Rocket.ChatとActive Directory連携のメリットとは?
LDAP認証・SSO設定の手順を解説

Rocket.Chatを導入したものの、「社員が増えるたびにチャットアカウントを別途作成しなければならない」「Active DirectoryとRocket.Chatのパスワードが別管理になっていて煩雑」という声は、情シス担当者からよく聞かれます。

この課題の根本原因は、ビジネスチャットと社内ディレクトリサービスが連携されていないことにあります。アカウントが二重管理になると、退職者のアカウント削除漏れや、不正アクセスリスクも高まります。

本記事では、Rocket.ChatとActive Directoryを連携することで得られるメリットと、LDAP認証の設定手順をIT担当者向けにわかりやすく解説します。

対象読者

  • 社内チャットツールの管理担当者
  • アカウント管理を効率化したい情報システム担当者

課題

  • ステムごとのアカウント二重管理による業務負担
  • 退職者のアカウント削除漏れによる情報漏洩リスク

この記事で分かること

  • Active Directory連携で得られるメリットと結論
  • Rocket.Chatにおける具体的なLDAP設定手順

本記事をお読みいただくことで、安全かつ効率的なアカウント統合管理を実現するための具体的なステップが明確になります。

まずはRocket.Chatの全体像を資料で確認する

Active Directory連携で解決できる3つの課題(定義・背景)

Active Directory連携で解決できる3つの課題(定義・背景)

Rocket.ChatとActive Directoryを連携することで、LDAP認証によるアカウント一元管理とシングルサインオンが実現します。

Active Directory連携で解決できる3つの課題(定義・背景)について解説します。企業においてシステムやツールを導入する際、アカウント管理やセキュリティ対策で悩むことはありませんか。Active Directory(AD)とチャットツールなどを別々に管理していると、さまざまな課題が生じます。ここでは、連携によって解決できる具体的な課題を3つ紹介します。

アカウント二重管理の手間をなくす

システムごとにアカウントを管理していると、入社や異動のたびに複数のシステムで登録作業が発生します。このような二重管理は、情報システム部門の負担を増大させるだけでなく、入力ミスの原因にもなります。AD連携を利用すれば、AD側でアカウント情報を更新するだけで連携先のシステムにも自動で反映できます。

手動登録やCSVインポートによる管理と、AD連携による管理の違いは以下の通りです。

管理方法 特徴と課題・メリット
手動・CSV登録 システムごとに登録が必要で、作業工数がかかり入力ミスのリスクがある
AD連携 ADの情報を一元管理できるため、運用負荷を大幅に削減できる

退職者アカウントの削除漏れを防ぐ

退職者や異動者のアカウントがシステム上に残ったままになることは、セキュリティ上の大きなリスクです。各システムを個別に管理していると、削除漏れが発生しやすい状態になります。AD連携を活用すれば、AD上でアカウントを無効化するだけで、連携しているすべてのシステムへのアクセスを即座に遮断できます。

これにより、不正アクセスのリスクを低減し、安全な運用を実現できます。

LDAP認証でセキュリティレベルを向上させる

複数のシステムで別々のパスワードを設定していると、ユーザーがパスワードを使い回したり、簡単なパスワードを設定したりするリスクが高まります。LDAP認証を用いてADと連携することで、ADの厳格なパスワードポリシーを各システムに適用できます。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、内部不正による情報漏えいや不注意による被害が上位にランクインしています。AD連携によって認証基盤を統合することは、こうした脅威に対する有効な対策となります。パスワード管理をADに集約し、セキュリティレベルを向上させることができます

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Rocket.Chat × Active Directory連携の仕組みとは?(仕組み解説)

Rocket.Chat × Active Directory連携の仕組みとは?(仕組み解説)

Rocket.Chat × Active Directory連携の仕組みについて、わかりやすく解説していきます。連携を理解するためには、まず基盤となる技術やそれぞれの役割を把握することが大切です。

LDAPとは何か?Active Directoryとの関係を解説

LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)とは、ネットワーク上にあるディレクトリサービスにアクセスするための通信プロトコルのことです。ユーザー名やパスワード、所属部署などの情報を検索したり、参照したりするための言語として機能します。

一方、Active Directoryは、マイクロソフトコーポレーションが提供するWindows Serverの機能の一つです。ネットワーク上のユーザーやコンピューターの情報を一元管理できるシステムとして、多くの企業で導入されています。

これら2つの関係性は、Active Directoryが情報を保存するデータベースであり、LDAPがそのデータベースと通信するための手段であると考えるとわかりやすいです。Rocket.Chatは、このLDAPを用いてActive Directoryと通信し、ユーザーの認証情報を安全にやり取りできます。

Rocket.ChatにおけるLDAP連携の動作フロー

Rocket.ChatにおけるLDAP連携の動作フローについて説明していきます。ユーザーがログインを試みてから完了するまで、システム内部では以下のような手順で処理が進みます。

ステップ 動作内容
1. ログイン要求 ユーザーがRocket.Chatの画面で、Active Directoryのユーザー名とパスワードを入力してログインを試みます。
2. 認証リクエスト Rocket.Chatは入力された情報をLDAPプロトコルを用いて、Active Directoryサーバーへ送信し、認証を要求できます。
3. 照合と結果応答 Active Directory側で資格情報が正しいかを確認し、認証結果をRocket.Chatに返す仕組みとなっています。
4. アカウント処理 認証が成功した場合、Rocket.ChatはActive Directoryから属性情報を取得し、アカウントを自動作成または更新できます。
5. ログイン完了 ユーザーは一意の識別子を用いて、シームレスにRocket.Chatを利用開始できます。

このように、Rocket.Chat自身はパスワードを保持せず、すべての認証をActive Directoryに委ねることができます。そのため、強固なセキュリティポリシーをそのまま適用できるのが大きな利点です。

【手順】Rocket.ChatとActive Directoryを連携する設定方法(具体例)

【手順】Rocket.ChatとActive Directoryを連携する設定方法(具体例)

本章では、Rocket.ChatとActive Directory(AD)を連携させるための具体的な設定手順を解説する内容です。管理画面から必要な情報を入力するだけで、比較的簡単に連携を導入できます。

事前に確認すべき環境・必要なライセンス

設定を始める前に、現在のシステム環境とライセンス状況を確認しておくことが重要です。Rocket.ChatのLDAP連携機能は、基本的に無料のCommunity版でも利用できます。ただし、グループに応じたロールの自動割り当てやバックグラウンドでの高度な同期機能などを利用する場合は、有償のPremiumプランが必要となる場合があります。

また、Active Directory(AD)側の情報として、以下の項目を事前にシステム管理者から取得しておくとスムーズに設定できます。

確認項目 説明
ホスト名またはIPアドレス Active Directory(AD)サーバーの接続先情報
ポート番号 通常は389、暗号化通信(LDAPS)の場合は636
バインドユーザーDN Active Directory(AD)に接続して検索を行うためのサービスアカウントの一意の識別子
パスワード バインドユーザーのパスワード
ベースDN ユーザーを検索する際の起点となるディレクトリ階層

Rocket.Chat管理画面でのLDAP設定手順

環境の確認が完了したら、Rocket.Chatの管理画面から設定を進めることができます。設定項目は多岐にわたりますが、基本設定と認証設定を正確に入力することが連携成功の鍵です。

1. 基本設定の有効化

Rocket.Chatの管理画面に管理者ユーザーでログインし、「ワークスペース」から「設定」を開き、「LDAP」を選択して設定画面にアクセスできます。最初に「LDAPを有効にする」の項目を「True」に変更して、機能を有効化できます。続いて、事前に確認したホスト名とポート番号を入力して接続先を指定できます。

2. 認証情報の入力

次に「認証」タブを開き、Active Directory(AD)へ接続するためのアカウント情報を設定できます。「ユーザーDN」の欄にバインドユーザーの情報を入力し、対応するパスワードを設定できます。これにより、Rocket.ChatがActive Directory(AD)の情報を読み取れるようになります。

3. ユーザー検索と同期の設定

「ユーザー検索」タブでは、Rocket.Chatにログインを許可するユーザーの範囲を指定できます。「ベースDN」に検索の起点となる階層を入力し、必要に応じて検索フィルターを設定して対象ユーザーを絞り込むことができます。さらに「同期とインポート」タブで、メールアドレスや氏名などの属性情報をRocket.Chatのユーザー情報としてどのように取り込むかをマッピングできます。

連携テストと動作確認の方法

すべての設定を入力した後に、設定を保存する前に連携テストを実施して接続状況を確認できます。Rocket.ChatのLDAP設定画面には、接続テストや検索テストを行うための機能が用意されています。

「接続テスト」を実行して、Active Directory(AD)サーバーとの通信が正常に行われているかを確認できます。エラーが表示された場合は、ホスト名やポート番号、ファイアウォールの設定を見直すことで解決を図ることができます。続いて「LDAP検索テスト」を行い、指定したユーザーが正しく検索できるかを検証できます。

テストが正常に完了した後に設定を保存し、一度ログアウトして確認作業に移ることができます。その後、Active Directory(AD)のアカウント情報を使用してRocket.Chatにログインできるかを確認できます。初回ログイン時にアカウントが自動生成され、氏名やメールアドレスが正しく反映されていれば連携は成功です。

※「Rocket.Chat」はRocket.Chat Technologies Corp.の商標または登録商標です。
※「Active Directory」はMicrosoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

Active Directory連携時の注意点とトラブルシューティング

Active Directory連携時の注意点とトラブルシューティング

Active Directory連携時の注意点とトラブルシューティングについて解説しています。Rocket.ChatとActive Directory(AD)を連携させることで多くのアカウント管理の課題を解決できます。しかし、設定段階や運用中にいくつかのトラブルが発生する可能性もあります。ここでは、システム連携をスムーズに進めるための具体的なポイントを説明しています。

よくある設定ミスとその対処法

よくある設定ミスとその対処法について説明しています。LDAP認証やSSO設定を行う際、設定の不備からログインできないといった問題が起こりがちです。よくある設定ミスとその対処法を以下の表にまとめました。

発生する問題 主な原因 対処法
ユーザーがログインできない バインドDN(識別名)やパスワードの入力ミス Active Directory上の正しいバインドDNとパスワードを再確認して設定を修正することで解決できます。
ユーザー情報が正しく同期されない 属性マッピングの設定誤り Rocket.Chat側で指定している属性名(メールアドレスや氏名など)が、Active Directory側の属性名と一致しているか確認することで改善できます。
サーバー間の通信が失敗する ファイアウォールによるポートの遮断 LDAP通信に必要なポート(通常は389または636)がファイアウォールから許可されているか確認し、必要に応じて開放設定を行うことで通信できます。

特に、ネットワークセキュリティの観点から通信経路の暗号化は非常に重要です。LDAP通信を行う際は、LDAPSを利用することで、安全な経路から情報を同期できます。セキュリティ対策の基本については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供する情報セキュリティ対策ガイドラインなどの公的な資料から最新の推奨設定を確認できます。

また、ユーザーを識別するための情報として、メールアドレスなどの一意の識別子を正しくマッピングすることが不可欠です。一意の識別子が重複していると、意図しないアカウントの統合や上書きが発生する原因となります。事前にActive Directory内のデータを整理しておくことでトラブルを未然に防ぐことができます。

SCTによる導入サポートについて

SCTによる導入サポートについて説明しています。自社内での設定やトラブルシューティングに不安がある場合、三和コムテック株式会社が提供する導入サポートを活用できます。専門の技術者がお客様の環境に合わせたActive Directory連携の設計から実装までを支援するため、担当者の負担を大幅に軽減できます。

オンプレミス環境や複雑なネットワーク構成を持つ企業であっても、三和コムテック株式会社のサポートを利用することで、安全かつ確実なシステム統合を実現できます。初期設定だけでなく、運用開始後の仕様変更やトラブル発生時にも迅速な支援を受けることができるため、安心してRocket.Chatを運用できます。

※「Active Directory」は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※「Rocket.Chat」は、Rocket.Chat Technologies Corp.の商標または登録商標です。

よくある質問(FAQ)

Active Directory連携に必要なライセンスはどれですか?

Rocket.Chatでは、無償のCommunity版からLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)連携の基本機能を利用できます。ただし、組織の規模や運用要件に応じてEnterprise版の導入を検討することが推奨されています。Enterprise版を導入することで、高度なディレクトリ同期や細かな権限設定が可能になります

ライセンス形態 利用できるLDAP連携機能の範囲
Community版(無償) 基本的なユーザー認証、初回ログイン時のアカウント自動作成を利用できます。
Enterprise版(有償) バックグラウンドでの定期的な情報同期、カスタムロールの自動マッピング、複数サーバーとの連携を利用できます。

運用要件に合わせて適切なライセンスを選択することが重要です。

オンプレミス環境でもLDAP連携は使えますか?

はい、オンプレミス環境に構築したRocket.ChatサーバーからでもLDAP連携を利用できます。社内ネットワーク内に配置されたActive Directoryサーバーと直接通信できるため、外部のインターネットを経由せずに安全な認証基盤を構築できます。閉域網での運用が求められる自治体や金融機関のお客様から高く評価されている構成となっています。

既存のRocket.Chatアカウントとの統合はどうなりますか?

すでに手動やCSVファイルから登録された既存のアカウントがある場合でも、Active Directoryのアカウントと統合できます。連携設定時に、メールアドレスやユーザー名などの「一意の識別子」を基準として既存のアカウントと照合する仕組みを利用できます。情報が一致した場合は自動的に既存のアカウントへ紐付けられるため、過去のチャット履歴や参加チャンネルの情報をそのまま引き継ぐことができます。

Azure ADとの連携は可能ですか?

日本マイクロソフト株式会社が提供するクラウドベースのID管理サービスであるAzure AD(現在の正式名称はMicrosoft Entra ID)との連携も利用できます。この場合、LDAPプロトコルを使用するのではなく、SAML(Security Assertion Markup Language)やOAuthを用いたシングルサインオン(SSO)連携を構成するのが一般的です。クラウド環境に合わせた最新の認証プロトコルを利用することで、さらに安全かつスムーズなログイン環境を実現できます。

設定に失敗した場合のサポート窓口はありますか?

三和コムテック株式会社などの正規代理店からEnterprise版ライセンスを購入されたお客様向けに、専門の技術サポート窓口が用意されています。導入時の環境構築からActive Directoryとの連携設定、運用開始後のトラブルシューティングまで、専任のエンジニアから支援を受けることができます。自社での設定に不安がある場合でも安心して導入を進められます

※「Microsoft Entra ID」「Azure Active Directory」は、マイクロソフト グループの企業の商標です。
※「Rocket.Chat」はRocket.Chat Technologies Corp.の登録商標または商標です。

まとめ

本記事では、Rocket.ChatとActive Directory連携について、そのメリットから具体的な設定手順までを解説しました。

Active Directoryと連携することで、アカウントの二重管理の手間を省き、退職者のアカウント削除漏れを防ぐことができるため、業務効率化とセキュリティレベルの大幅な向上が期待できます。LDAP認証を活用した連携設定は、事前の環境確認と適切な手順を踏むことでスムーズに導入が可能です。

万が一のトラブルや設定に不安がある場合は、SCTなどの専門サポートを活用し、安全で効率的なコミュニケーション環境の構築を進めてください。

お問い合わせ

この記事の執筆・監修者
島村 奉明
三和コムテック株式会社
Rocket.Chatプロダクトマネージャー
PCハードメーカーの企画営業としてエンタープライズ企業を担当、2023年三和コムテックに入社。
新規ソリューションの営業・企画面にて参画。中小企業から年商1,000億円以上の企業まで幅広く対応。
PCIDSS保持に関するセキュリティソリューションの導入を支援。脆弱性診断系を専門分野とする。
近年は、金融機関、カード会社、流通事業者へのセキュリティコミュニケーションツールとしてオンプレミスチャットの導入を推進。Security情報の啓蒙活動に従事し、お客様イベントにて講演多数。

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