セキュリティ用語集

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IT-BCP

IT-BCP(IT-Business Continuity Plan)は、情報技術(IT)分野における事業継続計画のことです。これは、災害や障害が発生した際に、企業のITシステムやデータを保護し、迅速に復旧させるための計画を策定し、実施するための枠組みを指します。IT-BCPは、企業の業務を中断させることなく継続させるための重要な対策です。

【IT-BCPの主な目的】

・事業の継続性の確保
災害や障害が発生した際にも、重要なビジネスプロセスを継続する。

・データの保護と復旧
重要なデータを保護し、必要に応じて迅速に復旧させる。

・システムの可用性の維持
主要なITシステムのダウンタイムを最小限に抑える。

・顧客信頼の維持
サービスの中断を防ぎ、顧客や取引先からの信頼を維持する。

【IT-BCPの主要な要素】

・リスク評価と分析
どのような災害や障害が発生する可能性があるかを評価し、その影響を分析する。

・業務影響分析(BIA)
各業務プロセスが中断した場合の影響を評価し、重要度をランク付けする。

・データバックアップとリカバリ
定期的なデータバックアップを行い、データの復旧手順を明確にする。

・ITインフラの冗長化
重要なITシステムやネットワークの冗長化(例:デュアルサーバー、冗長ネットワーク)を図る。

・災害復旧計画(DRP)
災害発生時にITインフラを迅速に復旧させるための具体的な手順とプロセスを策定する。

・従業員教育と訓練
従業員に対してBCPの重要性を教育し、計画に基づいた訓練を定期的に実施する。

【事例】金融機関のIT-BCP
ある大手銀行がIT-BCPを策定しました。この銀行では、地震やサイバー攻撃などのリスクを考慮し、以下の対策を実施しました。
1.データセンターの二重化:
地理的に離れた場所に二つのデータセンターを設置し、一方が障害を受けた場合でももう一方が稼働できるようにしました。
2.定期的なバックアップ:
重要な取引データを毎日バックアップし、オフサイトの安全な場所に保管。

3.災害復旧訓練:
年に一度、災害復旧のシミュレーションを実施し、従業員が緊急時の対応手順を熟知できるようにしました。

【事例】製造業のIT-BCP
ある製造業の企業では、製造ラインが停止することが大きな損失につながるため、IT-BCPを重視しています。この企業では以下の対策を講じました。
1.クラウドベースのバックアップ:
生産データや設計図面をクラウドにバックアップし、オンサイトの障害時にもデータにアクセス可能。

2.ネットワーク冗長化:
複数のインターネット接続を確保し、一方の回線がダウンした場合でも生産管理システムが継続的に稼働するようにしました。

3.自動化された復旧プロセス:
システム障害が発生した際に自動的に復旧手順が実行されるよう、復旧プロセスの自動化を推進。

IT-BCPは、企業の事業継続性を確保するために不可欠な計画です。適切なリスク評価と対策を講じることで、災害や障害が発生した場合にも迅速に対応し、業務の中断を最小限に抑えることが可能となります。これにより、企業は顧客の信頼を維持し、競争力を保つことができます。

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