医療現場のコミュニケーションツールに求められるのは、単なる「使いやすさ」ではありません。患者情報を院内のサーバーで完結管理できるか、監査ログを保全できるか、既存の医療情報システムと連携できるか——こうした厳格な要件を満たしながら、現場スタッフが日常的に使い続けられるツールが必要です。
Rocket.Chatは、オンプレミス・プライベートクラウド型のチャットプラットフォームとして、国内外の多くの医療機関で採用されています。データを自組織の管理下に置けること、柔軟なカスタマイズが可能なこと、既存システムとのAPI連携が豊富であることが、医療分野での選択理由として挙げられます。
本記事では、医療・ヘルスケア分野でRocket.Chatが選ばれる理由と、病院・クリニック・介護施設での具体的な活用シーンを解説します。
業界別の比較を見たい方は、業界別ビジネスチャット活用事例と導入ポイントをご覧ください。
対象読者
- 病院やクリニックの院長・医療情報技師・IT管理者
- 介護施設や訪問看護ステーションの運営責任者
課題
- 機密性の高い患者情報を安全に扱えるチャットツールを探している
- 既存の電子カルテシステムとスムーズに連携させたい
この記事で分かること
- Rocket.Chatが医療現場で選ばれる理由と導入の結論
- 施設別の具体的な活用シーンと多職種連携のメリット
- セキュアなネットワーク設計と導入までの具体的な流れ
高い機密性が求められる医療情報システムにおいて、自社専用の閉域網やプライベートクラウドで運用できるRocket.Chatは、情報漏洩を防ぎながら安全かつ円滑なチーム医療を実現するための最適なコミュニケーション基盤となります。
医療・ヘルスケア分野でRocket.Chatが選ばれる理由
医療・ヘルスケア分野でRocket.Chatが選ばれる理由は、高度なセキュリティ要件と柔軟な運用形態を両立できるチャットシステムだからです。医療機関では、患者の機微な個人情報を扱うため、一般的なビジネス向けチャットシステムではセキュリティ面での課題が残る場合があります。Rocket.Chatは、オープンソースソフトウェアとして提供されており、自院の環境に合わせた構築が可能です。これにより、外部のサーバーにデータを預けることなく、完全に独立した環境でコミュニケーション基盤を構築できます。また、医療現場特有の複雑な業務フローや、既存のシステムとの連携にも柔軟に対応できます。
患者情報を院内管理できるオンプレミス対応
患者情報を院内管理できるオンプレミス対応は、医療機関にとって最も重要な選定基準の一つです。クラウド型のシステムでは、インターネットを経由して外部のデータセンターに情報が保存されるため、情報漏洩のリスクを完全に排除することは困難です。しかし、Rocket.Chatのオンプレミス環境での構築を選択することで、すべてのメッセージや添付ファイルを院内のサーバーに保存できます。患者の氏名や病状などの機密性の高い情報を、外部のネットワークに出すことなく安全に管理できます。さらに、閉域網(インターネットから隔離されたネットワーク)内での運用も可能であるため、外部からのサイバー攻撃のリスクを大幅に低減できます。
| 導入形態 | データの保存場所 | セキュリティレベル | 医療機関での適性 |
|---|---|---|---|
| オンプレミス型(Rocket.Chat) | 院内サーバー・自社データセンター | 非常に高い(閉域網での運用が可能) | 高い(機微な個人情報を安全に管理可能) |
| 一般的なパブリッククラウド型 | 外部事業者のデータセンター | サービス提供者に依存 | 制限あり(ガイドラインへの適合確認が必要) |
医療情報システムの安全管理ガイドラインへの対応
医療情報システムの安全管理ガイドラインへの対応は、医療機関がITシステムを導入する上で必須の要件です。厚生労働省が策定した医療情報システムの安全管理に関するガイドラインでは、医療情報の機密性や完全性、可用性を確保するための基準が明確に定められています。Rocket.Chatは、細かなアクセス権限の設定や、すべての操作履歴を記録する監査ログ機能を備えており、これらの厳格なガイドラインに準拠した運用を構築できます。誰がいつどの情報にアクセスしたかを正確に追跡できるため、万が一のインシデント発生時にも迅速な原因究明と対応が可能です。また、端末にデータを残さない設定も可能なため、スマートフォンやタブレットの紛失時における情報漏洩リスクも最小限に抑えることができます。
既存の電子カルテ・医療システムとのAPI連携
既存の電子カルテ・医療システムとのAPI連携は、医療現場の業務効率を飛躍的に向上させる機能です。Rocket.Chatは豊富なAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を提供しており、現在稼働している電子カルテやPACS(医療用画像管理システム)、ナースコールなどの各種医療システムとシームレスに連携できます。例えば、電子カルテシステムから特定の患者の検査結果が出た際に、担当医師のスマートフォンへ自動的に通知を送信する仕組みを構築できます。複数のシステムを確認する手間が省けるだけでなく、重要な情報の見落としを防ぎ、迅速な医療介入を実現できます。システム間の連携により、医療従事者は本来の患者ケアに集中する時間を増やすことができます。
ビデオ通話・音声通話機能の内蔵
ビデオ通話・音声通話機能の内蔵(外部サービス不要)は、迅速なコミュニケーションが求められる医療現場において非常に有用です。テキストメッセージだけでは伝わりにくい患者の細かな表情や患部の状態を、即座に映像で共有できます。Rocket.Chatにはビデオ会議機能が統合されているため、別のアプリケーションを立ち上げる必要がありません。チャット画面からワンクリックでビデオ通話や音声通話を開始できます。外部のビデオ通話サービスを契約する必要がないため、コストを削減できるだけでなく、情報セキュリティの管理対象を一つのシステムに集約できます。遠隔地にいる専門医とのオンラインカンファレンスや、訪問看護スタッフと院内医師とのリアルタイムな連携など、多様な医療シーンで活用できます。
Rocket.Chatの主要機能と医療現場での活用

Rocket.Chatの主要機能と医療現場での活用について、具体的な機能ごとにわかりやすく解説します。医療機関では、迅速かつ正確な情報共有が求められるため、コミュニケーションツールの選定が重要です。Rocket.Chatは、単なるテキストメッセージのやり取りにとどまらず、医療従事者の業務効率化や安全な情報管理を支援する多彩な機能を備えており、現場が抱える様々な課題を解決できます。
チャンネル機能(病棟別・診療科別・チーム別の情報整理)
チャンネル機能(病棟別・診療科別・チーム別の情報整理)を活用することで、院内の複雑なコミュニケーションを整理できます。従来の電話やPHSによる連絡では、情報が属人化しやすく、言った言わないのトラブルが発生するリスクがありました。Rocket.Chatのチャンネル機能を利用すれば、特定のメンバーだけが参加できるプライベートチャンネルや、全職員に向けて発信できるパブリックチャンネルを柔軟に作成できます。
たとえば、特定の患者に対するケアチームのチャンネルを作成することで、医師、看護師、薬剤師などの多職種間でリアルタイムに治療方針や申し送り事項を共有できます。過去のやり取りも時系列でさかのぼって確認できるため、交代制勤務のスタッフ間でもスムーズな引き継ぎを実現できます。また、重要なメッセージにはスターを付けて保存したり、メンション機能を使って特定のスタッフに通知を送ったりすることも可能です。
ファイル共有(検査画像・連絡票の安全な共有)
ファイル共有(検査画像・連絡票の安全な共有)の機能を用いることで、医療現場で取り扱う機密性の高いデータを安全に送受信できます。医療機関では、患者の検査結果や紹介状など、個人情報を含むファイルを頻繁にやり取りする必要があります。厚生労働省が策定した医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠したセキュアな環境から、外部に情報が漏えいするリスクを抑えつつファイルを共有できます。
スマートフォンやタブレット端末から撮影した患部の写真や、電子化された連絡票などを、チャット画面から直接アップロードして関係者に共有できます。ファイルへのアクセス権限はチャンネルごとに細かく設定できるため、関係のないスタッフが閲覧できないように制御できます。
| 共有するファイルの例 | 医療現場での活用メリット |
|---|---|
| 検査画像や患部の写真 | 専門医からの迅速なアドバイスや診断のサポートを遠隔から受けられます。 |
| 電子化された紹介状や連絡票 | 紙の書類を持ち歩く必要がなくなり、紛失リスクを低減できます。 |
| 院内マニュアルや手順書 | 常に最新版のドキュメントをスタッフ全員で共有し、業務の標準化を図れます。 |
ビデオ通話(遠隔診療・オンライン多職種カンファレンス)
ビデオ通話(遠隔診療・オンライン多職種カンファレンス)の機能を利用することで、離れた場所にいるスタッフや患者と対面に近い形でコミュニケーションをとることができます。Rocket.Chatにはビデオ通話機能が内蔵されているため、外部のWeb会議ツールを別途立ち上げる手間が省けるだけでなく、チャット画面からワンクリックで通話を開始できます。
医療現場では、複数の診療科の医師や外部の専門家を交えたオンライン多職種カンファレンスに活用できます。画面共有機能を使えば、電子カルテシステムの画面や検査画像を参加者全員で見ながら議論を進めることも可能です。また、訪問看護ステーションと連携して在宅療養中の患者の様子を映像で確認するなど、地域包括ケアシステムにおける多機関連携のツールとしても活用できます。
FAQボット・チャットボット連携(問い合わせ自動化)
FAQボット・チャットボット連携(問い合わせ自動化)を活用することで、院内における定型的な問い合わせ対応の負担を大幅に軽減できます。医療機関の総務部門や情報システム部門には、ツールのログイン方法がわからないといった質問や、各種申請書の保管場所を知りたいといった同じような質問が日々寄せられます。
あらかじめよくある質問と回答をチャットボットに学習させておくことで、スタッフからの質問に対してボットが24時間自動で回答できます。これによって、質問者は担当者の不在時でもすぐに自己解決できるため、業務の停滞を防ぎ生産性を向上させることができます。さらに、他の院内システムと連携させれば、特定のキーワードを入力するだけで必要な患者情報をチャット上に呼び出すといった高度な活用も実現できます。
病院・クリニック・介護施設別の活用シーン

病院・クリニック・介護施設別の活用シーンでは、それぞれの医療現場が抱える課題に応じた柔軟な運用が求められます。Rocket.Chat(ロケットチャット)は、規模や業務形態が異なる施設においても、コミュニケーションの円滑化と情報共有の効率化を実現できます。
病院(急性期・療養型)での活用事例
病院(急性期・療養型)での活用事例では、多職種連携や緊急時の迅速な情報伝達が中心となります。病棟や診療科をまたぐコミュニケーションが頻繁に発生するため、リアルタイムでの連携が不可欠です。
急性期病院においては、救急搬送時の受け入れ準備や手術室の空き状況の確認など、一分一秒を争う連絡にRocket.Chatのチャンネル機能やメンション機能を活用できます。チーム全体へ瞬時に情報を共有できるだけでなく、既読状況を把握できるため、伝達漏れを防ぐことができます。また、療養型病院においては、患者の容体変化や日々のケア記録を医師、看護師、リハビリテーション専門職などの多職種間で共有するプラットフォームとして機能させることができます。
| 活用シーン | 具体的な利用方法 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 救急受け入れ連絡 | 専用チャンネルでの一斉通知と患者情報の共有 | 迅速な受け入れ体制の構築と初動対応の遅れ防止 |
| 多職種カンファレンス | ビデオ通話機能を用いたオンライン会議の実施 | 場所を問わない参加と情報共有の効率化 |
| 当直医へのエスカレーション | ダイレクトメッセージによる画像付きの相談 | 正確な状況把握と適切な指示の迅速化 |
クリニック・診療所での活用事例
クリニック・診療所での活用事例では、限られたスタッフ間での業務効率化や、患者サービスの向上が主な目的となります。小規模な医療機関であっても、受付、看護師、医師の間で正確な情報伝達が求められます。
例えば、待合室の混雑状況や患者からの問い合わせ内容を、受付スタッフから診察室の医師へチャットで伝えることができます。これにより、医師は診察を中断することなく状況を把握できるため、スムーズな診療進行を実現できます。また、地域の基幹病院や検査センターからの検査結果の報告をセキュアな環境で受け取る手段としても活用できます。厚生労働省が公開している医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠したオンプレミス環境を構築することで、患者の機微な情報を安全に取り扱うことができます。
介護施設・訪問看護での活用事例
介護施設・訪問看護での活用事例では、施設内スタッフと外部で活動する訪問スタッフとの連携が重要になります。訪問先からのリアルタイムな報告や相談をスムーズに行う仕組みが必要です。
訪問看護ステーションでは、訪問先からスマートフォンを用いて患者のバイタルサインや患部の状態を写真付きで報告できます。管理責任者や提携する主治医は、その報告をチャットから確認し、即座に適切な指示を出すことができます。移動中や訪問先からでもセキュアにアクセスできるため、業務の負担を大幅に軽減できます。特別養護老人ホームなどの介護施設においても、夜間帯の申し送りや介護記録の共有をチャット上で行うことで、スタッフ間の情報共有をわかりやすく整理できます。
| 活用シーン | 具体的な利用方法 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 訪問先からの状態報告 | モバイルアプリからの写真や動画の送信 | 正確な状況伝達と迅速な指示受けの実現 |
| 夜間シフトの申し送り | グループチャットを活用した引き継ぎ事項の記録 | 口頭伝達による言った言わないのトラブル防止 |
| 主治医との連携 | 外部ゲストアカウントを発行したセキュアな連絡 | 電話がつながらない時間帯の非同期コミュニケーション |
Rocket.Chat導入のセキュリティ設計

Rocket.Chat導入のセキュリティ設計において、患者の個人情報や機微な医療データを保護するための対策が不可欠です。Rocket.Chatは高度なセキュリティ要件を満たす構造となっており、安全な情報共有環境を構築できます。ここでは、Rocket.Chatを医療現場で運用する際のセキュリティ設計について詳しく解説を進めます。
エンドツーエンド暗号化とアクセス権限管理
医療情報をやり取りする通信経路において、第三者による盗聴や改ざんを防ぐための暗号化は非常に重要です。Rocket.Chatでは、E2EE(エンドツーエンド暗号化)を利用できます。これにより、送信者から受信者までの通信が完全に暗号化されるため、極めて安全にデータを保護できます。
また、院内の役職や所属部門に応じた細やかなアクセス権限管理を設定できます。誰がどのチャンネルに参加し、どのような操作を実行できるかを厳密に制御できるのが特徴です。多要素認証やシングルサインオンと組み合わせることで、不正アクセスを防止し、正当な権限を持つ職員だけがシステムを利用できる環境を構築できます。
| セキュリティ機能 | 医療現場での役割 |
|---|---|
| E2EE(エンドツーエンド暗号化) | 患者の氏名や検査結果などの機微な情報を含むメッセージを保護できます。 |
| 細やかなアクセス権限管理 | 医師や看護師などの職種や病棟ごとに閲覧や書き込みの権限を制御できます。 |
| 多要素認証の導入 | パスワード漏洩時の不正ログインを防ぎ、本人確認を強化できます。 |
監査ログ・メッセージ保全の仕組み
医療機関においては、万が一のインシデント発生時に備えて、システムの利用状況を追跡できる仕組みが求められます。厚生労働省が策定した医療情報システムの安全管理に関するガイドラインにおいても、情報システムの証跡管理の重要性が示されています。Rocket.Chatでは、すべての操作履歴やメッセージの送受信記録を監査ログとして保存できます。
保存された監査ログには一意の識別子が付与され、いつ誰がどのような情報を送信したかを正確に追跡できます。さらに、メッセージの編集や削除が行われた場合でも、変更前の履歴をシステム上に保持できるため、意図的な情報の隠蔽や改ざんを防ぎ、証拠としての信頼性を担保できます。これにより、コンプライアンス要件を満たした運用を実現できます。
閉域ネットワーク・プライベートクラウドでの構成
外部インターネットから隔離された環境でシステムを運用することは、サイバー攻撃から医療情報を守るための有効な手段です。Rocket.Chatはオンプレミス環境やプライベートクラウド環境に構築できます。そのため、院内の閉域ネットワーク内で完結する安全な通信網を整備できます。
パブリッククラウドを利用する一般的なチャットツールとは異なり、外部サーバーにデータを保管しないため、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。また、既存の院内ネットワークインフラと統合しやすく、ファイアウォールやVPN(仮想プライベートネットワーク)を経由した安全なリモートアクセス環境も構築できます。このように、各医療機関のセキュリティポリシーに合わせた柔軟なシステム設計を実現できます。
一般的なチャットツールとの違い(医療視点での比較)

一般的なチャットツールとの違い(医療視点での比較)について、医療機関がコミュニケーションツールを選定する際の重要な基準を整理して確認できます。医療現場では、患者の機微な個人情報を取り扱うため、一般的な企業向けチャットツールとは異なる要件が求められるのが実情です。ここでは、Rocket.Chatと一般的なチャットツールの違いについて、データの保管場所、セキュリティ基準、およびカスタマイズ性の観点から比較できます。
データ保管場所と運用形態の違い
データ保管場所と運用形態の違いは、医療機関にとって最も重要な検討事項の一つとなっています。多くの一般的なチャットツールはクラウドサービスとして提供されており、データはサービス提供事業者のサーバーに保存される仕組みです。一方でRocket.Chatは、自社のサーバー内にシステムを構築するオンプレミス環境や、閉域網のプライベートクラウド環境に構築できます。患者の電子カルテ情報や検査データなどを外部のサーバーに出すことなく、院内ネットワークの安全な環境下で完結して管理できます。外部からの不正アクセスや情報漏洩のリスクを物理的に低減できるため、医療情報の安全管理において大きな利点となっています。
医療情報ガイドラインへの適合性
医療情報ガイドラインへの適合性という観点でも、大きな違いを確認できます。厚生労働省が策定している医療情報システムの安全管理に関するガイドラインでは、医療情報を扱うシステムに対して厳格なアクセス制御や監査ログの取得が求められています。一般的なチャットツールでも一定のセキュリティ機能は備わっていますが、医療機関特有の要件を完全に満たすことは難しい場合があります。Rocket.Chatでは、細かなアクセス権限の設定や、すべてのメッセージおよびファイル操作の完全な監査ログを取得できます。これにより、ガイドラインに準拠した安全な運用体制を構築できます。
システム連携とカスタマイズの柔軟性
システム連携とカスタマイズの柔軟性においても、オープンソースを基盤とするRocket.Chatは特有の強みを持っています。一般的なチャットツールは提供される機能の範囲内で利用することが基本であり、独自の電子カルテシステムや院内のナースコールシステムなどとの連携には制限があることが多いと言えます。Rocket.Chatであれば、豊富なAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を活用して、既存の医療システムとシームレスに連携できます。例えば、電子カルテシステムから特定の通知を自動的にチャットのチャンネルへ送信するような仕組みを柔軟に開発できます。
医療視点でのチャットツール比較表
医療視点でのチャットツール比較表として、主な違いを以下の表に整理しています。それぞれの特徴をわかりやすく把握することで、自院の要件に合ったツールを適切に選択できます。
| 比較項目 | Rocket.Chat | 一般的なクラウド型チャットツール |
|---|---|---|
| 提供形態 | オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウド | パブリッククラウド環境のみが主流 |
| データ保管場所 | 院内サーバーや指定の閉域ネットワーク内 | サービス提供事業者の外部サーバー |
| カスタマイズ性 | ソースコードレベルでの独自改修や柔軟なAPI連携が可能 | 提供される標準機能と公開APIの範囲内に限定 |
| 監査ログの取得 | すべての操作履歴を無期限かつ詳細に保存・出力可能 | プランにより保存期間や取得できるログの種類に制限あり |
| 医療システム連携 | 電子カルテやPACS(医療用画像管理システム)と柔軟に連携可能 | 一般的な業務ツールとの連携が中心 |
Rocket.Chat導入の流れ

医療機関におけるRocket.Chat導入の流れについて解説します。導入を成功させるためには、事前の計画から現場への定着まで、段階的に進めることが重要です。
要件定義と構成設計
要件定義と構成設計の段階では、医療機関特有のセキュリティポリシーや運用ルールに基づき、システムの仕様を決定できます。厚生労働省が策定する医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠した構成を検討することが求められます。オンプレミス環境での構築か、プライベートクラウド環境を利用するかなど、ネットワーク要件を明確に整理できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| セキュリティ要件の定義 | エンドツーエンド暗号化の適用範囲や、アクセス権限の設計を行えます。 |
| ネットワーク構成の設計 | 閉域網やVPNを利用した安全な通信経路を確保できます。 |
| 連携システムの選定 | 電子カルテや既存の認証基盤との連携可否を確認できます。 |
これらの要件を詳細に詰めることで、運用開始後のトラブルを未然に防ぐことが可能です。
テスト運用から本番稼働まで
テスト運用から本番稼働までは、段階的な移行計画を立てて実行できます。いきなり全院に展開するのではなく、特定の病棟やチームに限定してテスト運用(PoC)を実施することで、現場からのフィードバックを収集できます。
テスト運用を通じて課題を洗い出し、運用マニュアルの整備や操作研修を実施したうえで、段階的に利用範囲を拡大していくのが効果的です。特に医療現場では、緊急時の連絡手段としての確実性が求められるため、通知の遅延や見落としがないかを確認することが重要となります。
よくある質問(FAQ)
よくある質問(FAQ)として、医療機関から導入を検討される際に寄せられる疑問にお答えします。
Rocket.Chatはどのような医療機関で使われていますか?
Rocket.Chatはどのような医療機関で使われていますかというご質問に対しては、病床規模や提供する医療機能に応じた多様な施設で導入実績があるとお答えできます。高いセキュリティ要件が求められる医療現場において、柔軟な運用体制を構築できるため、幅広い施設で活用されています。
| 医療機関の種別 | 主な利用用途と導入の目的 |
|---|---|
| 急性期病院・総合病院 | 多職種連携チームにおけるリアルタイムな情報共有と、緊急時の迅速な連絡体制の構築 |
| 療養型病院・回復期リハビリテーション病棟 | 病棟スタッフとリハビリテーション担当者間の患者状態の共有と、退院支援に向けたカンファレンス調整 |
| クリニック・診療所 | 受付スタッフと医師・看護師間の業務連絡と、検査結果の迅速な共有を通じた患者の待ち時間削減 |
| 訪問看護ステーション・介護施設 | 訪問先から事業所への状況報告と、オンコール担当者とのスムーズな連携 |
患者情報の院外送信を防ぐ仕組みはありますか?
患者情報の院外送信を防ぐ仕組みはありますかという懸念に対しては、オンプレミス環境での構築や詳細な権限設定を活用することで情報漏えいを防止できます。Rocket.Chatは自社のサーバーや閉域ネットワーク内にシステムを構築できるため、外部のインターネットを経由せずに通信を完結できます。また、ユーザーごとのアクセス権限やファイルのダウンロード制限を細かく設定できるため、意図しないデータの持ち出しを防ぐことができます。
これらの機能は、厚生労働省が策定する医療情報システムの安全管理に関するガイドラインで求められる技術的安全対策の要件を満たすための強力な支援となります。監査ログを取得してメッセージやファイルの送受信履歴を保全することもできます。
電子カルテシステムとの連携は可能ですか?
電子カルテシステムとの連携は可能ですかというご要望に対しては、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を活用することで柔軟に連携できます。Rocket.Chatはオープンソースソフトウェアとして開発されており、豊富なAPIを備えています。そのため、電子カルテシステムや部門内システムから出力される通知をチャットルームに自動で送信する仕組みを構築できます。
例えば、検査結果の判明や患者のバイタルサインの異常値が記録された際に、担当医師や看護師のスマートフォンへ即座に通知を届けるといった運用を実現できます。この機能によって、医療スタッフはシステム画面を常に確認する手間が省けるだけでなく、重要な情報を見落とすリスクを低減できます。既存のビデオ会議ツールと組み合わせて使えますか?
既存のビデオ会議ツールと組み合わせて使えますかというご質問に対しては、外部ツールとの統合機能を利用して併用できます。Rocket.Chatには標準でビデオ通話や音声通話の機能が内蔵されていますが、すでに院内で運用している他のビデオ会議ツールをチャット画面から直接起動するように設定することもできます。
用途に合わせてツールを使い分けることで、院内の日常的な短い打ち合わせには内蔵機能を使い、外部の医療機関や患者とのオンライン診療には既存のビデオ会議ツールを活用するといった柔軟な運用を構築できます。この運用方法によって、医療従事者は複数のアプリケーションを切り替える負担を減らしながら、効率的にコミュニケーションを図ることができます。
まとめ|医療機関がRocket.Chatを選ぶべき理由

本記事では、医療・ヘルスケア分野におけるRocket.Chatの活用方法や導入メリットについて解説しました。医療機関がRocket.Chatを選ぶべき最大の理由は、高度なセキュリティと柔軟なシステム連携を両立している点にあります。
オンプレミスや閉域ネットワークでの構築が可能であり、厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に配慮した安全な運用を実現できます。また、既存の電子カルテシステムとのAPI連携や、外部サービスに依存しないビデオ通話機能により、院内業務の効率化と多職種間の円滑なコミュニケーションを推進します。
患者の機微な情報を扱う医療現場において、情報漏洩リスクを抑えつつ、安全で利便性の高い情報共有環境を構築したい病院やクリニックにとって、Rocket.ChatはぜひRocket.Chatの導入をご検討ください。
Rocket.Chatプロダクトマネージャー PCハードメーカーの企画営業としてエンタープライズ企業を担当、2023年三和コムテックに入社。
新規ソリューションの営業・企画面にて参画。中小企業から年商1,000億円以上の企業まで幅広く対応。
PCIDSS保持に関するセキュリティソリューションの導入を支援。脆弱性診断系を専門分野とする。
近年は、金融機関、カード会社、流通事業者へのセキュリティコミュニケーションツールとしてオンプレミスチャットの導入を推進。Security情報の啓蒙活動に従事し、お客様イベントにて講演多数。
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