OSINT(オシント)とは?
手法や活用方法、おすすめツールを解説

 2024.07.29  三和コムテック

OSINT(オシント)は、一般に公開されている有益なデータを収集・分析する手法です。本記事では、OSINTの基本的な手法や実践的な活用方法、おすすめのツールについて詳しく解説します。情報収集スキルを高めたい方やセキュリティを強化したい企業の担当者は必見です。

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OSINT(オシント)とはなにか

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OSINTとは、Open Source Intelligence(オープンソースインテリジェンス)の略称で、一般に公開されておりアクセス可能な情報源から情報を収集し、分析する手法を指します。一般に公開されている情報とは、インターネット上のWebサイト、SNS、文献、国や自治体の報告書、ニュース記事などが該当します。

OSINTは、個人や企業、政府機関などがリスク管理、競合分析、サイバーセキュリティ対策、捜査活動などの目的で利用することが多いです。情報源が公開されているため、収集活動自体は合法であり、利便性とコストの低さから幅広い分野で活用されています。

OSINTのルーツ

OSINTの概念は古くから存在しており、主に軍事や外交の分野で利用されてきました。古くは、インターネットが普及する前の世界対戦や冷戦の時代に、新聞やラジオ放送などの公開情報を収集、分析し、敵国の作戦や状況を知ることに活用されていました。

そして、インターネットの普及に伴い、OSINTは大きな変革を遂げます。オンライン上で膨大な情報が瞬時にアクセス可能となり、情報収集の効率と範囲が劇的に拡大しました。

さらに、SNSの登場により、個人の行動や意見、トレンドなどがリアルタイムで把握できるようになり、OSINTの重要性はさらに増しています。

OSINTの主要な手法

データを収集して分析する手法をOSINTと呼びますが、OSINTの中にもさまざまな手法があります。

以下の主要な4つの手法について解説します。

  • Webスクレイピング
    Webサイトから大量のデータを自動的に収集する技術で、特定のキーワードやパターンにもとづいて情報を抽出します。

  • SNSからの情報収集
    X(旧:Twitter)、Facebook、Instagramなどのプラットフォーム上での公開投稿を分析し、トレンドや世論を把握する方法です。

  • メールアドレスからの情報収集
    Webサイトなどにメールアドレスを登録する際、年代、性別、生年月日などさまざまな情報を追加で登録します。このメールアドレスからの情報収集もOSINTの手法の1つです。

  • サーバー情報の収集
    ドメイン情報やIPアドレスの調査を行うことで、特定のWebサイトやサーバーの運営者情報を得られます。

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OSINT活用のメリット

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OSINTにより、企業や組織はコストを抑えつつ多岐にわたる情報を入手でき、セキュリティ対策やリスク管理に役立てられます。ここからは、OSINTを活用する6つのメリットについて解説します。

脅威情報を発見できる

OSINTは、インターネット上の公開情報を活用して脅威を効率的に発見する手段として非常に有効です。特に、サイバー犯罪者の動向や新たな攻撃手法、マルウェアの流行などの把握により、事前に対策を講じることが可能になります。

SNS、フォーラム、ブログなどの情報源から関連するデータを収集・分析し、潜在的な脅威を特定することで、組織は迅速な対応が可能です。これにより、被害を未然に防ぎ、セキュリティの強化を図ることができます。

脆弱性を評価できる

OSINTは、組織やシステムの脆弱性を評価するための手段でもあります。公開されている技術ドキュメント、セキュリティフォーラム、バグ報告サイトなどから情報を収集し、現在だけでなく新たに発見された脆弱性の特定が可能です。これにより、脆弱性管理の優先順位を決定し、適切な対策を講じることができます。

OSINTの活用により、組織は脆弱性の早期発見と修正を行い、セキュリティリスクの低減が可能となります。

ソーシャルエンジニアリング攻撃とフィッシングキャンペーンを検知できる

OSINTは、なりすましやフィッシング詐欺の早期検知に役立ちます。インターネット上で公開されている情報や、不審なメール、フィッシングサイトの分析を通じて、攻撃の兆候を捉えることも可能です。

例えば、特定の企業や個人を狙ったフィッシングメールの内容や手口を調査し、同様の手法が使われる可能性を予測します。これにより、従業員教育やセキュリティ対策を強化し、攻撃からの防御を強化できます。

顧客不満やネガティブセンチメントを発見できる

OSINTを活用することで、SNSやレビューサイトなどでの顧客の不満やネガティブな評価の早期発見が可能です。不満などに対して企業は迅速に対応し、顧客満足度の向上やブランドイメージの保護に努められます。

例えば、特定の商品やサービスに関する批判的なコメントやレビューを監視し、問題点を特定して改善策を講じることができます。リアルタイムでのフィードバック収集は、顧客との関係を強化し、信頼を築く重要な要素です。

サイバーセキュリティインシデントの証拠を収集できる

OSINTは、サイバー攻撃の被害が発生した際の証拠収集にも役立ちます。具体的には、インターネット上の公開情報から関連するデータを集め、インシデントの原因や影響範囲を特定するための重要な手掛かりを提供します。

例えば、攻撃者の活動履歴や使用されたツールの情報を追跡することで、インシデント対応チームが適切な対策を講じるための基礎資料の提供が可能です。これにより、インシデントの迅速な解決と将来的な予防策の強化が可能となります。

操作、調査、研究などに役立つ

OSINTは、操作、調査、研究といった幅広い分野で有用です。例えば、犯罪捜査においては、公開されている情報から容疑者の動向を追跡し、証拠を集める手段として活用されます。

また、学術研究市場調査においても、OSINTは豊富なデータソースを提供し、分析の精度を高めるための重要なツールとなります。公開情報を多角的に分析することで、新たな知見を得ることができ、さまざまな分野での発展に寄与します。

OSINTの活用シーン

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OSINTは、政府や軍による安全保障や防諜活動、ジャーナリストによる調査・報道、企業によるマーケティング分析など、さまざまな場面で活用されています。具体的な活用シーンを解説します。

政府や軍による安全保障や防諜活動

OSINTは、政府や軍による安全保障や防諜活動において重要な役割を果たしています。公開されている情報から敵対勢力の動向や脅威を特定し、国家の安全を守るための戦略を策定する際に利用されます。

SNS、ニュース、ブログ、フォーラムなどから得られるデータは、敵の計画や活動、戦力に関する貴重な情報を含んでいる場合があります。

また、OSINTは外国の政治情勢や経済状況の分析にも役立ち、国際関係の動向を把握するための有力な手段となります。これにより、政府や軍は迅速に対応できるため、国家の安全保障強化が可能です。

ジャーナリストによる調査・報道

ジャーナリストにとって、OSINTは調査・報道活動において不可欠なツールです。公開されている情報源を活用することで、複雑な問題や事実を明らかにするための手がかりを得られます。

公開データベース、ニュースサイト、政府の報告書など、多岐にわたる情報源からデータを収集・分析し、報道に役立てることが可能です。

これにより、信頼性の高い情報を提供し、読者や視聴者に重要なニュースを伝えることができます。特に調査報道においては、OSINTの活用が真実の追求と報道の質を向上させるための強力な手段となります。

企業によるマーケティング分析

企業においても、OSINTはマーケティング分析をする際に活用されています。公開情報を活用して市場動向や競合他社の戦略、消費者のトレンドを把握することで、より効果的なマーケティング戦略を立てられます。

また、SNSやレビューサイトからの顧客のフィードバックや、業界のニュース、競合他社の動向を監視・分析し、製品開発やサービス改善に役立てることもできるでしょう。

OSINTを活用することで、市場のニーズを的確に捉え、ターゲット顧客へのアプローチを最適化することが可能となり、競争優位性を高められます。

OSINTの具体的なフロー

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やみくもに公開されている情報を集めただけでは、効率的にデータを活用できません。ここでは、企業や組織でOSINTを活用する際の具体的なフローについて解説します。

情報収集の目的や収集範囲を定める

OSINTを導入する際、最初にやるべきことは、情報収集の目的と範囲を明確にすることです。例えば、特定の市場動向の把握や競合他社の動向を監視することを目的とするとします。この目的に対してどのような情報が必要かを明確にし、収集する情報の範囲として、どのようなソースから情報を得るかを決定します。

目的と範囲を明確にすることで、収集活動が効率的かつ効果的に進行し、関連性の高い情報を得られます。

情報を集めカテゴライズする

次に、設定した目的と範囲にもとづいて、インターネット、ニュース、SNS、公開データベースなどから情報を収集します。

集めたデータを市場動向に関する情報、競合他社に関する情報、技術革新に関する情報など、カテゴリごとに分類することで、必要な情報を迅速に見つけ出すことができます。情報を整理するためには、専用のツールやデータベースの活用が有効です。

これにより、大量のデータの中から有益なインサイトを見つけ出す作業が効率化され、分析の精度も向上します。

情報の確実性のチェックや関連性の分析を行う

ひと通りデータを収集したあとは、情報の確実性をチェックし、その関連性を分析することが重要です。

情報の出所を確認し、信頼性の高い情報源かどうかを判断しましょう。例えば、公式な報道機関や信頼性のある研究機関からの情報であれば、信頼性が高いと判断できます。その際、最初に決めた情報収集の目的に対してどれだけ関連性があるかを評価しましょう。

これにより、誤った情報にもとづく判断を避け、正確なデータでの分析が可能になります。

情報を必要とする人や組織に提供する

最終的に、分析結果や収集した情報を、必要とする人や組織に提供します。提供方法は報告書、プレゼン資料、デジタルダッシュボードなど多岐にわたり、情報の受け手に最適な形式での提供が重要です。

例えば、経営陣には要点をまとめた報告書を、現場の担当者には具体的なデータを含むプレゼン資料を提供することが効果的です。適切な形式で情報を提供することで、情報の価値が最大化され、受け手が迅速かつ効果的に意思決定や行動を取れるようになります。

また、提供された情報がどのように活用されるかをフィードバックとして受け取れば、今後の情報収集や分析の改善に役立てられます。

OSINTで利用されるツール

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OSINTは、公開情報を収集して分析する手法で、多くのツールが利用されます。これらのツールは、インターネット上で利用可能な情報を効率的に取得し、セキュリティリスクの評価や調査に役立ちます。

以下に代表的なOSINTツールとして、Google Dorks、Email Harvesting、Shodan、Netcraft Site Reportを紹介し、それぞれの概要と収集可能な情報について解説します。

Google Dorks

Google Dorksは、Google検索を高度に利用するテクニックです。特定のコマンドを使うことで、通常の検索では見つからない情報を引き出せます。

例えば、「filetype:pdf site:example.com」と入力すると、特定のサイト内のPDFファイルのみを検索できます。Google Dorksを利用することで、公開されているが見過ごされがちなデータやセキュリティホール、機密情報の発見が可能です。

Email Harvesting

Email Harvestingは、インターネット上に公開されているメールアドレスを収集する技術です。この手法は、スパムメールの送信やフィッシング攻撃に利用されることが多いのですが、セキュリティ専門家にとっても有用です。

Email Harvestingツールは、Webサイトやソーシャルメディア、フォーラムから自動的にメールアドレスを抽出します。これにより、特定のドメインに関連する連絡先情報を集めたり、企業や個人のセキュリティ対策の脆弱性を評価したりすることができます。また、収集されたメールアドレスは、なりすましやフィッシングメール対策にも利用可能です。

Shodan

Shodanは、インターネットに接続されているデバイスやシステムのための検索エンジンです。通常の検索エンジンがWebサイトのコンテンツをインデックスするのに対し、ShodanはIPアドレスをスキャンしてデバイスの情報を収集します。

例えば、公開されたWebカメラ、工業用制御システム、IoTデバイスなどの情報を取得できます。Shodanを使用することで、公開されているサーバーやネットワークデバイスのセキュリティ状態を評価し、潜在的な脆弱性の発見も可能です。

Netcraft site report

Netcraft Site Reportは、Webサイトの技術情報やセキュリティ情報を提供するサービスです。特定のWebサイトについて、使用しているサーバーソフトウェア、運営会社、SSL証明書の詳細、フィッシング対策情報などを詳細にレポートします。

このツールを利用することで、サイトの技術スタックや運営者の情報を把握し、セキュリティ上の脅威を評価できます。特に、SSL証明書の有効性や更新状況、フィッシングサイトとしての報告状況など、Webサイトの信頼性を確認するために役立ちます。

まとめ

OSINTは、オープンソースの情報を収集・分析する手法です。企業競合の動向把握、投資判断、サイバー脅威対策など、さまざまな場面で活用されています。

膨大な情報源から必要な情報を見つけ出すのは容易ではありません。そこで重要となるのが、専門知識と高度なツールです。

三和コムテックでは、長年の経験と実績を活かした「SCT SECURE OSINT サービス」を提供しています。高度な検索技術と分析機能により、必要な情報を効率的に収集・分析し、意思決定を迅速化します。OSINTの活用を検討中の企業はぜひお問い合わせください。

https://product.sct.co.jp/product/security/osint-service-feature

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