ベネズエラの汚職、スイスの銀行にも影響か

 2023.06.06  岡山 大

ベネズエラでは情勢不安によりコロンビアに移民をする人が大量に発生しています。
移民が晒されている境遇が問題視される中[1]、権力者層のマネーロンダリングの問題もまた問題視されています。
汚職の専門家としてジャーナリストのインタビューにもこたえていた大学教授がベネズエラでの資金洗浄で告発されるなど、その影響はベネズエラ国内にとどまりません。[2]

実際にマネーロンダリングに使用される銀行の中にはスイスの銀行(CBH; COMPAGNIE BANCAIRE HELVÉTIQUE) があると Bloomberg 紙は指摘し、以下のように述べています。[3]

"裁判の資料、内部のメールや記録、CBH等、内情に詳しい人物との取材によると、ベネズエラの顧客に対して、 CBH はただ受動的に入金を受け入れていたというわけではなく、職員はパナマやルクセンブルグの法律家と協業し顧客のために会社を設立していました。
さらに、銀行のジェノバ拠点の住所を登記に指定しているケースもあり、このようなケースは15件ほど発見されたことがCBHと外部の法律家間のメールからわかっています。"

この銀行は以前、Jean-Marie Le Pen という、Marine Le Pen の父親が資産を隠していたところでもあります。[4]
なお、彼は第二次世界大戦に関して問題発言をし、過去に罰金を受けたことがあります。[5]

スイスが歴史的に資産家を相手に銀行業を営み秘密主義的なところがあると言われていますが、ここまで強力なものとは驚きです。

[1]https://www.bbc.com/mundo/noticias-america-latina-49486230
[2]https://www.nytimes.com/2019/11/18/nyregion/bruce-bagley-money-laundering-venezuela.html
[3]https://www.bloomberg.com/news/features/2019-10-15/swiss-bank-cbh-keeps-cropping-up-in-venezuelan-corruption-cases
[4]https://www.france24.com/en/20150428-france-le-pen-secret-swiss-account-mediapart
[5]https://www.theguardian.com/world/2016/apr/06/jean-marie-le-pen-fined-again-dismissing-holocaust-detail

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この記事の執筆・監修者
岡山 大
三和コムテック株式会社
セキュリティソリューションプロダクトマネージャー
OEMメーカーの海外営業として10年間勤務の後、2001年三和コムテックに入社。
新規事業(WEBセキュリティ ビジネス)のきっかけとなる、自動脆弱性診断サービスを立ち上げ(2004年)から一環して、営業・企画面にて参画。 2009年に他の3社と中心になり、たち上げたJCDSC(日本カードセキュリティ協議会 / 会員企業422社)にて運営委員(現在,運営委員長)として活動。PCIDSSや非保持に関するソリューションやベンダー、また関連の審査やコンサル、などの情報に明るく、要件に応じて、弊社コンサルティングサービスにも参加。2021年4月より、業界誌(月刊消費者信用)にてコラム「セキュリティ考現学」を寄稿中。

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