サプライチェーン強化に向けた
セキュリティ対策評価制度とは?
2026年開始に向けた現状と対策

 岡山 大

サイバーセキュリティ分野において、今もっとも注目されているテーマの一つが「サプライチェーンリスク」です。実際に主要な生成AIでも、このテーマは常に重要トピックの上位に挙げられており、企業規模を問わず無視できない課題となっています。

特に注目されているのが、経産省から発表され、2026年後半から開始予定のサプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度です。

この記事で分かること

  •  なぜ今サプライチェーンリスク対策が重要視されているのか 
  •  企業現場で課題となっている「3つのポイント」 
  •  OSINT・ASMを活用した具体的なリスク可視化の方法 
  •  制度対応を「負担」から「共助」に変える実践的アプローチ 

 本記事では、この制度の概要から現場の課題、そして今すぐ実践できる対策までを分かりやすく解説します。

 サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度 とは?

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制度の概要

「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」とは、企業単体ではなく「取引先を含めたセキュリティ対策状況」を可視化する新たな枠組みです。 

 主な特徴は以下の通りです。 

  •  ★3〜★5の段階評価 
  •  発注者が求めるセキュリティ水準を提示 
  •  受注者が自己評価または第三者評価で対応 
  •  2026年10月以降、段階的に運用開始予定 

 この制度により、企業は「自社だけ守ればよい」時代から、「取引先も含めて守る」時代へと大きく転換します。 

 なぜ今「サプライチェーンリスク」が重要なのか? 

近年、攻撃者はセキュリティの弱い企業を踏み台にし、本命の企業へ侵入する手口を強めています。実際に、最新の脅威動向でも「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」が上位にランクインしています。つまり、取引先のセキュリティレベル=自社のリスクという構図が明確になっているのです。

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 現場で噴出する3つの課題 

Businessman being depressed by accounting in his office-1

 制度開始を前に、現場ではすでに多くの課題が指摘されています。

  1. 現実との乖離
    ・中小企業には★3以上の取得が高難易度 
    ・業種・規模に応じた柔軟性が不足 

  2. コンプライアンス疲れ
    ・既存のセキュリティ基準との重複 
    ・対応コスト・工数の増大

  3. 監査負担の増大
    ・★4以上では外部監査が前提
    ・現場の対応負荷が大きい

さらに「セキュリティベンダーからの過剰な営業アプローチ 」という副次的な課題も顕在化しています。現在、パブリックコメント期間を終え、今月公表予定の「構築方針」でこれらの声がどこまで反映されるかが注目されます 。

制度対応は「負担」ではなく「共助」で考える 

Business people meeting around table in modern space

 制度対応を単なる義務やコストとして捉えると、企業の負担は増す一方です。 
しかし本来の目的は、 「サプライチェーン全体でリスクを低減すること 」 つまり「自助+共助」の考え方にあります。 

 今すぐできる対策:OSINT・ASMによるリスク可視化 

businessman hand pointing to padlock on touch screen computer as Internet security online business concept-4

そこで有効なのが、OSINT(公開情報)やASM(アタックサーフェス管理)を活用したリスクスコアの共有です。

 ■具体的な内容 

  •  他サービスの被害確認 
  •  パスワード変更 
  •  端末のマルウェア駆除 
  •  二次被害防止 

 ■この手法の特徴 

  •  取引先環境に負荷をかけない 
  •  客観的な評価が可能 
  •  攻撃者視点でのリスク把握 

 リスク情報の共有がもたらす3つのメリット 

①取引先の負担軽減 
 専門知識がなくても、 優先対応すべきリスクが明確になる 

②関係性の強化
 「監視」ではなく パートナーとしての支援関係を構築できる 

③自社リスクの低減 
 サプライチェーン全体の脆弱性を早期に排除 

 制度開始を待つのではなく、今動くべき理由  

サプライチェーン・リスク評価制度の詳細は今後確定していきますが、サイバー攻撃は制度の整備を待ってはくれません。

 重要なのは、 

  •  制度対応=チェック作業にしないこと 
  •  実効性のあるセキュリティ対策に昇華すること 

 その第一歩が、 リスクの「見える化」と「共有」です。 これからの時代は、企業単体ではなく「つながり」で守るセキュリティが求められます。 今から「共助」の仕組みを整え、サプライチェーン全体の強化を進めていきましょう。

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この記事の執筆・監修者
岡山 大
三和コムテック株式会社
セキュリティソリューションプロダクトマネージャー
OEMメーカーの海外営業として10年間勤務の後、2001年三和コムテックに入社。
新規事業(WEBセキュリティ ビジネス)のきっかけとなる、自動脆弱性診断サービスを立ち上げ(2004年)から一環して、営業・企画面にて参画。 2009年に他の3社と中心になり、たち上げたJCDSC(日本カードセキュリティ協議会 / 会員企業422社)にて運営委員(現在,運営委員長)として活動。PCIDSSや非保持に関するソリューションやベンダー、また関連の審査やコンサル、などの情報に明るく、要件に応じて、弊社コンサルティングサービスにも参加。2021年4月より、業界誌(月刊消費者信用)にてコラム「セキュリティ考現学」を寄稿中。

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