ビジネスチャットは業務上のコミュニケーションの効率化を図れる有用なツールです。本記事では、ビジネスチャットの導入を検討している方に向けて、主にOSS(オープンソースソフトウェア)型ビジネスチャットの導入事例を紹介します。
ビジネスチャットの導入事例
OSS(オープンソースソフトウェア)型ビジネスチャットを導入することで、どのように業務の効率化やコスト削減につながったか、各事例で詳しく紹介します。
金融機関の事例:内部ツールを統合しDXを推進
9万人以上もの従業員を持つ中南米の大手、A銀行では、OSS(オープンソースソフトウェア)型ビジネスチャットを導入することで、社内ツールの統合に成功しています。
同行では顧客の本人確認に電話をしながら別のツールを使う必要がありましたが、各ツールの情報が一元化されておらず、情報のサイロ化が発生していました。これはコストや工数増加の問題だけでなく、顧客サポートが煩雑になることで顧客体験も損なわれるという問題を抱えていました。そこで同行は、オムニチャネル戦略を実現するためのオープンソースプラットフォームとして、「Rocket.Chat」を導入しました。外部から遮断されたネットワーク内で用いるためセキュリティ性が高いこと、オープンソースであるためカスタマイズ性に優れていることが導入の決め手でした。
「Rocket.Chat」の導入後、同行では電話でのサポートを新しいサポートツールに置き換えた上で、各ツールやアプリケーションを同一のプラットフォームに統合しました。「Skype」をはじめ、ブラジルで最も一般的なメッセージングアプリのひとつである「Whatsapp」とも連携させ、ユーザビリティの向上を実現しました。社員は同時に5人以上の顧客ともコミュニケーションが取れることから、パフォーマンスが約80%も上がったといいます。サポートの迅速化とコスト削減にもつながっています。
同行の導入事例は、中南米における金融機関のDX事例としても注目されています。
行政機関の事例:安全性の高い特化ツールを開発
アメリカ・テキサス州ヒューストンの行政機関でも「Rocket.Chat」を導入することで、「Bridge 4 Public Safety」というシステムを実現しています。
「Bridge 4 Public Safety」は米国国土安全保障省が資金提供してリリースされた、ユーザーに州のハリケーン情報などを共有するシステムです。ハリケーンシーズンの注意喚起をはじめ、事件や事故、パンデミック情報、公共イベントの告知などにも使われています。特に2020年に発生したハリケーンは記録的なものでしたが、このツールを用いたことで州の境界を越えたスムーズな情報共有とシームレスな相互援助が可能になりました。
同機関では「Rocket.Chat」を導入する以前、ソースコードが非公開のクローズドソースソフトをオンプレミスで検証したものの、ソースの所有権がベンダー側にあり、アプリの使用状況に関するデータの可視化が困難であったことに障害を感じていました。そこで自己管理型のオープンソースソリューションで安全性が高いものを求め、結果的に最もマッチした「Rocket.Chat」に決定。そして実現したのが、高いセキュリティ性を保ったコミュニケーションツールです。
ユーザー向けのメッセージアプリと社内のプラットフォームのギャップも埋めることで、従来よりも迅速に各問題に取り組めており、住民の安全で豊かな暮らしに寄与しています。
旅行業の事例:世界規模のスーパーアプリを構築
ドイツ鉄道のデジタルパートナー「DBSystel」でも、「Rocket.Chat」が活躍しています。
同社では「Assistify」という、デジタル旅行コンシェルジュとして機能するプラットフォームを開発しました。広く普及しているSMSと連携し、メッセージ機能などを備えることで、ホテルの予約からチケットの手配、フライト予約などをシームレスに行えるのが特徴です。人間のエージェントとAIを組みあわせて回答をよりスピーディにすることで、優れた顧客体験も提供できるようになりました。
CRM機能も備えた「Assistify」を開発する際には、ユーザー情報を扱うためセキュリティの高さが重要でしたが、「Rocket.Chat」はその要件を全て満たしていることと、オープンソースであり、柔軟にカスタマイズが加えられるという2点が導入の決め手になりました。
現在「Assistify」はより多くのシステムを統合し、旅行者を強力に支援するスーパーアプリになっています。
不動産業の事例:ペーパーレス化・業務効率化
「Rocket.Chat」以外のビジネスチャットの事例としては、次に挙げるようなものがあります。
ITに不慣れな社員が多い環境にあるB不動産会社では、DX推進の一環としてビジネスチャットを導入しました。今までは、連絡手段はメールか電話しかなく、情報共有のスピードが格段に遅れていました。ビジネスチャットを導入し、今まで紙で行っていた業務をすべてビジネスチャットに一元化しました。それにより、情報共有のスピードが上がり、業務効率化につながりました。また、ペーパーレス化によってコスト削減や情報の可視化にもつながっています。
OSS型ビジネスチャットを選ぶ4つのメリット
ご紹介した事例のほとんどが、OSS型のビジネスチャットを用いたものです。なぜOSS型が選ばれるのか、詳しく解説します。
1. 信頼性が高い
まず、一般的に信頼性が高いことが挙げられます。OSSはソースコードが公開されており、外部からの検証を多く受けるため、おのずと不正や脆弱性などに対する信頼性が高まります。オンプレミス環境に導入する際に、自社でも定期的にセキュリティなどのチェックを行うことで、より信頼性が高まります。
2. 柔軟性が高い
OSSは、システムの連携やプラグインの開発が容易なこともメリットです。ソースコード自体に手を加えられるので、自社に特化したカスタマイズが可能になるほか、他業種などとも連携して付加価値をつける「オープンAPI」の構想を進めるためにも有効です。
3. 安定性が高い
一般的にクローズドソースソフトはベンダー側に権利があるため、サポートの急な打ち切りなども考えられます。その一方、ソースが公開されているOSSの場合、メンテナンスは自社で長期的に行いながら運用を続けられます。
4. コストが安い
一般的には、多くのOSSはライセンス料金が発生しません。オンプレミス環境でのシステム構築は費用がかかるというデメリットがありますが、OSSをベースとしたシステムを構築するのであれば、コスト削減も可能です。
OSS型ビジネスチャットなら「Rocket.Chat」がおすすめ
上記のようなメリットのあるOSS型のビジネスチャットですが、中でもおすすめしたいのは、セキュリティ性とカスタマイズ性に定評のある「Rocket.Chat」です。
「Rocket.Chat」は閉域網(オンプレミス環境)で使えるビジネスチャットで、高いセキュリティ性を備えています。チャットの内容は暗号化され、サイバー攻撃などの悪意ある第三者からの閲覧を阻止します。閉域網でもクラウド型と同様、ビデオ会議やプッシュ通知の設定なども行えます。
前述の導入事例のように、ビジネスチャットのみにとどまらない使い方も可能です。30日間の無料トライアル期間もあるので、その操作性なども含めて検討をするのがおすすめです。
まとめ
ビジネスチャットを導入するなら、自由にカスタマイズを加えられるOSS型のものがおすすめです。
中でもオンプレミス環境で利用する「Rocket.Chat」は、閉域網でもビデオ通話ができるなど、セキュリティ性の高さと利便性を両立させたビジネスチャットです。カスタマイズも自由に行えるので、自社のニーズに沿ったビジネスチャットを探している場合にも適しています。
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