クラウドファーストの考え方が一般的になりつつあるなか、セキュリティや自由度の観点からオンプレミスに回帰している企業も少なくありません。なかでもオンプレミス型への移行が進みつつあるのがビジネスチャットツールです。本記事ではオンプレミス型ビジネスチャットツールの概要やメリット、デメリットなどについて解説します。
オンプレミス型のビジネスチャットツールとは
近年、コミュニケーションツールの主流がEメールからビジネスチャットツールへと移行しつつあります。NTT西日本が運営するビジネス情報サイト「Biz Clip」の調査(※1)によると、国内企業におけるビジネスチャットの導入率は全体で43.1%、従業員数1万人以上の企業では79.9%でした。さらに同調査によると利用しているビジネスチャットツールの大多数がクラウド型という結果でした。
しかし、近年海外を中心にクラウドの利用をやめてITインフラ環境を自社管理へ回帰する「オンプレミス回帰」という選択肢を選ぶ企業が増えつつあります。その結果、企業や組織の特殊性からクラウドを使えない場合なども含め、需要が高まっているのがオンプレミス型のビジネスチャットツールです。
(※1)参照元:企業のビジネスチャット利用実態調査2023|Biz Clip
オンプレミス型とクラウド型との違い
ビジネスチャットツールの運用形態は、オンプレミス型とクラウド型の2つに分類されます。オンプレミス型は自社が保有しているサーバーにソフトウェアをインストールし、ビジネスチャットツールを運用する形態です。
一方のクラウド型はサービス事業者が提供するサーバーを利用し、インターネットを経由して利用します。そのため、ソフトウェアなどを所有せずとも利用でき、インターネット環境と対応しているデバイスが整っていればどこからでも利用できます。
オンプレミス型の導入がおすすめな企業・組織
詳しくは後述しますが、オンプレミス型の利点はセキュリティ性とカスタマイズ性の高さです。クラウド型のビジネスチャットツールはオンライン上のパブリック環境でITリソースを共有する性質から、オンプレミス型と比較した場合に情報セキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性が懸念されます。
またSaaS型のビジネスチャットツールは提供される機能の範囲でしかカスタマイズができないため、自社の業務要件を満たせるわけではありません。そのため、堅牢なセキュリティ要件を満たす必要があり、なおかつ自社のさまざまな要件に対応できる柔軟性を求める企業や組織にはオンプレミス型がおすすめです。
オンプレミス型が注目を集める背景
先述したように、クラウド型はパブリック環境でリソースを共有する性質のため、常にマルウェアや不正アクセスのリスクにさらされています。クラウド市場の拡大に伴ってクラウドサービスを標的とするサイバー攻撃は激化しており、DDoS攻撃によるシステムダウンやランサムウェアの被害にあう企業も増加傾向にあります。
また、クラウドサービスは初期費用を削減できる点がメリットですが、単一のサービスで自社の要件を満たすのは難しく、複数のクラウドサービスを併用する企業も少なくありません。その結果、契約が重なって運用管理や設定管理が複雑化するとともに、かえってトータルコストが高額になるケースがあります。
さらにクラウドストレージの設定ミスにより、数万の顧客情報に認証なしでアクセスできる状態にあったという事例もあります。これはパブリック環境でリソースを共有するクラウド特有のリスクと、システムの運用管理における負荷増大がセキュリティインシデントの一因と考えられます。
ここで取り上げたクラウド型のデメリットはビジネスチャットツールに限定されるものではなく、クラウドコンピューティングを基盤とするサービス全般に共通する課題です。クラウド市場は世界規模で高い成長率を維持しているものの、それと相反するようにセキュリティやコスト、運用負荷などの観点から国内外の大手企業の一部ではオンプレミス回帰への動きが広がっています。
オンプレミス型ビジネスチャットツールの主なメリット
セキュリティ性が高い
オンプレミス型とは自社で設置・管理を行う形態です。そのため、クラウド型と比較してセキュリティインシデントのリスクを最小限に抑えられる点がメリットです。とくにビジネスチャットツールは機密度の高い情報や重要なファイルを共有する機会が多く、厳格なセキュリティが求められる業種ではオンプレミス型の需要が高い傾向にあります。カスタマイズ性が高い
クラウド型のビジネスチャットツールはSaaSが主流であり、基本的な機能やプランの範囲内でしかカスタマイズを行えません。それに対してオンプレミス環境でビジネスチャットツールを運用する場合、自社のセキュリティ基準に沿って自由に設計できます。とくにOSS(オープンソースソフトウェア)のビジネスチャットツールは導入や運用のコストを安価に抑えられるとともに、自社の業務要件とシステム要件に特化したカスタマイズが可能です。
オンプレミス型ビジネスチャットツールの主なデメリット
導入コストが高い
一般的なオンプレミス型は、サーバーやネットワーク機器といったITリソースをすべて自社で調達しなくてはなりません。また、ITインフラの保守・運用における継続的な管理コストも発生します。そのため、クラウド型と比較すると導入費用と管理コストの両面において高額になる点がオンプレミス型のデメリットです。
構築に時間がかかる
SaaSが主流であるクラウド型はオンライン上で契約手続きをすれば、すぐに利用できます。それに比べてオンプレミス型のビジネスチャットツールは導入計画の立案・策定に始まり、機能要件と非機能要件の定義、ハードウェアの設置やシステムの実装、単体テストや結合テストなど、環境の構築から運用までに多大な時間を必要とします。
ビジネスチャットツールは「Rocket.Chat」がおすすめ
「Rocket.Chat」とは、オンプレミス環境にチャットシステムを構築できるビジネスチャットツールです。閉域網でもビデオ会議やスマートフォンのプッシュ通知を利用できるため、業務の効率化を支援するとともに情報共有のリアルタイム性を確保できます。
また、オープンソース型なので機能の追加や削除が容易で自由度が高く、セキュリティの堅牢性とカスタマイズの柔軟性を兼ね備えている点もRocket.Chatの特長です。自社の組織体制やビジネスモデルとの適合性を確認したい場合には、以下のリンクから30日間の無料トライアルをお試しください。
まとめ
オンプレミス型のビジネスチャットツールは自社で設置・管理を行う形態で、セキュリティ性とカスタマイズ性に優れる点が大きな特長です。一方のクラウド型は初期費用と管理コストを安価に抑えられるものの、提供される機能の範囲でしかカスタマイズできず、パブリック環境でリソースを共有する性質からセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性が懸念されます。セキュリティ上の問題を解消するとともに、自由度の高いビジネスチャットツールをお求めなら、オープンソース型で外部サービスとの連携性に優れている「Rocket.Chat」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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