ランサムウェア攻撃被害からわかる、共通の攻撃起点とは?

 2024.11.04  岡山 大

ランサムウェア攻撃の猛威は継続中

本ブログでも頻繁に触れているランサムウェア攻撃ですが、その猛威は依然として続いています。今月も、サイバーインシデント情報サイトにて以下のような記事が公表されました。

記事:認証破られランサム被害、個人情報流出の可能性 - MTI

記事によると、日本郵船グループで船舶運航技術の研究・開発を手がけるMTI(Monohakobi Technology Institute)社が、サイバー攻撃により従業員などの個人情報が流出した可能性があるとのことです。調査の結果、2024年8月22日~25日に何らかの方法で同社の認証情報を入手した第三者が同社のサーバーに不正アクセスし、ランサムウェアを実行してファイルを暗号化したということです。

10月は、BtoC分野でも、チェーンレストランとして有名なサイゼリヤがランサムウェア攻撃を受けたとの報道もありました。

ランサムウェア攻撃被害に共通する起点とは?

このようなランサムウェア攻撃による被害は、データの暗号化による利用不可にとどまらず、多くの場合、データ漏洩による従業員や取引先などへの損害にも繋がり、ビジネスに非常に大きな影響を与えますが、被害企業からの報告を振り返ると、共通の起点が見えてきます。

  • KADOKAWA社:「フィッシングなどの攻撃により従業員のアカウント情報が窃取されてしまったことが本件の根本原因である」
  • イセトー社:「VPNからの不正アクセスにより当社ネットワークに侵入した」
  • サイゼリヤ社:「不正アクセスを受けた可能性が確認されました」

KADOKAWA社では、「従業員のアカウント情報が詐取された」と表現されていますが、具体的な攻撃方法がはっきりしない場合には、「不正アクセス」という表現がよく使われます。この言葉は、アクセス時に認証設定がなされている前提で考えれば、何らかの理由で認証を突破され、なりすまされたことを意味します。抜本的な対策としては、多要素認証やパスキー、パスワードレス認証、SSO/IAMといった認証サービスの利用が推奨されますが、日本での多要素認証の普及率は約半分に留まっており、さらなる普及には時間がかかると考えられます。

認証情報の管理とクレデンシャル漏洩対策の重要性

こうした認証情報の悪用によるなりすましのリスクを防ぐためには、利用者として、自らが使用しているパスワードの漏洩状況を能動的に管理・対策することが重要です。

弊社では、クレデンシャル漏洩の調査や継続的な管理ソリューションも提供しておりますので、さまざまなサイバー攻撃の起点として最も悪用されやすいクレデンシャル漏洩対策の導入をご検討されることをお勧めいたします。ご興味のおありの方は、是非こちらまでお問い合わせください。
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この記事の執筆・監修者
岡山 大
三和コムテック株式会社
セキュリティソリューションプロダクトマネージャー
OEMメーカーの海外営業として10年間勤務の後、2001年三和コムテックに入社。
新規事業(WEBセキュリティ ビジネス)のきっかけとなる、自動脆弱性診断サービスを立ち上げ(2004年)から一環して、営業・企画面にて参画。 2009年に他の3社と中心になり、たち上げたJCDSC(日本カードセキュリティ協議会 / 会員企業422社)にて運営委員(現在,運営委員長)として活動。PCIDSSや非保持に関するソリューションやベンダー、また関連の審査やコンサル、などの情報に明るく、要件に応じて、弊社コンサルティングサービスにも参加。2021年4月より、業界誌(月刊消費者信用)にてコラム「セキュリティ考現学」を寄稿中。

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