RPAで自動化できる業務とは?
AIとの違いや成功させるポイントを解説

 2024.03.05  三和コムテック

DXでよく活用されているRPA(Robotic Process Automation/ロボティック・プロセス・オートメーション)。ソフトウェアロボットが人間の作業を肩代わりする技術で、反復作業を自動化するのに役立ちます。大手銀行でもRPAを活用して年間8,000時間の労働時間を削減するなど大きな成果を上げました。

しかし、AIとの違いや任せるべき作業がわからないと敬遠するケースも見られます。そこで本記事では、RPAがどのような技術か、導入に向いている業務、成功させるポイントについて紹介します。

RPAで自動化できる業務とは?AIとの違いや成功させるポイントを解説

業務の自動化に役立つRPAとは?

RPAは、Excelのマクロ機能のように作業を記録し、繰り返し実行できるツールです。しかしExcelよりも作業範囲が広く、様々なアプリケーションやクラウドシステムの操作を自動化できることが特徴です。現場でも経営面でも多くのメリットが期待できます。

RPAとは?

RPAとは、「ロボットによるプロセス自動化」という意味合いで、従来手作業で行っていたパソコン作業をソフトウェアロボットが代わりに実施する技術を指します。
例えばデータの転記作業であれば、RPAで「転記元のデータファイルを起動し、1行ずつセル単位で順番にコピーして、別システム上のファイルにペーストする操作を記録します。それにより、同じ操作内容をRPAが繰り返し実行できるようになり、作業の手間を大幅に削減できます。

プログラミングの専門知識を持っていなくても直感的に設定できる点がRPAの特徴です。RPAをうまく活用すると、業務効率化や生産性向上に役立ちます。

RPAとAIの違い

RPAと混同しやすい概念のひとつにAI(人工知能)があります。前述のとおり、RPAは作業を記録し実行する技術で、作業内容はあらかじめ設定したルールに従います。一方AIは、データを元に学習して自分で判断を下して作業することが可能です。

混同しやすい理由のひとつとして、RPAにはAI機能を搭載したものがあることが挙げられます。RPAでは機能の違いによりクラス1から3までに分類されています。クラス2以上のレベルではAIを搭載しています。

【RPAの3つのクラス】

  • クラス1:Robotic Process Automation 定型作業の自動化を主に行う
  • クラス2:Enhanced Process Automation 非構造化データの分析など非定型業務の自動化もできる
  • クラス3:Cognitive Automation 高度な自律化により、意思決定も可能になる

一般的にRPAと呼ばれているものは、クラス1の定型業務を自動化するRPAです。

RPAで業務を自動化するメリット

RPAを導入することにより、現場における直接的なメリットと、経営面でのメリットを得られます。

まず現場では、生産性の向上が期待できます。入力やデータ転記などの単純作業をRPAによって自動化することで、従業員は分析や施策の立案といったより付加価値の高い業務に注力できます。従業員のモチベーション向上に貢献する上、入力ミスや読み飛ばしなどのヒューマンエラーを防止できます。

経営面では、人間の代わりの労働力としてRPAを活用することで、人件費の削減に大きく貢献します。RPAは導入・運用コストがかかりますが、24時間、365日稼働できるのが特徴です。人手不足が社会問題になるなか、RPAに任せられる業務は任せてしまうことで、人員配置を最適化できます。

RPAでの自動化に向いている業務

RPAは、業務効率化の効果で出やすい業務と出にくい業務があります。結論から言うと、「作業量が多い」「作業頻度が高い」「ルール化できる」「パソコンで完結する」業務が、RPAに適しています。

言い方を変えると、どんなにマニュアル化されている作業だったとしても、発生頻度が年1回程度であったり、作業量も多くなかったりするケースでは、RPAによる自動化の効果は感じられにくくなります。

RPAに適した業務の例を以下に挙げてみましょう。

作業手順が決まっている日常の定型業務

毎日の売上金額入力や定型的なアンケートの集計作業など、あらかじめ作業手順が決まっておりマニュアル化が可能な作業は、RPAでの自動化に向いています。

Excelから抽出したデータを業務システムに転記する作業や、ライバル会社のWebサイトを巡回した価格調査なども適しています。コストや開発期間の問題からシステム化が難しいような複数システムをまたぐ作業もRPAであれば対応可能です。

大量のデータを繰り返し処理する業務

データの転記作業など大量のデータを繰り返し処理する作業も、人間が作業するよりRPAでの自動化が適しています。

月末特に忙しくなる経理業務での利用にも向いています。たとえば、取引先への請求・入金業務では、クラウドストレージにアクセスしてデータをダウンロードし、請求書に転記して各社にメール送信するといった作業を自動化できます。従業員の勤怠時間を管理して長時間労働に警告をするといった作業もRPAの得意分野です。

在庫管理や調達業務

調達業務は、入力ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすく、決まったルールに従った作業も多いため、RPAによる自動化に向いています。在庫管理システムや生産管理システムとRPAを連携させると、効率的に運用できます。

在庫管理システム内にある在庫数などの情報を、定時に担当者にメールで伝えるようRPAで設定すると、担当者は出先でも最新の在庫状況を把握できるようになります。また、生産数や出荷数などの情報を生産管理システムから取得して在庫管理システム上の在庫数に自動で反映させることも可能です。在庫数が一定数以下になったら自動で通販サイトに発注することもできます。

RPAによる自動化を成功させるポイント

RPAによる自動化は、いくつかのポイントを押さえて取り組むことで成功率が上がります。ここでは、組織でRPAによる自動化を成功させるための4つのポイントをご紹介します。

ポイント① ロボットの開発がしやすいツールを選ぶ

RPAが自動化するのは日常の定型作業です。IT部門よりも経理や総務、調達といった一般部門の作業を自動化することが多いため、ユーザー部門で運用可能なRPAを導入することが最初の成功ポイントになります。その点を考慮するとロボット開発にプログラミングを必要とするRPAは適さないでしょう。開発容易性に優れたものを選ぶことが大切です。

ポイント② 最初は小さく始める

RPAをいきなり会社全体に適用しようとすると100%失敗します。定型作業の自動化によって、これまでの業務内容が少なからず変わるため、いきなり全社に適用してしまうと多大な混乱を招き、RPA本来の効果を失ってしまいます。よってRPA導入初期段階では「小さく始める」こと、いわゆるスモールスタートが肝要です。まずはごく一部でRPAを運用してみて、少しずつノウハウを積み上げながら適用範囲を拡大していきます。

ポイント③ 適切な運用場所を選ぶ

最初にどこでRPAを運用するかという選択は非常に大切です。適切な運用場所を選べるかどうかによって、RPA拡大スピードが決まります。理想は簡単にロボットを開発できて、かつ高い効果が見込めるちょうど良い作業です。

たとえばとある企業では「ファイルダウンロード」という自動化が簡単な作業にRPAを適用しています。そんな特定の作業では高い効果は出ないように思われるかもしれませんが、結果としては月間100時間の作業時間がたったの1時間に短縮しました。年間で見れば1188時間の短縮です。簡単でありながら効果が高い、そんなちょうど良い作業にRPAを運用すれば、ノウハウを多く積み上げ、一気にRPA適用範囲を拡大していけます。

ポイント④ エンジニアと協力する

開発容易性が高いRPAを選ぶことは大切ですが、かといってエンジニアの力が不要というわけではありません。まずガバナンスやセキュリティの維持という観点からエンジニアによる監視は必要です。RPA運用をユーザー部門だけに任せていると、次第に複雑なロボットネットワークが形成されます。そうしたカオスな状況を生み出さないためにエンジニアによる統制が重要です。

もうひとつの理由は、複雑な条件分岐や大規模な自動化にはプログラミングが欠かせないことです。作業の記録で開発できるロボットには限界があるので、より複雑なロボットを開発する際はエンジニアの協力が欠かせません。

以上のポイントを押さえることでRPA導入の成功率はグッと向上します。こうした事前準備や運用を面倒だと思ってしまうと、十中八九RPA活用は失敗します。

まとめ

RPAは、定型業務を自動化し業務効率化を実現する、非常に有用なツールです。導入する際は事前に業務棚卸を行い、今回紹介したようなRPAに適した業務を参考に、何の作業を任せるかを明確にしましょう。簡単で効果の高い作業からスモールスタートして、徐々に運用範囲を広げていくのがおすすめです。

RPAツールは種類が豊富で、導入・運用費用も幅があります。自社のニーズや必要なサポートの有無を考慮して選びましょう。

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