病院・医療現場向けチャットツール完全ガイド|
安全な情報共有と導入メリット・選定ポイント

 島村 奉明

ナースステーションでの申し送り、医師間の緊急連絡、薬剤師・リハビリスタッフとの多職種連携——医療現場では「正確な情報を、正しい人に、すばやく届ける」ことが患者の安全に直結します。

しかし、従来の電話・紙の連絡票・メールでは、情報の取りこぼしやレスポンスの遅延が避けられません。チャットツールを活用することで、こうした問題を大幅に改善できます。一方で、患者情報の取り扱いや医療情報システムの安全管理ガイドラインへの準拠は、医療機関特有の重要な検討事項です。

本記事では、病院・医療現場がチャットツールを安全かつ効果的に導入するためのポイントと、選定時の確認事項を解説します。

業界別の比較を見たい方は、業界別ビジネスチャット活用事例と導入ポイントをご覧ください。

対象読者

  • 病院の経営層や医療法人の管理者
  • 医療機関のIT・システム導入担当者
  • 業務効率化を目指す医師や看護師などの医療従事者

課題

  • 電話や紙の申し送りによる情報伝達の遅れや漏れ
  • 医師、看護師、薬剤師など多職種間の連携不足
  • 医療情報や患者の個人情報を取り扱う上でのセキュリティ不安

この記事で分かること

  • 医療現場にチャットツールを導入する具体的なメリットと活用シーン
  • 医療情報システムの安全管理ガイドラインを満たすセキュリティ要件
  • 自院に最適なチャットツールを選定するための判断基準とチェックポイント

医療現場でチャットツール導入が進む背景

医療現場でチャットツール導入が進む背景には、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、従来の連絡手段が抱える限界が挙げられます。近年、多くの病院やクリニックにおいて、迅速かつ正確な情報共有の重要性が再認識されています。

医療DXの推進と現場コミュニケーションの変革

医療DXの推進と現場コミュニケーションの変革は、医療現場におけるITツール導入の大きな原動力となっています。厚生労働省の医療DXについての取り組みからも読み取れるように、医療情報のデジタル化と共有基盤の構築は国を挙げての急務となっています。

これまでの医療現場では、医師や看護師などの多職種間でのコミュニケーションにおいて、情報伝達の遅れや共有漏れが発生しやすい状況がありました。しかし、チャットツールを活用することで、リアルタイムでの情報共有やチーム医療の円滑な連携が実現できます。テキストだけでなく、画像やファイルを即座に送信できるため、患者の容態変化など正確な情報を瞬時に共有できます。

電話・紙・メール中心の連絡が生むリスク

電話・紙・メール中心の連絡が生むリスクは、医療現場の業務効率を低下させるだけでなく、医療安全上の課題にも直結しています。従来の連絡手段には、それぞれ特有のデメリットが存在しています。

従来の連絡手段 発生しやすいリスクと課題
電話・PHS 相手の業務を中断させてしまうことや、言った・言わないのトラブルが発生しやすい傾向があります。
紙・メモ 紛失のリスクがあるだけでなく、情報の検索や過去の履歴をさかのぼることが困難です。
メール 即時性に欠けるため、緊急時の連絡には不向きであり、大量のメッセージに重要な情報が埋もれやすくなります。

これらの課題を解決するためには、非同期でありながら即時性の高いコミュニケーション手段が必要です。チャットツールを導入することで、相手の状況に配慮しながら確実にメッセージを届けることができます。また、過去のやり取りを検索できるため、情報の引き継ぎや確認作業にかかる手間を大幅に削減できます。

病院・医療現場が直面するコミュニケーション課題

病院・医療現場が直面するコミュニケーション課題

病院・医療現場が直面するコミュニケーション課題には、従来のアナログな情報伝達手段に起因するさまざまな問題が含まれます。現在の医療機関では、依然としてPHSや内線電話、紙のメモ、口頭でのやり取りが中心となっているケースが少なくありません。これらの手段は手軽である反面、情報の正確な記録や複数人への同時共有が難しく、業務効率の低下や医療安全上のリスクを招く原因となっています。ここでは、具体的な課題を3つの視点から詳しく解説します。

申し送り・引き継ぎの情報ロス

申し送り・引き継ぎの情報ロスは、日々の業務において頻繁に発生しやすい問題です。ナースステーションや病棟での勤務交代時、口頭や手書きのメモによる情報伝達に頼っていると、伝達漏れや認識の齟齬が起こりやすくなります。特に多忙な時間帯では、メモの紛失や字の読み間違いといったヒューマンエラーが発生する確率が高まります。

また、口頭での引き継ぎは記録に残らないため、後から情報を振り返ることが困難です。不正確な情報伝達は患者のケアの質を低下させるだけでなく、重大なインシデントにつながる危険性をはらんでいます。チャットツールなどのデジタルツールを活用することで、文字や画像として記録を残し、正確に情報を伝達できます。

緊急時連絡の遅延と医療ミスリスク

緊急時連絡の遅延と医療ミスリスクも、医療現場において極めて深刻な課題です。患者の容体が急変した際、PHSや内線電話で担当医師を呼び出そうとしても、医師が手術中や他の患者の処置中で電話に出られない場面が多々あります。電話がつながらない場合、何度もかけ直したり、直接探し回ったりする必要があり、初動対応に遅れが生じます。

一分一秒を争う緊急事態において、情報伝達の遅れは患者の生命を脅かす致命的な結果を招く可能性があります。実際の医療事故の背景には、コミュニケーション不足や連絡体制の不備が関与しているケースが少なくありません。医療事故の現状や報告については、厚生労働省の医療安全対策から詳細なデータを確認できます。

多職種間(医師・看護師・薬剤師等)の連携不足

多職種間(医師・看護師・薬剤師等)の連携不足は、包括的なチーム医療を提供する上で大きな障壁となります。現代の医療では、一人の患者に対して多様な専門職が関わります。しかし、それぞれの職種で勤務時間帯や活動エリアが異なるため、全員が一堂に会して情報を共有する時間を確保するのは困難です。

電子カルテシステムに情報が入力されていても、リアルタイムな相談やちょっとした確認事項のやり取りには不向きです。結果として、各部門が孤立して業務を進めてしまい、患者に対する治療方針の統一や迅速な意思決定が阻害されます。従来のコミュニケーション手段が抱える具体的な課題を以下の表に整理します。

従来のコミュニケーション手段 主な特徴 医療現場における具体的な課題
PHS/内線電話 1対1の音声通話による即時連絡 相手が応答できないと連絡が途絶えるだけでなく、記録が残らないため言った・言わないのトラブルが起こりやすいです。
紙のメモ/ノート 手書きによる情報記録と伝達 物理的な紛失リスクがあるだけでなく、字の読み間違いによる情報ロスが発生しやすく、複数人への同時共有ができません。
口頭での申し送り 対面での直接的な情報共有 その場にいる人にしか情報が伝わらず、時間が経過すると記憶が曖昧になり正確な情報取得が困難になります。

これらの課題を解決するためには、時間や場所を問わず、関係者全員が安全かつ迅速に情報を共有できる新しい仕組みを構築する必要があります。

医療現場がチャットツールに求めるセキュリティ・運用要件

医療現場がチャットツールに求めるセキュリティ・運用要件

医療現場がチャットツールに求めるセキュリティ・運用要件は、一般的な企業とは異なり非常に厳格です。患者の命や個人情報を預かる性質上、少しのシステムトラブルや情報漏洩が重大なインシデントに発展する可能性があるからです。ここでは、医療機関が安全にチャットツールを運用するために欠かせない4つの要件を詳しく解説します。

医療情報システムの安全管理ガイドライン(厚生労働省)への準拠

医療情報システムの安全管理ガイドライン(厚生労働省)への準拠は、チャットツールを導入する上で最も重要な基準です。医療情報システムの安全管理に関するガイドラインは、医療機関が電子的な医療情報を安全に取り扱うためのルールを定めたものです。最新の第6.0版では、クラウドサービスを利用する際の責任分界の明確化や、ネットワーク分離の重要性が強調されています。

ガイドラインに対応したチャットツールを選ぶことで、医療機関に求められる厳格なセキュリティ基準をクリアできます。以下の表は、ガイドラインで求められる主な対策とチャットツールの機能の対応を整理したものです。

ガイドラインの要求事項 チャットツールで実現できる機能
アクセス制御 職種や部署に応じた閲覧権限を細かく設定できます
通信と端末の保護 端末からサーバー間の通信や保存データを暗号化できます
監査ログの取得 メッセージの送受信やファイルの操作履歴を記録・保存できます

患者情報・個人情報の保護(クローズドネットワーク・暗号化)

患者情報・個人情報の保護(クローズドネットワーク・暗号化)は、外部からのサイバー攻撃や情報漏洩を防ぐための必須要件です。患者の氏名や病状などの機微な情報を扱うため、インターネットから分離された安全な環境を構築する必要があります。

具体的には、院内限定のクローズドネットワーク環境での運用や、特定のIPアドレスからのみ接続を許可するアクセス制限を設定できます。また、端末からサーバー間の通信や、保存されるデータを強力なアルゴリズムで暗号化できます。これにより、万が一端末を紛失した場合でも、外部からの不正アクセスによる情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます

アクセス権限管理とログ保全

アクセス権限管理とログ保全は、院内の情報ガバナンスを維持するために欠かせない要素です。誰がどの情報にアクセスできるかを厳密にコントロールすることで、意図しない情報の拡散を防ぐことができます。

高機能なチャットツールでは、医師、看護師、事務スタッフなどの職種や、所属する診療科に応じて、細やかなアクセス権限を付与できます。さらに、メッセージの送受信履歴やファイルのダウンロード履歴などの監査ログを自動で取得し、長期間保存できます。これらの機能を活用することで、万が一トラブルが発生した際にも、過去の操作履歴を遡って迅速に原因を特定できます

モバイル対応と現場スタッフの使いやすさ

モバイル対応と現場スタッフの使いやすさは、チャットツールを院内に定着させるための重要な鍵となります。セキュリティがどれほど強固であっても、操作が複雑であれば多忙な医療スタッフに使ってもらうことはできません。

医療スタッフは常に病棟や外来を移動しているため、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からでもスムーズに情報を確認できます。また、生体認証と連携することで、セキュリティを保ちながらもパスワード入力の手間を省き、迅速にアプリを起動できます。ITリテラシーに依存せず直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)を採用していることが、導入を成功に導くポイントです。

病院・医療現場でのチャットツール活用シーン

病院・医療現場でのチャットツール活用シーン

病院・医療現場でのチャットツール活用シーンは多岐にわたります。医療従事者間のコミュニケーションをデジタル化することで、業務効率化や医療の質向上が期待できます。ここでは、具体的な場面ごとにチャットツールをどのように活用できるのかを詳しく解説します。

活用シーン 主な利用機能 期待できる効果
ナースステーション・病棟内の申し送り グループチャット、画像送信機能 情報の伝達漏れ防止、引き継ぎ時間の短縮
緊急コールと迅速な医師呼び出し 一斉通知、既読確認機能 初動対応の迅速化、確実な情報伝達
多職種チームカンファレンスの情報共有 ファイル共有、スレッド機能 チーム医療の強化、情報の一元管理
外来・手術室・検査部門との連携 部門間チャット、ステータス表示 待ち時間の削減、スムーズな患者案内

ナースステーション・病棟内の申し送り

ナースステーション・病棟内の申し送りにおいて、チャットツールは非常に役立ちます。従来は手書きのノートや口頭での引き継ぎが中心でしたが、チャットツールを利用することで、テキストや画像を用いて正確に記録を残すことができます。これにより、情報の伝達漏れを防ぎ、スタッフ間での認識のズレをなくすことができます。また、シフト交代時の引き継ぎにかかる時間を短縮できるだけでなく、後から過去のやり取りを検索して確認することもできます。

緊急コールと迅速な医師呼び出し

緊急コールと迅速な医師呼び出しが必要な場面でも、チャットツールの機能が活躍します。患者の容体が急変した際など、一刻を争う状況において、関係する医師やスタッフへ一斉に通知を送信できます。既読機能を利用することで、誰が情報を確認したかを瞬時に把握できるため、迅速な初動対応と適切な人員配置を実現できます。電話のようにつながらないことによる時間のロスを防ぎ、確実な連絡体制を構築できます。

多職種チームカンファレンスの情報共有

多職種チームカンファレンスの情報共有を円滑に進めるためにも、チャットツールは欠かせないシステムとなっています。医師、看護師、薬剤師、理学療法士などの多職種が参加するグループチャットを作成し、患者の治療方針や経過をリアルタイムで共有できます。検査データや画像ファイルもチャット上で安全に送受信できるため、カンファレンスの時間を待たずに最新の情報を把握できます。チーム全体での情報共有が進むことで、さらに質の高い医療サービスの提供につながります。

外来・手術室・検査部門との連携

外来・手術室・検査部門との連携においても、部門間の壁を越えたスムーズなコミュニケーションを実現できます。例えば、検査結果の完了通知や手術室の準備状況などをチャットでリアルタイムに共有できます。これにより、患者の待ち時間を削減し、院内全体の業務フローを最適化できます。厚生労働省が推進する医療現場のデジタル化の観点からも、部門間のシームレスな連携は重要視されています。各部門から最新の状況を把握できるため、無駄な確認作業を減らすことができます。

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導入前に確認したい懸念点と対策

導入前に確認したい懸念点と対策

病院や医療現場へチャットツールを導入するにあたり、導入前に確認したい懸念点と対策を把握しておくことが重要です。新しいツールを導入する際には、セキュリティ面や運用面でさまざまな課題が生じる可能性があります。ここでは、代表的な懸念点と具体的な対策方法について詳しく解説します。

患者情報の漏洩リスクへの対策

患者情報の漏洩リスクへの対策は、医療機関がチャットツールを導入する上で最も慎重に検討すべき事項です。スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を利用する場合、端末の紛失や盗難、誤送信による情報漏洩のリスクが伴います。機微な個人情報を取り扱う医療現場では、万全なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。

具体的な対策として、端末側にデータを残さない仕組みや、遠隔からデータを消去できるMDM(モバイルデバイス管理)機能を利用できます。また、厚生労働省が策定している医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠したツールを選定することで、安全な運用体制を構築できます。外部のネットワークから遮断された環境で利用できるオンプレミス型のツールを選択することも、有効な対策の選択肢となっているのが理由です。

既存の電子カルテ・医療システムとの連携

既存の電子カルテ・医療システムとの連携についても、事前に確認しておく必要があります。チャットツールが単独で稼働している状態では、電子カルテから患者情報を手作業で転記する手間が発生し、業務効率が低下する懸念があります。

ツール間の連携機能が備わっている製品を選定することで、電子カルテやPACS(医療画像管理システム)から必要な情報をシームレスに取得できます。以下の表は、連携における主な懸念点と対策をまとめたものです。

懸念点 具体的な課題 有効な対策
二重入力の発生 電子カルテとチャットツールに同じ患者情報を入力する手間がかかる API連携機能を持つツールを選定し、情報を自動で取り込めるようにする
規格の不一致 ツール間でデータの形式が異なり、情報を正しく送受信できない HL7 FHIRなどの医療情報標準規格に対応したツールを導入する
ネットワーク負荷 画像データなどの大容量ファイルを送受信する際に通信が遅延する 院内のネットワーク帯域を事前に調査し、必要に応じてインフラを増強する

スタッフ教育と現場への定着

スタッフ教育と現場への定着も、新しいツールを導入する際に直面しやすい課題です。医療現場には幅広い年齢層のスタッフが在籍しており、ITリテラシーにもばらつきがあります。そのため、操作方法が複雑なツールを導入すると、現場の負担が増加して利用が進まない可能性があります。

この課題に対する対策として、直感的に操作できるシンプルな画面設計のツールを選ぶことで、スタッフの学習コストを大幅に削減できます。また、一部の病棟や部門から試験的に導入を開始し、運用ルールを明確にした上で段階的に全社展開することで、現場の混乱を防ぐことができます。推進担当者を各部署に配置し、現場からの問い合わせに迅速に対応できるサポート体制を構築することも、定着率を高めるために重要です。

病院・医療現場向けチャットツール選定チェックリスト

病院・医療現場向けチャットツール選定チェックリスト

病院・医療現場向けチャットツール選定チェックリストを活用することで、自院の環境に最適なシステムを効率的に比較検討できます。医療現場では、患者の機微な個人情報を扱うため、一般的なビジネス用ツールとは異なる基準で選定を行う必要があります。ここでは、導入前に必ず確認しておきたい重要なポイントを整理して解説します。

セキュリティとコンプライアンスの適合性

セキュリティとコンプライアンスの適合性は、医療機関がチャットツールを導入する際に最も優先すべき項目です。厚生労働省が公開している医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠しているシステムを選ぶことで、患者の個人情報を安全に保護しながら円滑に情報共有できます。具体的には、通信の暗号化や端末へのデータ保存を制限する機能が備わっているかを確認することが重要です。

導入形態とデータ保管場所の確認

導入形態とデータ保管場所の確認も、セキュリティ要件を満たすために欠かせません。自院のサーバー内にシステムを構築するオンプレミス型であれば、外部のネットワークから遮断された安全な環境で運用できます。一方でクラウド型を選択する場合は、データセンターが国内にあるか、第三者認証を取得しているかといった基準から安全性を評価する必要があります。

既存の医療情報システムとの連携機能

既存の医療情報システムとの連携機能が充実しているかどうかも、業務効率を大きく左右します。電子カルテシステムやナースコールシステムと連携することで、転記の手間を省きながら正確な情報をリアルタイムに把握できます。また、ディレクトリサービスなどの認証システムと連携できれば、職員の入退職に伴うアカウント管理の負担を大幅に軽減できます。

現場スタッフの使いやすさとサポート体制

現場スタッフの使いやすさとサポート体制は、新しいシステムが院内で定着するかどうかを決める重要な要素です。直感的に操作できるユーザーインターフェースを備えているツールであれば、IT機器の操作に不慣れなスタッフでもスムーズに活用できます。さらに、導入初期の操作説明やトラブル発生時の迅速な対応など、ベンダーからのサポートが充実しているかも確認の対象となります。

スマートフォンやタブレットでの操作性

スマートフォンやタブレットでの操作性も、病棟内を移動するスタッフにとって必須の確認事項です。モバイル端末に最適化された専用アプリケーションが提供されていれば、場所を問わずどこからでも緊急の連絡を受信できます。プッシュ通知の細かな設定や、既読状況をひと目で把握できる機能があるかどうかも併せて確認してください。

選定チェックリスト一覧表

選定チェックリスト一覧表として、これまで解説した内容を踏まえた評価項目をまとめました。各ベンダーから提案を受ける際や、院内の導入検討委員会で議論する際の評価基準として活用できます。

評価項目 具体的な確認内容 選定のポイント
セキュリティ要件 厚生労働省のガイドラインに準拠しているか 通信経路および保存データの暗号化設定が標準で提供されているか確認します。端末にデータを残さない仕組みを構築できます。
アクセス管理 多要素認証やIPアドレス制限に対応しているか 不正アクセスを防ぐため、院内ネットワークからのみ接続を許可する設定ができるか評価します。
システム連携 電子カルテや既存システムとのAPI連携が可能か HL7(医療情報交換の標準規格)などの規格に対応し、患者情報を安全に引き継ぎできます。
ユーザー管理 部署や職種ごとの細やかな権限設定ができるか 医師、看護師、薬剤師などの職種に応じたアクセス権限を一元的に管理できます。
操作性と運用 モバイル端末での直感的な操作が可能か マニュアルがなくても直感的に操作でき、緊急時の連絡を素早く送信できます。
サポート体制 導入支援や障害時の対応窓口が明確か 24時間365日のサポート体制があるか、国内の窓口から迅速な回答を得られるか確認します。

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Rocket.Chatが医療現場で選ばれる理由

Rocket.Chatが医療現場で選ばれる理由

Rocket.Chatが医療現場で選ばれる理由として、高度なセキュリティ要件を満たしながら柔軟な運用ができることが挙げられます。病院内で日常的に交わされるコミュニケーションには、患者の個人情報や治療に関する機密情報が含まれるため、一般的なビジネス向けチャットツールではセキュリティ面での懸念が残るのが理由です。ここでは、Rocket.Chatが医療従事者から高く評価されている具体的な理由をわかりやすく解説します。

オンプレミスで患者情報を院内管理

オンプレミスで患者情報を院内管理できることは、情報漏洩を防ぐ上で非常に有効な手段です。Rocket.Chatは、病院が保有する自社のサーバーやデータセンター内にシステムを構築するオンプレミス環境での導入を選択できます。

外部ネットワークから遮断された安全な通信環境

外部ネットワークから遮断された安全な通信環境を構築することは、機密情報を守るための基盤となります。クラウドサービスを利用する場合、インターネットを経由してデータを送受信するため、外部からのサイバー攻撃や不正アクセスのリスクを完全に排除することは困難です。しかし、オンプレミス環境であれば、外部のインターネット網から遮断された院内の閉域網でシステムを運用できるため、第三者による傍受や情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。この仕組みによって、医師や看護師は患者の氏名や症状などの情報をチャット上で安全に共有できます。

医療情報システムの安全管理ガイドラインへの対応

医療情報システムの安全管理ガイドラインへの対応も、ツール選定の重要な基準です。医療機関がITツールを導入する際は、国が定める厳格なセキュリティ基準を満たす必要があります。厚生労働省が公開している医療情報システムの安全管理に関するガイドラインから示されている通り、患者情報の保護やアクセス権限の適切な管理は医療機関の義務となっています。Rocket.Chatをオンプレミスで運用することで、これらのガイドラインが求めるアクセスログの長期保存や、細かな権限設定などの要件に確実に対応できます。

既存の医療システム・電子カルテとの連携対応

既存の医療システム・電子カルテとの連携対応が充実している点も、Rocket.Chatが多くの病院で導入されている理由の一つです。医療現場ではすでに多様なシステムが稼働しており、新しいツールを導入する際はそれらとの親和性が問われます。

オープンソースを活かした柔軟なカスタマイズ性

オープンソースを活かした柔軟なカスタマイズ性も、このツールが持つ大きな特徴です。Rocket.ChatはOSS(オープンソースソフトウェア)として提供されているため、システムの内部構造を把握しやすく、病院ごとの独自の業務フローや既存システムに合わせて柔軟にカスタマイズできます。API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を利用することで、他の医療情報システムとシームレスにデータを連携できます。

システム間連携による業務効率化の具体例

システム間連携による業務効率化の具体例として、いくつかの活用方法が挙げられます。既存のシステムとRocket.Chatを連携させることで、医療スタッフの業務負担を軽減し、迅速な情報共有を実現できます。具体的な連携の例と期待できる効果を以下の表にまとめました。

連携する医療システム 連携によって実現できる機能と効果
電子カルテシステム 電子カルテ上で更新された患者の検査結果や処方変更の通知を、担当チームのチャットルームへ自動的に送信できます。この連携によって、確認漏れを防ぎ迅速に対応できます。
ナースコールシステム 患者からのナースコールを、担当看護師のスマートフォンにインストールされたチャットアプリへ直接通知できます。音声だけでなくテキストで状況を把握できるため、優先順位を容易に判断できます。
シフト管理・勤怠システム 当日の出勤状況や担当病棟のシフト情報をチャットツール上で確認できます。緊急時に連絡を取るべき相手を即座に特定できるため、スムーズに連携できます。

このように、Rocket.Chatは単なるコミュニケーションツールにとどまらず、院内のあらゆる医療情報システムをつなぐハブとして機能するため、医療現場全体のデジタルトランスフォーメーションを推進できます。

よくある質問(FAQ)

患者情報をチャットでやり取りすることは法的に問題ありませんか?

患者情報をチャットでやり取りすることは法的に問題ありませんかという疑問について、適切なセキュリティ対策が講じられているチャットツールを使用する限り、法的に問題なく運用できます。ただし、医療機関が患者情報を取り扱う際は、厚生労働省が定める医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠した運用が求められるのが理由です。ガイドラインの基準を満たすことで、安全に患者情報を共有できます。

医療現場でチャットツールを利用する際に確認すべき主なセキュリティ要件は以下の通りです。

要件項目 具体的な対策内容
通信の暗号化 エンドツーエンド暗号化などを活用して、第三者から通信内容を盗聴されないように対策できます。
端末の認証とアクセス制御 許可された端末やスタッフのみがシステムにアクセスできるように制限できます。
ログの取得と保管 いつ誰がどの情報にアクセスしたかの履歴を記録し、不正アクセスを追跡できます。

電子カルテシステムと連携できますか?

電子カルテシステムと連携できますかという疑問に関して、導入するチャットツールの仕様に依存するものの、多くの業務向けチャットツールではAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を利用して連携できます。電子カルテシステムと連携することで、チャット画面から直接患者情報を参照したり、チャットでの会話履歴をカルテに記録したりできます。

電子カルテシステムと連携することで実現できる主な機能は以下の通りです。

連携機能 期待できる効果
患者情報の自動通知 検査結果やバイタルサインの異常値が電子カルテシステムに登録された際、担当医師や看護師に自動で通知を送信できます。
申し送り事項の記録 チャットツール上でやり取りした申し送り内容を、そのまま電子カルテシステムの記録として保存できます。
予約情報の共有 患者の診察予約や手術のスケジュール変更を、関係するスタッフ全員へ即座に共有できます。

既存のシステム環境から新しいチャットツールへ移行する際は、提供会社が用意する連携オプションやカスタマイズ開発を利用することで、現場の業務フローに合わせた柔軟な連携体制を構築できます。

スタッフのITリテラシーが低くても導入できますか?

スタッフのITリテラシーが低くても導入できますかという懸念に対して、直感的な操作画面を備えたチャットツールを選ぶことで、医療現場でもスムーズに導入できます。普段からスマートフォンで個人向けのメッセージアプリを利用しているスタッフであれば、類似した操作感を持つチャットツールを選ぶことで、操作方法をすぐに習得できます。

導入を成功させるためには、以下のポイントを意識して運用ルールを定めることで、すべてのスタッフが迷わず利用できます。

導入時の工夫 具体的な取り組み
シンプルなマニュアルの作成 最低限必要な機能(メッセージの送受信や画像の添付など)に絞ったわかりやすい手順書を配布できます。
段階的な導入 まずは一部の病棟や特定のプロジェクトチームから試験的に導入し、課題を洗い出してから全体へ展開できます。
院内サポート体制の構築 操作に詳しいスタッフを各部署の推進担当者として配置し、現場ですぐに質問できる環境を整えられます。

また、チャットツールの提供会社から導入支援サポートを受けることで、初期設定やスタッフ向けの説明会を代行してもらうこともできます。

まとめ|病院・医療現場がチャットツールを選ぶための判断基準

まとめ|病院・医療現場がチャットツールを選ぶための判断基準

病院や医療現場におけるチャットツールの導入は、多職種間の円滑な連携を実現し、情報伝達の遅延防止や業務効率化に大きく貢献します。しかし、患者の機微な個人情報を扱う性質上、厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した高度なセキュリティ対策が不可欠です。

ツール選定の際は、情報漏洩を防ぐためのオンプレミス環境での構築可否や、既存の電子カルテシステムとの安全な連携、そして現場スタッフが直感的に操作できる使いやすさが重要な判断基準となります。自院の運用体制とセキュリティ要件を慎重に見極め、安全かつ利便性の高いシステムを選択することが、医療DXを成功に導く鍵となります。

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この記事の執筆・監修者
島村 奉明
三和コムテック株式会社
Rocket.Chatプロダクトマネージャー
PCハードメーカーの企画営業としてエンタープライズ企業を担当、2023年三和コムテックに入社。
新規ソリューションの営業・企画面にて参画。中小企業から年商1,000億円以上の企業まで幅広く対応。
PCIDSS保持に関するセキュリティソリューションの導入を支援。脆弱性診断系を専門分野とする。
近年は、金融機関、カード会社、流通事業者へのセキュリティコミュニケーションツールとしてオンプレミスチャットの導入を推進。Security情報の啓蒙活動に従事し、お客様イベントにて講演多数。

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