業務用チャットツール導入の参考にメリットや選び方のほか注意点なども解説

 2024.03.21  三和コムテック

業務用チャットツールの導入を検討する場合、何を基準に選べばよいのかは悩ましいところです。そこでこの記事では、業務用チャットツールのメリットや活用シーン、導入形態や選び方などを解説します。
重要なのは、利用者の教育を含めたセキュリティ対策をしっかり行い、注意点をふまえて活用することです。導入目的や機能、連携性などを確認し、自社に合ったツールを導入しましょう。

業務用チャットツールを利用しよう

チャットツールでは、リアルタイムのチャット形式でコミュニケーションをとれます。
プライベートな連絡手段として利用可能ですが、中にはビジネスにおける利用に特化し、業務での活用を想定した仕様になっているツールもあります。それが業務用チャットツールです。「業務用チャットツール」「ビジネスチャット」とも呼ばれ、統一的な定義はありません。この記事では「業務用チャットツール」として解説します。
業務用チャットツールにはビジネスに役立つ多くの機能が搭載されているため、多くの企業が活用するようになりました。

業務用チャットツールの活用シーン

日常的な社内コミュニケーションに加え、業務用チャットツールは以下に示す場面で活用できます。

  • 全社員への通知
  • 会議、面談
  • 業務報告
  • 勤怠管理
  • ファイル管理、共有
  • 社外の相手との連絡手段
  • 他のツールとの連携
  • 情報のメモや記録

業務用チャットツールは、パソコンのみならずスマートフォンからも利用しやすく、利便性にも優れています。チャット履歴や資料などのデータが蓄積されるため、データベースとしての利用も可能です。さらには、工夫次第で日報の送付もできるなど幅広く活用でき、さまざまな業務で発生する手間や時間の削減・短縮が可能になるため、業務負担を減らせます。

業務用チャットツールのメリット

業務用チャットツールの導入により、情報共有やリモートワークなどがスムーズに行えるようになり、プライベートとの区別もつけられます。具体的には、以下のような効果や変化が生まれます。

情報共有スピードを早められる

これまで企業では、メールや口頭、書面配布などの手段で情報が共有されてきました。しかし、メールは一件ごとに開封する必要があり、口頭や書面での情報伝達を行う場所は基本的に社内に限られます。時間や手間がかかる従来の方法に比べ、業務用チャットツールならばリアルタイムでスピーディーな情報共有が可能です。
メールのようなビジネス向けの挨拶文も不要であり、簡潔に用件を伝えられるので業務時間の短縮につながります。さらには情報の行き違いや伝達忘れ、ミスも大幅に軽減できて生産性向上が見込めます。

複数人が一緒にコミュニケーションをとれる

メールや電話などを使った従来のコミュニケーションは、基本的に一対一のやり取りでした。一方でチャットツールは、グループチャット機能によって複数人が同時にコミュニケーションをとれます。部門やプロジェクトメンバー別にグループを作成することで、スムーズな意見交換が可能です。チャット形式で部署や部門を超えた気軽なやり取りができるため、コミュニケーションも活発化します。
また、プロジェクトのスケジュールや資料、ファイルなどを共有すれば、必要な情報を一か所に集約できます。連携して作業しやすくなり、効率的に業務を進められるはずです。

リモートワークに活用できる

近年では、多くの企業がリモートワークを導入するようになりました。業務用チャットツールは相手がどこにいてもコミュニケーションをとれるため、リモートワークにも適しています。
外出中の社員や社外の相手と会議や進捗確認ができ、緊急の案件にもすぐに対応できます。さらに、相手のログイン状態がわかる機能や離席を通知してくれる機能などもあり、相手の状態まで把握可能です。
社員はどこからでも社内と同じように業務を進められるため、柔軟な働き方が実現します。企業としては採用の幅を広げられて、優秀な人材の確保にもつながるはずです。

プライベートとは別の連絡手段として活用

公私の区別を明確化できる点も、業務用チャットツールの大きなメリットです。
プライベートで使っているチャットツールを業務でも利用すると、業務とプライベートの連絡を混同しやすくなるほか、重要なメッセージの見落としなども発生しかねません。その結果、重要な情報を社外の相手に誤送信する可能性が高まります。情報漏洩によって企業が受ける損害は計り知れません。
業務用のチャットツールを導入すれば業務の連絡のみを回せるようになり、誤送信のリスクやミスを大幅に低減可能です。誤送信を過度に恐れる必要もなくなるため、ストレスなく業務に集中できます。

業務用チャットツールの導入形態

業務用チャットツールの導入形態は、大きく分けてクラウド型とオンプレミス型の2つです。それぞれの概要や特徴、メリットについて以下に解説します。自社の業務形態や利用環境をふまえて、適切なタイプを選びましょう。

クラウド型

クラウド型は、インターネット経由で利用する形態です。サーバはベンダー元にあるため、インターネット環境があれば場所や時間を問わず利用可能です。ベンダーと契約すればすぐに利用開始でき、自社でサーバ構築する必要はありません。したがって、導入にかかる手間やコストを抑えやすくなります。
一般的に利用者数や機能に応じて料金が決められるため、状況次第でコストが高くなる可能性があります。一方で利用者数や必要な機能が変わった場合は契約プランを見直せば足り、柔軟な運用が可能です。

一方で、セキュリティや機能はベンダー任せになることから自社独自のカスタマイズはしにくい点や、不特定多数がサーバを利用するため外部攻撃を受けるリスクが高い点には注意しましょう。

オンプレミス型

オンプレミス型は、自社サーバにシステムを構築・運用する形態です。業務上で重要な情報を安全かつ安定的にやり取りしたい場合には、オンプレミス型のチャットツールが強みを発揮します。
オンプレミス型のメリットは、セキュリティが高度であり、カスタマイズが自由な点です。クラウド型のサーバと異なり、利用者は基本的に自社の社員に限られるため、外部から攻撃を受けるリスクを減らせます。また必要な機能のみを組み合わせられるので、自社に最適なツールを用意できます。加えて、オフラインでも利用可能なため、通信障害などの影響を受けにくいことが特長です。

ただし導入時には、サーバやソフトウェアの購入費などのコスト、手間がかかります。さらに導入後は、システムのメンテナンスや機器の増設もすべて自社で行うため、システム構築や保守運用に対応できる人材が必要です。こうした点から、クラウド型よりも手間やコストがかかる傾向にあります。

業務用チャットツールの選び方

業務用チャットツールには多くの種類があり、機能や特徴、料金体系もさまざまです。自社の業務を最適化してくれるチャットツールを選ぶにあたり、導入目的や機能、操作性や連携性に着目しましょう。それぞれのポイントと内容について、以下に解説します。

導入目的

優れたツールを導入しても、目的に合っていなければ効果を発揮できません。まずは導入する用途・目的、重視するものを明確にすることが重要です。
社内コミュニケーションの円滑化を目指すならば、チャットや掲示板、ビデオ会議などを備えた使いやすいツールが適します。業務効率化を図るならば、スケジュール管理や情報共有がしやすいものを選びましょう。
幅広い年代の人が使う場合は導入実績が豊富なもの、緊急時に備えたいならば安否確認機能が充実したものを選ぶ、というように、目的に応じたツールを検討する必要があります。

機能

業務用チャットツールは、コミュニケーション以外にもさまざまな用途で利用可能です。導入目的に合致する機能を備えたツールを選びましょう。
一般的な機能の例は、以下の通りです。

  • チャット機能、グループチャット機能
  • 音声通話機能、ビデオ通話機能
  • ファイル管理・共有機能
  • タスク管理機能
  • 検索機能
  • スタンプ機能
  • ユーザー管理機能

上記の機能に加え、位置情報共有などの機能を備えたツールもあります。単に多くの機能が搭載されていればいいわけではなく、その機能によって自社の課題をどう解決できるかに着目しましょう。

使いやすさ

同じ機能でも、ツールによって使いやすさは異なります。社員のスキルや年代の幅が大きい場合、中にはツールを使いこなせない人も出てくるかもしれません。情報共有や連絡がスムーズにできなくなれば、業務が滞ってしまいます。ツールの利用方法についての教育を実施すれば改善が見込めますが、コストや手間もかかります。
そこで、すべての社員にとって使いやすい、シンプルな操作ができるツールを選びましょう。無料トライアル版を提供しているツールを試用して、現場の声を聞くのも手です。社員が無理なく継続的に活用するためには、利用者目線での検討が重要です。

費用

業務用チャットツールにかかる初期費用や利用料金は、ツールにより異なります。導入目的と機能、操作性と費用が釣り合ったツールを選びましょう。
月払いの有料プランを採用しているツールや、一定の利用者数ごとに料金が変わるツールもあるため、長期的に活用する場合は費用面の検討も必要です。現在の利用者数だけでなく、人数が増減することも想定して試算することがおすすめです。
無料で利用可能なツールもありますが、利用量や機能面の確認が必要です。

連携性

営業支援ツールやペーパーレス化ツール、顧客管理ツールなど多くのツールを利用している企業もあります。現在のツールと業務用チャットツールを適切に連携させれば、ツール単体よりも成果をあげることができ、業務効率化が期待できます。
例えば、顧客管理ツールで更新された情報がチャット画面に通知される、営業支援ツールの情報をリアルタイムで受け取りディスカッションできるといった活用が可能です。個別のツールで情報確認する必要もなくなり、ミス発生リスクも低減できます。

セキュリティ

業務用チャットツールで扱う情報には個人情報や機密情報が含まれるため、セキュリティ対策を万全にして情報漏洩のリスクを低減しなければなりません。プライベートのチャットツールに比べ、業務用ツールのセキュリティは一般的に高レベルです。暗号化や権限管理、端末認証やログ管理など、多くのセキュリティ機能があります。
ツールごとにセキュリティ設定や体制、機能は異なるため、自社に必要なセキュリティレベルを見極めてツールを検討しましょう。

業務用チャットツールのセキュリティ対策

上述のように個々のツールやプランでセキュリティレベルを確認することが重要ですが、実際の利用にあたってはより安全に使えるような対策を考えましょう。対策の例としては、下記に示すパスワード複雑化やセキュリティ機能の活用、社員への教育などが挙げられます。

パスワードを複雑化する

パスワードが第三者に知られてしまうと、アカウントの乗っ取りや、それに伴う情報漏洩などが生じるかもしれません。パスワードの複雑化は、基本的なセキュリティ対策のひとつです。設定するパスワードは、簡単な単語や短いもの、予測しやすいものを避けましょう。英字や数字、一部の記号や大文字・小文字を組み合わせて文字数の多いパスワードにすることが推奨されます。予測困難なパスワードに設定することで、総当たり攻撃によるパスワード流出のリスクを減らせます。
さらに、パスワードの定期的な変更も対策として効果的です。このとき、一度使用したパスワードの再利用は避けましょう。

セキュリティ機能を活用する

上述の通り、業務用チャットツールには複数のセキュリティ機能が搭載されています。情報を守るための対策として有効な機能の例は、以下の通りです。

  • IPアドレス制限:登録されたIPアドレス以外のアクセスを制限する
  • 暗号化:データを暗号化して情報漏洩を防止する
  • 端末認証:認証された端末からのみ、利用できる
  • 2段階認証:ログイン時の認証を2段階設ける
  • ログ保存:保存した保存ログを確認し、問題に対する原因解明をする
  • メッセージ削除:誤送信したメッセージを削除する

IPアドレスに制限をかけることで、自社のネットワーク以外からのアクセスを防止できます。認証された端末が盗難に遭っても、暗号化や2段階認証の設定をしておけば、速やかに認証を取り消すことで情報が漏洩する可能性を大幅に減らせます。
これらの機能を適切に活用して、セキュリティ対策をしましょう。

利用者の教育を実施する

重要なのは、チャットツール自体の対策だけではありません。不審なメールに返信する、端末を紛失するなど、利用方法や情報管理に問題があれば情報漏洩のリスクは高まります。
そこで、利用ルールを策定し、利用者に対してセキュリティ教育を実施しましょう。メールの送信元確認や外出先での端末管理の重要性に加え、リスクや被害の具体例を取りあげることが効果的です。教育を通して利用者はセキュリティ対策に必要な知識を身につけ、リテラシーや意識を高められるはずです。
対策を行ってもサイバー攻撃などの手口は日々多様化し、セキュリティリスクを完全にはなくせません。そのため利用者には最新の情報を提供し、継続的な教育を行いましょう。

業務用チャットツールの注意点

セキュリティ対策に加えて、利用にあたりいくつか注意すべきポイントがあります。利用者の意識や不注意など、便利さゆえに生じる問題もあります。以下に紹介する注意点を押さえて、効率的な利用を心がけることが大事です。

非効率なコミュニケーションの発生

業務用チャットツールを活用すれば、簡便にコミュニケーションがとれて効率化を図れます。しかし、気軽さゆえにメッセージを送りすぎると、メッセージの受け手側は返事をするのが負担になり、集中力が落ちて仕事がおろそかになる恐れもあります。また、重要な連絡なのか、単なる雑談的なコミュニケーションなのかの区別がつきにくくなるのも問題です。
さらに、場所や時間を問わずメッセージを送れることで、業務時間外でも頻繁に連絡してしまう場合は、公私の区別が曖昧になりかねません。社内でルールを明確化するなどの工夫が必要です。

情報の埋没

業務用チャットツールではリアルタイムで多数の情報が行き交い、メッセージが次々に伝達されます。目の前の情報を処理することに追われ、重要な情報を見逃してしまうかもしれません。
蓄積した情報が膨大になれば、業務に必要な情報は埋もれやすくなります。見逃した情報は検索できますが、探す手間がかかるうえ情報元がわからない場合は見つけにくくなる可能性があります。チャットツールを使い慣れていない人も簡便に検索できるように、マニュアルや研修を充実させましょう。
業務用チャットツール以外にも情報伝達手段がある場合は、情報の分散にも注意が必要です。ツールで管理している情報の範囲や種別を明確にしたうえで、効率的に探せるようにすることが重要です。

まとめ

業務用チャットツールは、日常の社内コミュニケーションから会議や外部との連絡まで、幅広く利用できます。導入すればスピーディーな情報共有や複数人での同時コミュニケーションが実現され、リモートワークにも活用可能です。利用するうえでは、セキュリティ機能を強化し、情報の埋没などに注意して利用することが大切です。

ツールを選ぶ際は、機能や費用、他のツールとの連携性に加え、セキュリティに着目しましょう。
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