近年ビジネスチャットは、病院やクリニックなどの医療現場でも注目されています。しかし、やみくもにビジネスチャットを選定してしまうと、セキュリティ上のトラブルに発展する恐れもあるため注意が必要です。本記事では、ビジネスチャットのメリットや留意点、おすすめしたいツールなどを紹介します。
ビジネスチャットとは?
ビジネスチャットとは、業務利用を目的としたコミュニケーションツールです。
個人間やグループ間でチャットができるだけでなく、ソリューションによってはファイル共有やタスク・スケジュール管理なども行えます。管理簿や紙のメモなどで情報共有や伝達をする必要がなくなるので、ペーパーレス化につながり、業務効率の改善も見込めます。
業務で用いられることからセキュリティレベルが高いのも、ビジネスチャットの特徴です。そのため一般企業はもちろん、さまざまな職種が連携して働き、その中で多くの個人情報を取り扱う病院やクリニックなどの医療現場での導入も増えています。
病院・医療現場でビジネスチャットを活用するメリット
医療の現場でビジネスチャットを導入することで、次に挙げるようなメリットが期待できます。
ミスコミュニケーションを防げる
対面や電話で、口頭での業務連絡や引き継ぎ、申し送りなどをすると、各人員が多忙であればあるほど「内容を聞き間違えてしまった」「別業務にあたりながら聞いたため、内容がうろ覚えになっている」といったミスコミュニケーションが起こりやすくなります。そうなると、場合によっては医療事故につながる恐れも否定できません。
また、要件を管理簿やメモなどの紙ベースで残すにしても、作成に手間と時間がかかる上、紛失や渡し忘れのリスクがあります。また、忙しい中で書き留めた文字は、読み手が判読しづらいことも考えられます。
そういった問題を回避・改善するために有用なのが、ビジネスチャットです。ビジネスチャットを使うと、送受信した文章や資料はもちろん、やり取りをした日時まではっきりと履歴に残るため、限られた時間でのコミュニケーションの確実性・効率性が高まります。
空いた時間に確認や返信が可能である
医療の現場では、各人員の休日や勤務時間がバラバラであることはめずらしくありません。その上、外来対応やオペなど、連絡を避けるべき時間帯もあります。急を要する案件なら別ですが、そういった場合は伝達をどのように行うか迷うことも少なくありません。
しかし、ビジネスチャットを導入すれば、急ぎでない要件であれば相手にチャットを送っておくことで、相手は自分の手が空いたタイミングで内容を確認し、必要に応じて返信などのアクションを取れるようになります。
複数人がチャットを通して相談などを行っている場合も、時系列でやり取りを追えるため、後からチャットルームに入った人も状況や内容を把握しやすくなります。
迅速に情報を共有できる
それぞれの担当業務や職位など、あらかじめ設定したグループ内で情報を一括共有できるのも、ビジネスチャットのメリットです。
業務上の資料などを紙で配布したり、メールで送信したりする場合、印刷部数や宛先の確認などの手間がかかります。しかし、ビジネスチャットを利用すれば資料の配布も全員に一度にまとめて行えるので、「その場にいなかったため伝え漏れている人がいる」「メールの宛先を入れるのが漏れており、情報を得られていない人がいた」といったトラブルも防止できます。
病院・医療現場でビジネスチャットを使う際の懸念点
医療の現場でビジネスチャットを選ぶ場合、次に挙げる懸念点に留意しておく必要があります。そうすることで、個人情報の流出などのセキュリティ事故の防止にもつながります。
高いセキュリティ性が求められる
医療機関では患者の個人情報や病状など機密性の高い情報を取り扱うため、高度なセキュリティ性を備えていることがビジネスチャットを選定するための第一条件です。
ビジネスチャットはクラウド型とオンプレミス型がありますが、医療機関では閉域網(クローズな環境下)でのみ使えるオンプレミス型がおすすめです。ここ数年でDXが推進され、クラウド型の各ツールやアプリケーションを導入する企業が増えていますが、その性質上、不正を働こうとする第三者からのサイバー攻撃などの標的になりやすい、というリスクに常にさらされていることには留意しなければいけません。
医療機関には一度失われてしまうと取り返しがつかない医療情報なども多数あるため、データの流出・漏えいはもちろん、データの破損、データを人質に取る行為などのセキュリティリスクを極力減らすためにも、外部のネットワークから遮断されたオンプレミス型のビジネスチャットを選定するのがおすすめです。
カスタマイズ性が求められる
一般的なチャットサービスでは、データの保存期間に制限があるなど、仕様や機能が制限されることも少なくありません。
そのため、データの保存期間を柔軟に設定できるなど、カスタマイズ性に優れたビジネスチャットをしっかりと選定することが大切です。新型コロナウイルスのパンデミックに代表されるように、医療機関は社会環境にあわせて柔軟に対応することが求められているため、カスタマイズを加えやすいという点は重要です。
また、前述したとおりサイバー攻撃は近年ますます巧妙になっているため、独自のセキュリティ要件を満たすように設定することも大切です。その上で、堅牢なセキュリティ環境を維持するためのメンテナンスのしやすさにも注目しましょう。
病院・医療現場にビジネスチャット「Rocket.Chat」がおすすめな理由
前述した懸念点を克服しているビジネスチャットのひとつとして、「Rocket.Chat」が挙げられます。病院やクリニックなどの医療機関にこそ「Rocket.Chat」をおすすめしたい理由は、次に挙げる二つです。ひとつずつ解説します。
セキュリティ性能が高い
まずは、セキュリティ性の高さです。「Rocket.Chat」はビデオ会議機能やプッシュ通知なども備えたビジネスチャットですが、オンプレミス型で機密性が高いのが特徴です。
病名や症状も含めた各患者の個人情報などのセンシティブな情報を漏らすことなく、安心して組織内でスムーズにやり取りできます。
オープンソースなので、組織のニーズにあわせて自由にカスタマイズできるのもポイントです。定められたセキュリティポリシーに沿った、堅牢なシステムを構築することも可能です。
機能が豊富でカスタマイズ性も高い
「Rocket.Chat」はチャット機能だけでなく、ビデオ会議、タスク・カレンダー管理、ファイル管理、メモ、リアルタイム翻訳などといった豊富な機能を備えています。
データ保存期間の制限なども特にありません。そのため、保管期限が定められた書類や帳簿、日々更新される多数の患者にまつわるデータを扱う場合にも有用です。「チャットルームにアップロードされた書類のダウンロード期限が切れてしまい、内容を確認できなくなってしまった」というトラブルも避けられます。
「Rocket.Chat」は無料トライアルからの利用がおすすめ
ご紹介したようなメリットを備えた「Rocket.Chat」を実際に試してみたいと感じたら、30日間の無料トライアルの利用がおすすめです。その上で、組織のセキュリティポリシーにも照らし合わせながら、オンプレミス環境下でのカスタマイズ性、運用やメンテナンスのしやすさなどを総合的に検討してください。また、ITツールに慣れていない人員が多い場合は特に、操作のしやすさなどを現場と協力しながら確かめるのも重要です。
まとめ
ビジネスチャットは業務上のコミュニケーションの迅速化が期待できる、有効なツールのひとつです。
ビジネスチャットの種類は実にさまざまですが、病名や症状を含む個人情報を多数取り扱う医療機関においては、ビジネスチャットは外部のネットワークから遮断された閉域網で運用できる、オンプレミス型のものがおすすめです。
中でも、オープンソースで柔軟にカスタマイズを加えられる「Rocket.Chat」は、有力な候補のひとつです。
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