RPAを活用してできることは? その具体例のほか向かないことも解説

 2024.03.29  三和コムテック

近年、業務効率化などをめざしRPAを導入する企業は少なくありません。しかし実際にどのような業務に役立てられるのか、わからない部分も多いはずです。
この記事ではRPAがもたらす効果を紹介したうえで、導入に適した部門や活用しやすい業務、逆に向かない業務を紹介します。導入を検討中の方は参考にしてください。

RPAとは

RPAとは、Robotic Process Automationの頭文字を取ったIT用語で、人の代わりにロボットが業務を自動化してくれるソリューションの名称です。ロボットといってもコンピュータの中にあるソフトウェアであり、目に見えるわけではありません。RPAができることとして、主に定型業務やデータ入力などの単純作業が挙げられます。とくに人の判断を必要とせず、淡々とこなすような作業や定期的に実施しなければならない作業に最適です。
RPAは、手作業にかかる時間や労力のコストを抑え、業務効率化を図れることから、多くの企業で活用されています。

関連記事:RPAとは? ビジネスに必要とされている背景や導入手順、できることを紹介

RPAの利用がもたらす効果

RPAについて、何となく「便利なもの」と理解できていても、実際にどのような効果を得られるのかわからないかもしれません。業務での使われ方にもよりますが、企業がRPAを導入すると、以下のような効果やメリットが生まれます。

時間の短縮

人が作業するよりも時間を短縮できます。通常、新人の従業員はもちろん、ベテランの従業員であってもミスなく作業をこなすには一定の時間が必要不可欠です。しかし、人に代わってロボットが定型作業を行うと、ベテランの従業員よりも大幅に作業時間を短縮でき、スピーディに済ませられるようになります。さらに人の場合、働ける時間には限度があります。しかし、RPAにはそうした限度がありません。24時間365日休みなく働けるため、より多くの作業をこなせます。

ミスの防止

RPAはあらかじめ人によって決められたシナリオにもとづいて稼働します。そのため障害やイレギュラーな事態が発生した場合などをのぞいて、基本的にエラーやミスは起きないのがメリットです。
これは、先に述べた「時間の短縮化」にもつながるポイントです。どれほど周到に準備していた作業や普段から行っている単純作業であっても、手作業ではヒューマンエラーやミスを完全になくせません。複数人の担当者がダブルチェックをしなければならないなど、作業時間は余分にかかります。その点、RPAはこうした確認が不要で、かつミスなく作業を完結できます。

負担の軽減

RPAの導入で作業時間の短縮化が図れると、従業員はプライベートな時間を確保しやすくなり、ワークライフバランスを実現できます。また、人為的なミスを減らせることで、ミスの修正作業にかかる時間や労力を削減可能です。
これらのことは従業員のストレスを軽減させ、モチベーションの向上につながるなど、精神面でのよい影響にも期待できます。従業員に時間的、精神的余裕が生まれることで、より生産性の高い業務に従事させるなど、限られた人的リソースを適切に利用できるようになります。

RPAが役立つ業務部門

RPAは、営業やマーケティング、経理などさまざまな部門で役に立ちます。

たとえば営業部門では、顧客情報の入力作業や見積書の作成などの事務作業に時間や労力を取られがちです。しかしRPAを利用すれば事務作業の時間を減らし、本来必要な取引先への提案活動などに時間をあてられるようになります。
一方でマーケティング部門では、多種多様なデータを扱って分析します。データの収集や整理だけに忙殺されてしまうと、戦略的なマーケティング活動に時間を割けません。その点、RPAは膨大なデータを自動的に収集、分析するのに適しています。
経理部門においても、入金や振込リストの確認、経費の管理といった、毎月定期的に発生する定型作業が多く見られます。それらをRPAで自動的に処理できれば、担当者の作業負担が減るとともに、取引先への振込などミスが許されない業務における心理的な負担の軽減も可能です。

RPAを活用してできること

RPAを活用できる業務には、部門間で共通するものも多くあります。自社にどのように活かせるかを確認しましょう。

データの入力

RPAは、単純かつ繰り返しの多いデータ入力タスクを自動化できます。たとえばExcelシートやWebフォームへのデータ入力、顧客情報の更新、請求書の作成、注文処理などが一例です。人為的に発生するエラーや遅れを減らし、高い精度で迅速な処理が可能になります。
さまざまなアプリケーションやデータベースと連携できるのもRPAの魅力です。たとえばAI-OCRを併用すると、紙ベースの文書や画像からデータを抽出し、データベースへ自動入力できます。
もともと手作業で行ってきた単純で面倒なデータ入力を自動化することで、業務プロセス改善につながります。

報告書の作成

日報や月報などの報告書類は、業務終了後に作成することが多く、従業員の負担になる傾向にあります。紙ベースでの報告書を作成したうえでデータ入力する、といった二度手間が発生していることも少なくありません。
その点、RPAを使えば報告書類を迅速かつ的確に自動作成できるようになり、残業時間の削減や従業員の負担軽減につながります。
Excelのほか、報告書作成向けの専用ツール、コミュニケーションツールなど、ほぼすべてのツールで作成可能です。作成した報告書をクラウドへ自動アップロードさせることも可能なので、提出の手間がかかりません。

また、広告運用時にどれほどのコストパフォーマンスがあったかなどを、Googleアナリティクスからデータ抽出し、自動でグラフにするといった広告レポート作成も自動化できます。

各種情報の収集

市場競争が激化している現代では、さまざまな情報収集が欠かせません。たとえば、競合他社の販売価格や、自社商品に対する消費者の口コミなどを定期的に取得する必要があります。
RPAには、検索頻度や調査対象などの条件をあらかじめ設定しておくことで情報を自動取得できる機能も備わっています。インターネットから収集した口コミをExcelでリスト化し、ネガティブなキーワードがあれば担当者のメールなどへ自動で通知するように設定することも可能です。情報収集の工程を削減し、分析や改善といったすぐ次のアクションへ移れるのがメリットです。

顧客情報の登録

新たに自社の顧客を獲得した場合、社内で管理しているExcelのリストや名刺管理ソフトウェア、業務管理ソフトウェアなど、各システムへ別々に入力しているケースはよくあります。しかし、何度も同じ内容を複数のシステムへ登録しなければならないと、無駄な時間や手間が取られてしまいます。
その点、RPAなら顧客情報のシステム登録は1回の作業で済むのがメリットです。たとえば、あるフォームに顧客情報を入力すると、RPAがそのほかのシステムへも自動でログインし、入力してくれる仕組みです。これにより登録作業の時間を大幅に削減できるほか、登録もれや誤登録なども回避できます。

請求書の処理

経理部門では、取引先への請求書を作成する業務が発生します。しかしシステムに入力された注文情報を用いて請求書を作成し、プリントアウトする作業は取引先が多くなると煩雑になるうえ、ミスも許されません。
RPAを使うと、注文情報から必要な情報のみを抽出し、毎月決まった日に請求書を自動作成することが可能です。プリントアウトをしたり、取引先へ請求書データをメールで送付したりする作業も自動化できます。定型作業にかかる負担を減らし、数値の誤りや送付ミスなども防げるのがポイントです。

経費の精算

経理部門で定期的に発生する業務といえば、従業員に支払う交通費など経費の精算もあります。個別の訪問先を確認し、最適ルートや交通費の最安値などを調べる作業は、単純な定型作業ですが時間がかかり面倒です。
RPAなら、最適なルートの調査や交通費の検索はもちろん、従業員からの申請内容をチェックすることや、承認処理も自動化可能です。ヒューマンエラーを防ぎ、常に正しい内容で経費を管理できるようになるため、定期的な監査の際にもあわてずに済みます。

入金の消込

経理部門では、請求書発行後に入金を確認したうえで行う、消込作業も不可欠です。その際、請求情報と実際に振り込まれた入金情報が合っているかを突き合わせなければならず、取引先が多くなればなるほど、その作業は煩雑です。
RPAを用いた場合、金融機関のシステムから入金情報を取得し、併せて社内システム上で消込予定の請求情報を取得、両者に相違がないかを確認した後に社内システムから消込作業を行うという一連の作業を自動化できます。まだ入金されていない項目をリストアップする作業も自動化可能です。

在庫の管理

商品の在庫管理が適切ではない場合、欠品による販売機会の損失や、余剰在庫増加による管理費の問題が起きやすくなります。ただ、人が実際に足を運んで在庫を確認することは時間と労力がかかりコストが増大するため、得策ではありません。
RPAなら、生産数や仕入れ数と出荷数のデータを自動取得し、現時点での在庫数を常にチェックできます。チェックのタイミングをあらかじめ定めておけるため、うっかり忘れてしまうこともありません。在庫数を担当者のメールなどへ自動送信することも可能です。担当者は最新の在庫データにもとづいて、次の生産や仕入れ指示を的確に出せるようになります。

勤怠の管理

総務や人事などの部門では、従業員の勤怠管理業務が定期的に発生します。もし適切に管理できていないと労働基準法違反などの罪にも問われかねないため、ミスは許されません。
その点、RPAを使うと多くの勤怠管理データを自動で処理できるようになります。たとえば月の勤務時間や残業時間の累計を自動で集計、確認が可能です。また、有給休暇の取得日数や残日数も自動的に確認できます。勤怠管理データにもとづいた賃金計算や銀行口座への支払い作業、給与明細の作成も、RPAを活用すればスピーディかつ正確です。

契約書の発行

営業部門やそのサポート部門では、受注した案件について契約書を発行する作業が不可欠です。しかし、顧客を獲得すればするほどその作業は膨大になります。作業自体は定型であっても、内容は顧客ごとに異なり、万一入力ミスがあれば顧客からの信頼を失うことにもなりかねません。
RPAを活用すると、作業の工程をシナリオに設定しておくだけで、担当者のタスクを契約書のテンプレートを作成することと、出来上がった契約書をチェックすることの2つに削減できます。上長による承認作業も自動化でき、契約書作成における一連の処理時間を大きく減らせます。自動化によって手作業で発生しやすい入力ミスもなくなるため、差し戻し対策にも有効です。

発注リストの転記

顧客からメールで商品の発注リストが送られてきた場合、担当者がその商品情報をあらためて確認したうえで、発注リストを自社の受発注管理システムへ転記する作業が発生します。リストの数が多くなればなるほど、作業は膨大になり担当者の負担が大きくなってしまうのが難点です。
RPAなら、メールで受信した発注リストの内容を受発注システムへ自動で転記させることが可能です。顧客先にあるシステムを巡回し、受注データをダウンロードしたうえで、自社のシステムへインポートさせるといった作業も自動化できます。

定型メールの配信

RPAは、関係者へ定型的なメールを送信する際にもよく使われています。たとえば採用活動の場面では、自社からのメールを希望している人に対して会社説明会の案内メールを出したり、採用面接の前日に確認メールを送ったりすることが可能です。
膨大なメールアドレスのリストのうち、誰に送信するのかを選定するところからRPAを使えるため、メール配信にかかる作業を大幅に削減できます。手作業で起きがちな、送信先のミスや送信もれなどのエラーも減らせます。

問い合わせの処理

電話やメール、Webサイトの問い合わせフォームなどで顧客との接点を設けている場合、各窓口における対応の負担に悩む企業は少なくありません。各問い合わせに担当者が個別対応していると、相応の時間と労力がかかります。
問い合わせ内容は個々に異なるため一律の対応は難しい面がありますが、一部をRPAで自動化することは可能です。たとえばコールセンターでRPAを用いれば、電話をかけてきた顧客の情報を画面上ですぐに参照できます。フォームで寄せられたよくある問い合わせに対しては、あらかじめ定めた内容を自動で回答可能です。ほかにも、問い合わせ内容を自社の業務管理システムへ転記する、担当部門へ通知するといった社内共有も自動化できます。

RPAとは?導入メリットやツールの選定ポイントなど簡単に解説
かんたん!AutoMateでRPA

RPAに向かないこと

ここまで紹介したように、RPAはさまざまなシーンで多くの業務に活用できます。一方で、万能ツールではないことも忘れてはならないポイントです。業務効率化を求めて導入したものの、期待する効果が得られないような状況を避けるためにも、RPAが向かない業務についても確認しておきましょう。

複雑な作業

RPAはあくまで人があらかじめ定めたシナリオにもとづいて稼働するソフトウェアロボットです。そのため定型作業とはいえ、一部でも人の判断が必要となる作業や、複雑な工程が発生する作業には適していません。時期によって工程が変わるような作業も同様です。すべてのシナリオを設定することは現実的に困難なため、途中でエラーが出るおそれが高くなります。
ただし、そうした作業でも手順通りに進められるところまではRPAが担当し、残りを人が担当することは可能です。完全な自動化だけをめざすのではなく、うまく協働させることも考えてみましょう。

イレギュラーへの対応

何かイレギュラーなことが起きた場合には、その原因を探り、個々のケースに応じた適切な処理が必要です。しかし、こうしたイレギュラー対応にもRPAは向いていません。これが自ら学習を重ね、改善していくAI(人工知能)との大きな違いです。
たとえば、入力や転記業務の自動化において、全角入力が必須にもかかわらず半角入力されていた場合は、その場で作業はストップし、エラーとなってしまいます。
ただし、こうした事態が起きうると想定し、エラーが起きた際は管理者へ通知するようシナリオを設定することは可能です。リアルタイムに通知を受け取れると、管理者は早急にエラーの修正に取り組めます。

まとめ

RPAは定型的な業務や単純作業に適した自動化ツールであり、多くの企業が営業部門、マーケティング部門、経理部門などで活用しています。導入する際には、RPAに適さない作業をしっかり把握したうえで、対象業務をうまく見極めることが大切です。活用できれば作業時間を大幅に短縮でき、従業員の負担軽減やヒューマンエラーの予防につながります。

RPAツールにはさまざまな種類があるため、自社に合った製品を選びましょう。とくにおすすめは「AutoMate」です。マウスによる操作で設定がかんたんなうえ、高機能で複雑な条件にも対応できます。長く使うほどコストも安くなるため、ぜひ導入をご検討ください。

参照元:AutoMate | 三和コムテック 

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