する「ワーム」、パソコン内に潜伏して個人情報や企業の重要な情報を盗み取る「スパイウェア」などが該当します。感染した場合、データの流出以外にも、パフォーマンスの低下やパソコンの不具合、広告の大量表示などの症状が発生します。

マルウェアは主に、メール、Webサイトへのアクセス、ソフトウェアのダウンロード、外部メモリなどを感染経路とします。しかし、ビジネスチャットは基本的に既知の相手とのやりとりが多く、届いたメッセージに対する警戒心が湧きにくい側面があります。マルウェアに感染するサイトURLが届いた場合にも、無警戒に開いてしまい感染する恐れがあるため、注意が必要です。

シャドーITのリスクがある

シャドーITとは、管理者の目が届かないところでITサービスやデバイスを使用することです。「社員が企業の管理していない私用デバイスで、SNSなどを用いて業務連絡を行う」「フリーソフトを使用して機密文書を翻訳する」「個人のスマートフォンを業務に利用する」などの行動が該当します。

シャドーITによって生じるリスクは、機密情報の流出や外部への持ち出しなどです。企業が講じているセキュリティ対策の範囲外にデータを持ち出して使用するため、セキュリティ対策が甘くなり、情報が漏れやすくなります。外出先で仕事をしているときに、業務用のシステムへのログインID・パスワードを第三者に見られてしまうなど、不正アクセス被害の原因になるケースもあります。

ビジネスチャット使用時の注意点

ビジネスチャットをより安全に使用するためには、いくつか押さえておくべき注意点があります。

送信先の確認を徹底する

初歩的ではあるものの、送信時には送信先に間違いがないか確認を徹底することが重要です。毎回充分に確認してから送信するルールを設けると、誤送信を防止できます。

また管理者側も、グループメンバーに間違いがないかをよく確認しましょう。人間が操作をする以上、どれだけ気をつけていても見間違いなどの人的ミスは生じ得ます。誤送信のトラブルを避けるには、アクセス権限の設定も欠かせません。

複雑なパスワードを使用する

ログイン時に使用するID・パスワードに予想しやすい単語、簡単な数字などを使用していると、パスワードを破られて不正アクセス被害に遭う可能性が高まります。総当たり攻撃で突破されないためにも、パスワードを複雑にすることが重要です。

パスワードには、少なくとも8桁以上の文字・数字などの組み合わせが求められます。アルファベットの大文字/小文字や数字、記号など、さまざまな文字を使用して8桁以上組み合わせると、よりセキュリティを高められます。

パスワードを予想されないためには、意味や規則性のある文字列よりも、ランダムな文字列を使用するほうが安全です。また、長期間同じパスワードを使用し続けるのはリスクが高いため、定期的に変更する必要もあります。

データにパスワードを設定する

ビジネスチャットでやりとりするデータにパスワードを設定するのも、情報漏洩対策として有効です。万一、個人情報や機密情報などの重要なファイルが外部に漏れたとしても、パスワードが設定されているファイルなら、パスワードがわからないと情報の閲覧はできません。

サイバー攻撃の被害など突然のトラブルに見舞われた場合に備えて、データにパスワードを設定しておくことで、セキュリティインシデントの発生リスクが軽減されます。重要なデータの閲覧にもあらかじめ制限をかけておけば、関係者以外に情報が漏れるリスクをより抑えられます。

社員教育を実施する

セキュリティ機能を活用して安全性を高めるだけでなく、ビジネスチャットを使用する社員の教育も必要です。機能面では対策をしていたとしても、社員の使用方法によってセキュリティリスクが上がるケースもあります。パスワードやデバイスの管理が適切に行われていなかった場合など、情報漏洩のようなトラブルが人的ミスに起因するケースは少なくありません。

セキュリティを高めるには、ツールの使用に関するルールの設定や通知だけで終わらせず、社員全員にリテラシー教育を実施することが重要です。社員全員がマルウェア、ランサムウェアなどのサイバー攻撃の種類や対策方法に関して理解し、パスワードなどを適切に管理できていれば、人的ミスは起きにくくなります。

二段階認証を設定する

パスワードが外部に漏れてしまった場合に備えられる機能が、二段階認証です。二段階認証を設定しておくと、ログイン時に登録していたメールアドレスなどに認証コードが送信されます。ログインするためには、パスワード以外に認証コードも必要になるため、第三者による不正アクセスを防げます。

セキュリティ対策に高い効果があることから、二段階認証に対応しているビジネスチャットであれば必ず設定するのがおすすめです。認証コードの送信先は、社用のスマートフォンで受信できるビジネスチャットと紐付けされていないメールアドレスなどに設定すると、デバイス紛失時の情報漏洩防止にもつながります。

セキュリティ性が高いビジネスチャットツール3選

最後に、セキュリティ性が高いおすすめのビジネスチャットツールを3つ紹介します。

1.Rocket.Chat

「Rocket.Chat」は、建設業界、医療・福祉業界、メーカー、行政など幅広い業界で活用されています。クローズなネットワーク内で使用できるオンプレミス型のチャットツールであり、より高いセキュリティ性が期待できます。

オープンソース製のソフトウェアのため、基本機能に加えて、自社で使用したい機能を柔軟にカスタマイズできるのが大きな特徴です。外出中の社員や顧客からの質問・連絡に迅速に答えられるライブチャット機能や、最先端の機械学習を取り入れたリアルタイム翻訳機能にも対応しています。

さまざまな機能の追加や削除、他アプリケーションとの統合・プラグインなど柔軟にカスタマイズできるため、自社に最適な形での導入が可能です。

参照元:Rocket.Chat | 三和コムテック

2.Chatwork

国内で42万1,000社以上の企業が導入している、中小企業向けのビジネスチャットツールが「Chatwork」です。介護業界、不動産業界、製造業界、士業などさまざまな業界で、迅速なやりとりに寄与しています。

Chatworkは無料でも始められるため手軽に導入できます。チャット機能に加え、ビデオ通話や音声通話、タスク管理、ファイル管理などの基本的な機能を使用できるシンプルさが特徴です。サーバーとの通信がすべて暗号化され、第三者機関によるセキュリティ監査が行われているなど、高いセキュリティのもと安心して利用できるツールです。

参照元:Chatwork - 中小企業向けビジネスチャット 国内利用者数No.1

3.Slack

有名企業も導入している大企業向けのビジネスチャットツールが「Slack」です。Slackでは、必要なメンバーと情報を集めた「チャンネル」機能によって、チームや個人のタスクをひとつのプラットフォームにまとめ、情報を共有しながら管理できます。

重要な顧客データはデフォルトで暗号化されているため、送信時・保存時のどちらでもデータは安全に保護されます。さらに顧客データ保護には、監査ログやデータ損失防止などのツールも活用されています。「ISO/IEC 27001」「ISO/IEC 27017」など各種コンプライアンス証明・認証を取得しており、セキュリティの高さに定評のあるツールです。

参照元:Slack はニーズに応えるプロダクティビティプラットフォーム

まとめ

ビジネスチャットは、メールより安全に情報をやりとりできるツールです。ただし、ビジネスチャットにも誤送信や不正アクセス、マルウェア感染などのリスクはあるため、導入時には充分な対策が必要です。

ビジネスチャットを使用する際は、送信先の確認や社員教育の実施、パスワード・二段階認証の設定などを意識しましょう。さらに、セキュリティ性の高いビジネスチャットツールを導入することで、より安全に使用できます。

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