ランサムウェアの注意喚起とは?
最新の攻撃事例と企業が取るべき対策を解説

 2025.12.25  岡山 大

ランサムウェアの注意喚起とは?最新の攻撃事例と企業が取るべき対策を解説

この記事で分かること

  • ランサムウェアの基本的な仕組みと注意喚起が求められる背景
  • 名古屋港への攻撃など、国内で発生した最新の被害事例
  • RaaS(Ransomware as a Service)による攻撃の分業化と手口の巧妙化
  • 企業が今すぐ実施すべき具体的なセキュリティ対策

近年、ランサムウェアによるサイバー攻撃は急増しており、IPAが公表する「情報セキュリティ10大脅威」でも組織向け脅威の上位に位置づけられています。2023年には名古屋港のコンテナターミナルがLockBitによる攻撃を受け、物流機能が一時停止するなど、社会インフラにまで深刻な影響が及ぶ事態となりました。攻撃者はRaaSと呼ばれる分業モデルを活用し、専門知識がなくても攻撃を実行できる環境が整いつつあります。本記事では、ランサムウェアの仕組みから最新の攻撃事例、そして企業が取るべき多要素認証の導入やバックアップ体制の整備といった具体的な対策までを網羅的に解説します。自社のセキュリティ体制を見直し、被害を未然に防ぐための参考としてご活用ください。

ランサムウェアとは?注意喚起が必要な理由

ランサムウェアは、今や企業が最も警戒すべきサイバー攻撃の一つとなっています。感染すると業務システムが完全に停止し、事業継続に深刻な影響を及ぼすケースが後を絶ちません。ここでは、ランサムウェアの基本的な仕組みと、なぜ注意喚起が必要なのかについて解説します。

ランサムウェアの基本的な仕組み

ランサムウェアとは、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)の一種であり、感染した端末やサーバー内のデータを暗号化し、復号と引き換えに身代金(ランサム)を要求する攻撃手法です。「Ransom(身代金)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせた造語として広く知られています。

ランサムウェアに感染すると、以下のような被害が発生します。

被害の種類 具体的な内容
データの暗号化 業務データやシステムファイルが暗号化され、アクセスできなくなります
業務システムの停止 基幹システムや生産管理システムなどが使用不能となり、事業が停止します
身代金の要求 暗号化されたデータの復号キーと引き換えに、暗号資産などでの支払いを要求されます
情報の窃取と公開 暗号化前にデータを窃取し、身代金を支払わなければ公開すると脅迫されます

近年では、データの暗号化だけでなく、窃取した情報をダークウェブ上で公開すると脅す「二重恐喝」の手口が主流となっています。この手口により、バックアップからデータを復元できたとしても、情報漏洩のリスクを回避できないという深刻な状況が生まれています。

ランサムウェア対策を含むセキュリティ全般について体系的に理解したい方は、三和コムテック Security Solution Bookをご参照ください。企業が取り組むべきセキュリティ対策の全体像を把握できます。

IPAが公表する情報セキュリティ十大脅威での位置づけ

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」において、ランサムウェアによる被害は常に上位に位置づけられています。この指標は、日本国内における情報セキュリティの脅威動向を示す重要な参考資料として、多くの企業や組織で活用されています。

IPAの情報セキュリティ10大脅威 2025によると、「ランサム攻撃による被害」は組織向け脅威として10年連続で選出されており、2021年から2025年まで5年連続で第1位となっています。この結果は、ランサムウェアが一過性の脅威ではなく、継続的に企業を脅かす存在であることを示しています。

年度 組織向け脅威での順位
2025年 第1位
2024年 第1位
2023年 第1位
2022年 第1位
2021年 第1位

このようにランサムウェアが継続して最大の脅威として認識されている背景には、攻撃手法の巧妙化と被害規模の拡大があります。かつては不特定多数を狙うばらまき型の攻撃が主流でしたが、現在では特定の企業や組織を標的とした計画的な攻撃へと変化しています。

IPAをはじめとする公的機関や業界団体から、ランサムウェアに関する注意喚起が繰り返し発出されている状況は、すべての企業がこの脅威に対して適切な対策を講じる必要があることを意味しています。

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なぜ今ランサムウェアへの注意喚起が急務なのか?

なぜ今ランサムウェアへの注意喚起が急務なのか?

なぜ今、ランサムウェアへの注意喚起が急務となっているのでしょうか。その背景には、攻撃手法の高度化と犯罪組織のビジネスモデル化が挙げられます。従来の愉快犯的なサイバー攻撃とは異なり、現在のランサムウェア攻撃は組織的かつ計画的に実行されており、国内の重要インフラや大手企業が次々と被害を受けている状況です。

特に注目すべきは、攻撃者側のエコシステムが確立されている点です。ランサムウェアの開発者、攻撃を実行するアフィリエイト、身代金の回収を担当するグループなど、役割が細分化されています。この分業体制により、高度な技術を持たない攻撃者でも容易にランサムウェア攻撃を仕掛けられるようになりました。

企業のセキュリティ対策を検討する際には、最新の脅威動向を把握することが重要です。具体的な対策の全体像を知りたい方は、三和コムテック Security Solution Bookをご覧ください。

名古屋港を襲ったLockBit攻撃の事例

名古屋港を襲ったLockBit攻撃の事例は、国内におけるランサムウェア被害の深刻さを象徴しています。2023年7月、名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)がランサムウェア「LockBit 3.0」に感染し、コンテナターミナルの運用が約3日間にわたって停止しました。

この攻撃では、感染を通告する英語の文書がプリンタから100枚以上印刷されたと報告されています。この脅迫手法は、数年前に発生した徳島県つるぎ町立半田病院のランサムウェア被害を彷彿とさせるものでした。名古屋港は日本最大の貨物取扱量を誇る港湾であり、自動車部品をはじめとする物流への影響は甚大なものとなりました。

項目 内容
発生時期 2023年7月4日
被害対象 名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)
使用されたランサムウェア LockBit 3.0
システム停止期間 約3日間
影響範囲 コンテナ搬出入作業の全面停止

この事例が示すように、ランサムウェア攻撃は単なるデータの暗号化にとどまらず、社会インフラ全体の機能停止を引き起こす可能性があります。製造業のサプライチェーンへの影響も大きく、自動車メーカーの生産ラインにまで波及しました。

RaaS(Ransomware as a Service)による攻撃の分業化

RaaS(Ransomware as a Service)による攻撃の分業化は、ランサムウェア被害が急増している主要な要因のひとつです。RaaSとは、ランサムウェアをサービスとして提供するビジネスモデルを指し、SaaS(Software as a Service)になぞらえて名付けられました。

RaaSの仕組みでは、ランサムウェアの開発者が攻撃ツールを作成し、それをアフィリエイトと呼ばれる実行犯に提供します。アフィリエイトは実際に攻撃を行い、身代金を獲得した場合には開発者と収益を分配します。この分業体制により、プログラミングの知識がなくても攻撃に参加できる環境が整っています。

役割 担当業務
開発者 ランサムウェアの作成・アップデート、管理パネルの提供
アフィリエイト 標的の選定、侵入経路の確保、ランサムウェアの展開
イニシャルアクセスブローカー 企業ネットワークへの侵入経路を販売
交渉担当 被害者との身代金交渉、暗号資産での受け取り

LockBitをはじめとする主要なRaaSグループは、身代金収入の20〜30%を開発者が受け取り、残りをアフィリエイトが得る仕組みを採用しています。このビジネスモデルが攻撃者にとって魅力的であることから、ランサムウェア攻撃は今後も増加すると予測されています。

最新のランサムウェア動向や対策手法について学びたい方は、セキュリティ関連イベント・セミナー情報をご確認ください。専門家による解説を通じて、実践的な知識を習得できます。

ダークウェブを介した攻撃ツールの売買

ダークウェブを介した攻撃ツールの売買は、ランサムウェア攻撃のエコシステムを支える重要な要素となっています。ダークウェブとは、通常のブラウザではアクセスできない匿名性の高いネットワーク空間であり、Torなどの特殊なソフトウェアを使用してアクセスします。

ダークウェブ上のマーケットプレイスでは、ランサムウェアの攻撃ツールだけでなく、企業ネットワークへの侵入情報や窃取された認証情報なども取引されています。攻撃者は必要なツールや情報を購入することで、短期間で攻撃を実行できる環境を整えています。

取引される情報・ツール 概要
ランサムウェアキット 攻撃に必要なツール一式(カスタマイズ可能な場合も)
VPNアカウント情報 企業ネットワークへのリモートアクセス認証情報
RDPアクセス情報 リモートデスクトップ接続のための認証情報
漏洩した認証情報 過去の情報漏洩事故から流出したID・パスワード
脆弱性情報 未公開または最新の脆弱性に関する技術情報

特に問題となっているのは、イニシャルアクセスブローカー(IAB)と呼ばれる攻撃者の存在です。IABは企業ネットワークへの侵入経路を確保し、その情報をダークウェブ上で販売します。ランサムウェアの攻撃者は、この情報を購入することで侵入の手間を省き、効率的に攻撃を展開できます。

このような攻撃エコシステムに対抗するためには、自社の情報がダークウェブ上で取引されていないかを監視することが重要です。脅威情報を継続的に収集し、潜在的なリスクを早期に把握することで、被害を未然に防ぐことができます。

IPA「情報セキュリティ10大脅威 2025」と企業が取るべき対策

ランサムウェア攻撃の手口と特徴

ランサムウェア攻撃の手口と特徴

ランサムウェア攻撃の手口と特徴を理解することは、効果的な対策を講じるうえで欠かせません。近年の攻撃は単にマルウェアを送りつけるだけでなく、企業のネットワークに深く侵入してから暗号化を実行するなど、高度化が進んでいます。

攻撃者は事前に標的となる組織を調査し、セキュリティの弱点を特定したうえで攻撃を仕掛けるケースが増えています。このような計画的な攻撃に対応するためには、攻撃の流れと特徴を正しく把握しておく必要があります。

標的型攻撃との関連性

標的型攻撃との関連性は、現代のランサムウェア攻撃を理解するうえで重要なポイントです。従来のランサムウェアは、不特定多数にばらまく形式が主流でした。しかし、現在では特定の企業や組織を狙い撃ちにする標的型攻撃の手法が多く取り入れられています。

攻撃者はまず、フィッシングメールや脆弱性の悪用などを通じて企業のネットワークに侵入します。侵入後は数週間から数か月にわたって内部を偵察し、重要なデータやシステムの所在を把握します。そのうえで、最も効果的なタイミングを見計らって暗号化を実行するのです。

以下の表は、従来型のランサムウェア攻撃と標的型ランサムウェア攻撃の違いを整理したものです。

項目 従来型ランサムウェア攻撃 標的型ランサムウェア攻撃
攻撃対象 不特定多数 特定の企業や組織
侵入方法 大量のスパムメール配信 標的に合わせたフィッシングや脆弱性の悪用
侵入から暗号化までの期間 即時または短期間 数週間から数か月
要求される身代金 比較的少額(数万円程度) 高額(数千万円から数億円)
被害の深刻度 限定的 事業継続に影響するレベル

このように、標的型ランサムウェア攻撃では、攻撃者が十分な準備期間を設けて企業の弱点を突いてきます。そのため、単純なウイルス対策ソフトだけでは防ぎきれないケースが多くなっています。

セキュリティ対策の全体像を把握したい方は、セキュリティ関連イベント・セミナー情報もあわせてご確認ください。最新の脅威動向や対策手法について学べる機会を提供しています。

恐喝手法の巧妙化と被害額の実態

恐喝手法の巧妙化と被害額の実態について把握しておくことは、ランサムウェアの脅威を正しく認識するために重要です。従来のランサムウェアは、データを暗号化して身代金を要求する単純な手法でした。しかし、現在では「二重恐喝」や「三重恐喝」と呼ばれる複合的な脅迫手法が主流となっています。

二重恐喝では、データを暗号化する前に機密情報を窃取しておき、身代金を支払わなければ情報を公開すると脅します。三重恐喝では、さらに取引先や顧客にも連絡して圧力をかけるなど、被害企業を追い詰める手口が使われます。

以下の表は、恐喝手法の種類とその特徴をまとめたものです。

恐喝手法 概要 企業への影響
単純恐喝 データを暗号化し、復号と引き換えに身代金を要求 業務停止、データ喪失のリスク
二重恐喝 暗号化に加え、窃取したデータの公開をちらつかせる 情報漏洩による信用失墜、法的責任
三重恐喝 二重恐喝に加え、取引先や顧客への通知で圧力をかける 取引関係の悪化、風評被害の拡大
四重恐喝 DDoS攻撃を併用し、サービス停止でさらに追い詰める 復旧作業の妨害、追加的な損害

被害額についても深刻な状況が続いています。警察庁が公表した「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、ランサムウェアによる被害の報告件数は令和5年に197件となり、高い水準で推移しています。被害を受けた企業のうち、復旧に1か月以上を要したケースも少なくありません。

また、調査や復旧に要した費用については、1,000万円以上を費やした事例が全体の約37%を占めています。身代金の支払い有無にかかわらず、インシデント対応や業務停止による損失は企業経営に大きな打撃を与えます。

このような脅威に備えるためには、最新のセキュリティ情報を継続的に収集することが大切です。三和コムテックが提供する最新ブログ無料購読では、ランサムウェアをはじめとするセキュリティ関連の情報を定期的にお届けしています。また、専門用語の理解を深めたい方は分かりやすいセキュリティ用語集もご活用ください。

ランサムウェア対策として企業が実施すべきことは?

ランサムウェア対策として企業が実施すべきことは?

ランサムウェア対策として企業が実施すべき取り組みは多岐にわたります。攻撃手法が日々巧妙化するなか、単一の対策だけでは十分な防御効果を得ることが難しくなっています。ここでは、企業が優先的に取り組むべき4つの対策について詳しく解説します。

強力なパスワードと多要素認証の導入

強力なパスワードと多要素認証の導入は、ランサムウェア対策の基本として欠かせない取り組みです。ランサムウェア攻撃の多くは、脆弱な認証情報を悪用して侵入経路を確保しています。そのため、認証基盤の強化が被害防止の第一歩となります。

強力なパスワードを設定する際には、以下のポイントを押さえることが重要です。

要素 推奨事項
文字数 12文字以上を設定する
文字種 大文字・小文字・数字・記号を組み合わせる
避けるべきパターン 辞書に載っている単語や個人情報を含めない
使い回し システムごとに異なるパスワードを使用する

ただし、強力なパスワードを設定しても、フィッシング攻撃やダークウェブでの認証情報売買によって漏洩するリスクは残ります。この課題に対応するために、多要素認証(MFA)の導入が効果的です。多要素認証を有効にすることで、仮にパスワードが漏洩した場合でも、不正アクセスを防ぐことができます。

多要素認証の方式には、SMS認証やワンタイムパスワード生成アプリ、生体認証、ハードウェアトークンなどがあります。特にVPN接続やリモートデスクトップなど外部からのアクセスが発生する環境では、多要素認証の導入を優先的に検討すべきです。

ユーザーアカウントの権限設定見直し

ユーザーアカウントの権限設定見直しは、ランサムウェアによる被害範囲を最小限に抑えるために有効な対策です。攻撃者は侵入後、より高い権限を持つアカウントへの昇格を試みて被害を拡大させます。そのため、最小権限の原則に基づいたアカウント管理が重要です。

具体的には、以下の観点から権限設定を見直すことを推奨します。

  • 業務に必要な最小限の権限のみを付与する
  • 管理者権限を持つアカウント数を必要最低限に制限する
  • 共有アカウントの使用を廃止し、個人ごとにアカウントを発行する
  • 退職者や異動者のアカウントを速やかに無効化する
  • 定期的に権限の棚卸しを実施する

また、特権アカウント管理(PAM)ツールを導入することで、管理者権限の使用状況を監視し、不審な操作を早期に検知できます。特権アカウントは攻撃者にとって最も価値の高い標的となるため、厳格な管理体制を構築することが求められます。

定期的なバックアップの実施

定期的なバックアップの実施は、ランサムウェア攻撃を受けた際の事業継続性を確保するうえで不可欠な対策です。ランサムウェアに感染してデータが暗号化されたとしても、適切なバックアップがあれば身代金を支払うことなくシステムを復旧できます。

効果的なバックアップ戦略を構築するためには、「3-2-1ルール」に従うことが推奨されます。

ルール 内容
3つのコピー 本番データを含め、少なくとも3つのデータコピーを保持する
2種類の媒体 異なる種類の記録媒体(ハードディスク、テープ、クラウドなど)に保存する
1つはオフサイト 少なくとも1つのバックアップを物理的に離れた場所に保管する

近年のランサムウェアは、バックアップデータも暗号化の対象とするケースが増えています。この脅威に対抗するためには、バックアップをネットワークから切り離した状態で保管するオフラインバックアップや、書き換え不可能な形式で保存するイミュータブルバックアップの導入が効果的です。

さらに重要なのは、バックアップからの復旧手順を定期的にテストすることです。いざという時に復旧できなければ、バックアップの意味がありません。少なくとも年に1回は復旧テストを実施し、手順書の更新や復旧にかかる時間の把握を行うことが望ましいです。

脅威情報の収集と脆弱性の可視化

脅威情報の収集と脆弱性の可視化は、ランサムウェア攻撃に対する予防的な対策として重要です。攻撃者の動向を把握し、自社システムの弱点を事前に把握することで、被害を未然に防ぐことができます。

脅威情報の収集においては、以下のような情報源を活用することが有効です。

  • IPA(独立行政法人情報処理推進機構)やJPCERT/CCなどの公的機関が発信する注意喚起
  • セキュリティベンダーが提供する脅威インテリジェンス
  • 業界団体やISAC(情報共有分析センター)からの情報
  • ダークウェブ監視サービスを通じた情報収集

特にダークウェブでは、自社の認証情報が売買されていないか、自社を標的とした攻撃計画が議論されていないかといった情報を早期に察知できます。このような情報をいち早く収集・分析し、想定される攻撃手法と脆弱性を加味したリスクを可視化することで、適切なサイバー攻撃への準備を強化できます。

脆弱性の可視化においては、定期的な脆弱性診断の実施が基本となります。外部からのネットワーク診断だけでなく、内部ネットワークやWebアプリケーションの診断も含めた包括的なアプローチが求められます。発見された脆弱性は、リスクの高さに応じて優先順位をつけ、計画的に対処することが重要です。

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よくある質問(FAQ)

ランサムウェアに感染した場合、最初に何をすべきですか?

感染が疑われる端末をただちにネットワークから切り離し、被害の拡大を防ぐことが最優先です。その後、セキュリティ担当者や外部の専門機関に連絡し、状況を報告してください。感染端末の電源は切らず、証拠保全のために現状を維持することが重要です。

ランサムウェアの身代金は支払うべきですか?

身代金の支払いは推奨されません。支払ってもデータが復旧される保証はなく、攻撃者の活動資金となり、さらなる攻撃を助長する可能性があります。警察庁やIPAも身代金の支払いに応じないよう呼びかけています。

中小企業もランサムウェアの標的になりますか?

はい、中小企業も標的になります。むしろセキュリティ対策が十分でない中小企業は、攻撃者にとって侵入しやすいターゲットとみなされることがあります。また、サプライチェーン攻撃の足がかりとして狙われるケースも増加しています。

ランサムウェアの主な感染経路は何ですか?

主な感染経路としては、VPN機器の脆弱性を悪用した侵入、リモートデスクトップ(RDP)への不正アクセス、フィッシングメールの添付ファイルやリンク、不正なWebサイトの閲覧などが挙げられます。特に近年はVPN機器経由の侵入が増加傾向にあります。

バックアップはどのくらいの頻度で取るべきですか?

業務の重要度やデータ更新頻度に応じて設定しますが、重要なデータは少なくとも毎日バックアップを取ることが望ましいです。また、バックアップデータはネットワークから切り離した場所に保管し、定期的に復元テストを行うことが重要です。

従業員へのセキュリティ教育は必要ですか?

必要です。ランサムウェア攻撃の多くは、従業員が不審なメールを開いたり、危険なリンクをクリックしたりすることがきっかけで発生します。定期的なセキュリティ研修や標的型攻撃メール訓練を実施し、組織全体のセキュリティ意識を高めることが効果的な対策となります。

ランサムウェア被害に遭った場合、届出は必要ですか?

被害に遭った場合は、最寄りの警察署や都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口への届出が推奨されます。また、個人情報の漏えいが発生した場合は、個人情報保護委員会への報告が義務付けられています。IPAへの届出も被害情報の共有と注意喚起に役立ちます。

ランサムウェア対策として最低限必要なことは何ですか?

最低限必要な対策として、OSやソフトウェアの最新化、ウイルス対策ソフトの導入と更新、定期的なバックアップの実施、強力なパスワードと多要素認証の設定、従業員へのセキュリティ教育が挙げられます。これらを組み合わせた多層防御の考え方が重要です。

まとめ

本記事では、ランサムウェアに関する注意喚起の重要性と、企業が取るべき対策について解説しました。

ランサムウェアは、IPAの情報セキュリティ十大脅威において組織向け脅威の上位に位置し続けており、その危険性は年々高まっています。名古屋港への攻撃事例に見られるように、社会インフラを標的とした攻撃も発生しており、あらゆる組織にとって他人事ではありません。

RaaS(Ransomware as a Service)の普及により、高度な技術を持たない攻撃者でもランサムウェア攻撃を実行できる環境が整っています。そのため、攻撃の件数は増加し、手口も巧妙化しています。こうした状況下では、事前の備えと継続的な対策が不可欠です。

企業が実施すべき対策としては、強力なパスワードと多要素認証の導入、ユーザーアカウントの権限設定見直し、定期的なバックアップの実施、脅威情報の収集と脆弱性の可視化が挙げられます。これらの対策を複合的に講じることで、ランサムウェア被害のリスクを大幅に低減できます。

セキュリティ対策は一度実施して終わりではなく、最新の脅威動向を把握しながら継続的に見直していくことが重要です。自社のセキュリティ体制に不安がある場合や、具体的な対策についてご相談がある場合は、専門家への相談をおすすめします。

三和コムテックでは、企業のセキュリティ課題に対応するさまざまなソリューションを提供しています。セキュリティ対策の全体像を把握したい方は「三和コムテック Security Solution Book」をご覧ください。また、最新のセキュリティ情報を学びたい方は「セキュリティ関連イベント・セミナー情報」もご活用いただけます。

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この記事の執筆・監修者
岡山 大
三和コムテック株式会社
セキュリティソリューションプロダクトマネージャー
OEMメーカーの海外営業として10年間勤務の後、2001年三和コムテックに入社。
新規事業(WEBセキュリティ ビジネス)のきっかけとなる、自動脆弱性診断サービスを立ち上げ(2004年)から一環して、営業・企画面にて参画。 2009年に他の3社と中心になり、たち上げたJCDSC(日本カードセキュリティ協議会 / 会員企業422社)にて運営委員(現在,運営委員長)として活動。PCIDSSや非保持に関するソリューションやベンダー、また関連の審査やコンサル、などの情報に明るく、要件に応じて、弊社コンサルティングサービスにも参加。2021年4月より、業界誌(月刊消費者信用)にてコラム「セキュリティ考現学」を寄稿中。

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