RPAの導入を検討するうえで、何を実現できるのか、どういったメリットを得られるのか知りたい方は多いことでしょう。また、初めての利用であれば、導入手順や費用面に関しても理解しておく必要があります。そこで本記事では、RPAの概要やメリット、ビジネスで必要性が増している背景、導入手順などについて解説します。
RPAとは?
RPAとは「Robotic Process Automation」の略であり、定型業務を自動化できるツールです。PCで行う定型作業をRPAのプログラムで自動化することで、作業に人の手を介在させる必要がなくなります。これによりヒューマンエラーを防止できるほか、業務効率化や生産性向上を実現できます。
RPA導入でできること
RPA導入により、メール対応やデータ入力、勤怠管理、データのダウンロード・アップロードなどの自動化が可能です。また、SNSに投稿されている自社製品・サービスに関する情報の収集や、日報や請求書の作成なども自動化できます。
ビジネスに必要とされている背景
現在、以下のような背景があり、多くの企業がRPAの導入を必要としています。
人手不足の深刻化
RPAの必要性を高めている最大の理由は、人手不測の深刻化です。日本では少子高齢化によって、生産年齢人口(15~64歳の人口)が減少し続けています。1990年には約8,600万人(人口比:約70%)存在した生産年齢人口は、2020年時点ですでに約7,500万人(約60%)まで低下しました。この人口減は今後もさらに続くと見られ、2040年には生産年齢人口が約6,200万人(約55%)になる見込みです。
参照元:我が国の人口について|厚生労働省
このような社会状況においては、なるべく人手を使わずに業務をこなせる仕組みづくりが求められます。このとき、大きな効果を発揮するのがRPAです。
RPAの導入によって、単純ながら手間暇を要する作業を自動化することで、人手不足を軽減できます。その分、手が空いた人材を人にしかできない作業に振り分ければ、今までと同じかそれ以上の生産性を確保することが可能です。このようにRPAの導入は、人手不足対策としてその必要性を増しています。
AIの登場による活用範囲の拡大
AIの進化に伴って自動化できる範囲が拡大しつつあるのも、多くの企業でRPA導入が加速している理由のひとつです。
RPAは通常、よくも悪くも事前に設定されたルール通りに作業を自動化するので、その適用範囲は限定的で使いにくい側面があります。たとえば、「請求書の数字をコピペする」というごく単純な作業を自動化する場合も、請求書のフォーマットが少し変わっただけで設定を調整しないといけません。
しかし、独自の判断と学習能力をもつAIをRPAと組み合わせれば、従来のRPAでは対処が困難だった不定形の業務や、イレギュラーな状況にも柔軟に対処しやすくなります。先の例でいえば、請求書のフォーマットが変わっても、コピペすべき情報(請求金額や個数など)をAI(AI-OCR)が自動で読み取り、柔軟に対応できます。
このように、AIによって柔軟な運用が可能になり、活用範囲が拡大したことで、多くの企業が以前よりRPAの有用性を認めるようになりました。
RPAの導入手順
RPAを導入する際には、現在の業務を見直し、どの業務を自動化するのかを考える必要があります。そのうえで、RPAツールの選定を進めます。また、いきなり大掛かりな導入をするのではなく、スモールスタートで取り組むのも成功のコツです。
現在の業務を見直し
RPAで自動化できるかどうかは、各業務の性格に左右されます。RPAを用いた自動化に適した作業と、そうでない業務があるため、まずは現在の業務を見直すことからスタートしましょう。
それぞれの業務における内容や手順、担当者などを可視化し、自動化による恩恵をもっとも受けられる業務をピックアップします。
業務の可視化により、今まで見えていなかった課題が明確になる可能性もあります。その結果、RPAの導入以外の方法で課題を解決する方法が見つかるかもしれません。
導入の目的と目標の明確化
業務の見直しと併せて、RPAの導入目的を社内で共有しましょう。RPAによって何を実現したいのか明確にしていないと、導入するだけで実際には使わなかったり、RPAに不向きな業務を自動化したり、といった無駄や失敗につながります。一般にRPAの導入目的としては、「長時間労働の是正」や「ヒューマンエラーの防止」などが挙げられます。
また、目的に沿って、定量的・定性的な目標(KPI)を設定することも重要です。たとえば、導入目的が「長時間労働の是正」なら、KPIとしては「残業時間を月に〇時間削減する」などが考えられます。KPIを設定することで、RPAの導入効果を客観的に評価するとともに、強い目的意識に基づいた運用がしやすくなります。
RPAツールの選定
ツール選定時には、先のステップで明確にした導入目的や目標を実現できるかどうかをチェックしましょう。RPAツールは数多くリリースされており、機能や強みはそれぞれ異なります。機能や強みを比較しつつ、導入目的にマッチした製品を選びましょう。
また、コスト面も要チェックです。RPA導入には、初期コストやランニングコストが発生します。オンプレミスかクラウドか、導入形態によっても必要となるコストは大きく変化するため注意しましょう。
使いこなせないツールを導入しても成果は期待できないため、操作性の確認も必要です。実際に使用してみないとわからない部分もありますが、製品によっては無料トライアルも用意されているため、あらかじめ使いやすさや機能をチェックしたうえで導入が可能です。
段階的な導入
いきなり広範にわたる業務へ導入してしまうと、万一トラブルが発生したとき対応できないおそれがあります。場合によっては、業務が停止してしまう可能性もあるため、スモールスタートでの取り組みをおすすめします。
まずは一部の業務へ導入し、様子を見つつ適用領域を広げていきましょう。こうすることで、いざトラブルが起きてもダメージを最小限に抑えられます。また、運用をスタートしたあとは、定期的に効果検証を行い、きちんと成果が出ているかどうかの確認も必要です。
RPA導入に必要な費用とは?
RPA導入時には、以下の費用が発生することを念頭に置いて、予算計画を立てることが大切です。
- 初期費用
- ランニングコスト
まず、RPA導入時には、初期費用(ライセンス料)が発生します。RPAには、端末へインストールして利用するデスクトップ型をはじめ、サーバーにインストールするサーバー型、クラウド上のシステムを利用するクラウド型などがあります。
導入する製品のタイプにより初期費用が変わるため、注意が必要です。初期費用は、デスクトップ型→クラウド型→サーバー型の順に高くなる傾向にあります。特にサーバー型は、規模が大きくなることも多く、数千万円の費用が発生するケースも見られます。
導入費用だけでなく、ランニングコストも発生します。月額利用料金やメンテナンス料金、サポート費用などが代表的です。また、RPAを使いこなすためには従業員への教育も必要となるため、別途育成コストが発生することも理解しておきましょう。
RPA導入による3つのメリット
RPA導入によって期待できるメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
1.生産性の向上
RPAは24時間365日稼働させられるため、生産性の向上につながります。人間のように疲れてミスをしたり、体調不良を起こしたりする不安もありません。
また、RPAに定型業務を任せることで、従来よりも少ない人員で今までと同等、もしくはそれ以上の成果が期待できます。その分、余裕ができたリソースをクリエイティブな作業やコア業務へ集中的に投入することで、効果的に生産性を向上させることが可能です。
2.コストの削減
RPAの導入はコストの削減にも寄与します。今まで従業員に任せていた定型業務を、RPAに代行してもらえるため、人件費を削減できます。企業経営において大きなウエイトを占める人件費を削減できれば、その分を設備投資や開発費用などに回すことも可能です。
業界によっては、繁忙期を乗り切るため一時的に人員を増やすケースも少なくありません。しかし、RPAを導入すれば、このようなシーンにおいても人員を確保する必要がなくなり、トータルでコストを削減できます。
3.モチベーションの上昇
定型業務の中には、工数が多いものや手順が複雑なものがあります。このような業務に日々取り組む従業員が、ストレスを抱えてしまうリスクは否めません。RPAで定型業務の自動化に成功すれば、従業員は定型業務のストレスから解放され、モチベーションアップにつながります。
また、RPAの導入で組織全体の業務効率化が進むと、残業時間の削減も可能です。残業時間の削減は、従業員のワークライフバランスの実現や、職場への満足度の向上につながり、結果として離職率が低下する効果も期待できます。
まとめ
RPAの導入により、さまざまな定型作業を自動化でき、生産性向上やコスト削減などのメリットが得られます。今後、人手不足やAIの活用が社会全体で加速していく中で、RPAの必要性はさらに高まっていくと予想されます。導入においては、業務の見直しや導入目的の明確化をしたうえでツールを選定し、スモールスタートで取り組みを進めましょう。
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