データベースが持つ脆弱性とセキュリティリスクを解説!
効果的な対策も紹介

 2024.06.24  三和コムテック

データベースの普及が進む中で、その脆弱性とセキュリティリスクがますます重要視されています。この記事では、データベースが直面する主要な脆弱性とその影響に焦点を当て、それらに対処するための効果的な対策を解説します。

データベースのセキュリティに関する知識を深め、効果的な対策を行っていきたい企業はぜひご覧ください。

データベースが持つ脆弱性とセキュリティリスクを解説!効果的な対策も紹介

そもそも「脆弱性」とは

そもそも「脆弱性」とは

IT業界で「脆弱性(ぜいじゃくせい)」という言葉をよく耳にします。これは単なるIT用語に留まらず、ビジネス全般で利用されています。

脆弱性とは、一言で言えば「弱点」や「欠点」です。特にITの分野では、システムやソフトウェアにおけるセキュリティの欠陥や弱点を意味します。脆弱性が存在していると、サイバー攻撃や不正アクセスや情報漏洩などのリスクが高まります。

日々、脆弱性を狙ったサイバー攻撃などの悪意のある攻撃が行われているため、企業では脆弱性対策が重要事項とされています。

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「脆弱性」と「セキュリティホール」の違い

「脆弱性」と「セキュリティホール」の違い

情報セキュリティで利用されることが多く、「脆弱性」と「セキュリティホール」の意味を混同している方も多いです。しかし、適切な対策を講じるためには、両者の関係性を正しく認識する必要があります。

脆弱性とは、ソフトウェア、システム、運用方法などにおける、意図せぬ攻撃に対して弱くなるような欠陥や弱点のことを指します。これは、設計ミス、プログラミングミス、設定ミス、運用上の不備など、さまざまな要因によって発生する可能性があります。

セキュリティホールは脆弱性の1種であり、脆弱性の中でもソフトウェアのプログラム自体に存在する欠陥を指します。具体的には、プログラムのバグや不具合などによって、不正アクセスや情報漏えいなどの攻撃を受けやすくなってしまう状態です。

脆弱性をなくすことはできないのか?

脆弱性をなくすことはできないのか?

ITの急速な発展に伴い、さまざまなITツールが開発されツールを利用するユーザーも増加しています。また、開発者が想定していなかった技術が出てきたり、さまざまなツール同士を連携することで開発者が想定していない使われ方をしたりすることで脆弱性が生じます。

このような環境下でITツール開発者が全てのユーザーの利用用途を想定してテストを行うことは時間的にもコスト的にも困難です。

アプリやシステムで脆弱性が見つかった場合は、アップデートやコードの修正を行い対処しています。しかし、改善しても別の脆弱性が見つかり、そこを狙うサイバー攻撃が発生している現状です。

データベースが持つ脆弱性とセキュリティリスク

データベースが持つ脆弱性とセキュリティリスク

データベースの利用が広がる一方で、その脆弱性とセキュリティリスクも増加しています。ここからは、データベースが抱える代表的な脆弱性を8つ紹介し、それぞれのリスクについて詳しく解説します。

データベースの不正利用をまねく「SQLインジェクション」

SQLインジェクションは、攻撃者がデータベースに対して不正なSQL文を挿入し、情報の漏えいや改ざんを行う手法です。

例えば、悪意を持ってデータベースに侵入しようと企むSQL文があるにもかかわらず、ユーザー入力を適切に検証せずにSQLクエリに組み込むと、攻撃者は容易にデータベースに侵入できます。これにより、データベースから機密情報を引き出したり、データを改ざんしたりすることが可能になります。

このような攻撃を防ぐためには、ユーザー入力の検証を適切に行ったり、攻撃目的のSQL文を挿入した場合でも被害を抑えるようにデータベースを独立して開発するなどの工夫が重要です。

データベースのデータを改ざん・削除される「OSコマンド・インジェクション」

OSコマンド・インジェクションは、攻撃者がアプリケーションを介してシステムのOSコマンドを実行することで、データベースのデータを改ざん・削除する攻撃です。

例えば、Webアプリケーションがユーザー入力をシステムコマンドとして実行する場合、その入力が適切にエスケープされていないと、攻撃者は悪意のあるコマンドを実行できます。この結果、ファイルの削除やデータベースの改ざんなどが可能になります。対策としては、ユーザー入力の厳格なバリデーションと、シェルの代わりに安全なAPIを使用することが推奨されます。

データベースに格納された不正なスクリプトが実行される「クロスサイトスクリプティング(XSS)」

クロスサイトスクリプティングは、攻撃者がWebページに悪意のあるスクリプトを埋め込み、訪問者のブラウザでそのスクリプトを実行させる攻撃です。

このスクリプトは、データベースに格納されたユーザー情報を盗んだり、ユーザーのセッションを乗っ取ったりするために使用されます。例えば、コメント欄に悪意のあるJavaScriptを埋め込むことで、他のユーザーのデータが盗まれる可能性があります。対策として、ユーザー入力のエスケープや、コンテンツセキュリティポリシー(CSP)の実装が重要です。

データベースのIDやパスワードをアナログな方法で盗み出す「ソーシャルエンジニアリング」

ソーシャルエンジニアリングは、人間の心理的な脆弱性を利用して、データベースのIDやパスワードを盗み出す手法です。攻撃者は、電話やメール、対面での会話を通じて、正規のユーザーから機密情報を引き出します。例えば、攻撃者がITサポートを装い、パスワードを確認するなどの手口があります。この種の攻撃を防ぐためには、従業員の教育とトレーニングが重要であり、不審な要求には応じないこと、または公式チャネルを通じて確認することが推奨されます。

ユーザーになりすましデータベースの情報を盗む「セッションID固定化攻撃」

ログイン情報やサイトの設定を保存することで、次回同じサイトにアクセスする際、同じセッションとして認識するための機能をCookieと呼びます。Cookieに含まれるセッションIDを使ってユーザーになりすまし、データベースの情報を盗む手法をセッションID固定化攻撃と呼びます。

セッションIDの悪用を防ぐためには、Cookieに必ずsecure属性を付け、HTTPS通信のみで送受信するような設定が必要です。また、一定期間が空いてログインする際はセッションIDを再生成する対策も有効となります。

データベースが持つ脆弱性への対策実行前に攻撃する「ゼロデイ攻撃」

ゼロデイ攻撃は、データベースやソフトウェアの未修正の脆弱性を攻撃者が悪用する手法です。この脆弱性は、まだ開発者やシステム管理者に知られていないか、修正パッチが提供されていないため、即座に対策を講じることが困難です。攻撃者はこの隙を突いて、不正アクセスやデータ窃取を行います。

ゼロデイ攻撃を防ぐためには、定期的なセキュリティ監査と迅速なパッチ適用、そして多層防御を構築することが重要です。また、異常な活動を検出するための監視システムの導入も効果的です。

侵入の痕跡を隠しながらデータベースに不正アクセスする「ルートキット攻撃」

ルートキット攻撃は、攻撃者がシステムに侵入し、その痕跡を隠蔽しながらデータベースに不正アクセスする手法です。ルートキットは、システムのコア部分に組み込まれ、管理者やセキュリティソフトウェアから検出されにくくなります。これにより、攻撃者は長期間にわたってシステムを支配し、データを盗むことが可能になります。

この攻撃を防ぐには、システムの整合性を定期的にチェックし、異常な動作を監視することが重要です。また、最新のセキュリティパッチを適用し、ルートキット検出ツールを使用することも有効です。

データベースのドメイン名を乗っ取る「ドメイン名ハイジャック攻撃」

ドメイン名ハイジャック攻撃は、攻撃者が合法的なドメイン名を不正に奪取し、そのドメインを悪用してデータベースにアクセスする手法です。この攻撃により、ユーザーは正規のサイトにアクセスしていると思い込み、攻撃者のサイトに情報を送信してしまいます。ドメイン名の乗っ取りは、ドメイン登録情報の改ざんや、ドメイン管理アカウントのハッキングによって行われます。

これを防ぐためには、ドメイン登録情報の保護、二要素認証の導入、そして定期的なセキュリティ監査が重要です。

データベースのセキュリティを強化するためには

データベースのセキュリティを強化するためには

これまで解説してきた通り、データベースにはさまざまな脆弱性があり、対策を行わなければデータ流出やサイバー攻撃の対象となります。ここでは、データベース上のデータを守るためにセキュリティを強化する方法を解説します。

アップデートや脆弱性診断を定期的に行う

データベースのセキュリティを強化するためには、システムやソフトウェアのアップデートを定期的に行うことが不可欠です。最新のセキュリティパッチや更新プログラムは、既知の脆弱性を修正し、攻撃者がそれらを悪用するリスクを軽減します。

また、脆弱性診断を定期的に実施することで、潜在的な脆弱性を早期に発見し、対策を講じることができます。これにより、データベースへの不正アクセスやデータ漏洩を未然に防ぐことが可能となります。アップデートと脆弱性診断の両方の継続的な実施が、堅牢なセキュリティ体制の維持に欠かせません。

複数の対策を組み合わせた「多層防御」を構築する

多層防御は、複数のセキュリティ対策を組み合わせて、攻撃を多段階で阻止するアプローチです。ファイアウォールや侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)を導入し、外部からの不正アクセスを防ぎます。

また、データベース内のアクセス制御や監査ログの設定、定期的なバックアップも重要です。これらの対策を複数層にわたって実施することで、個々のセキュリティ対策が破られた場合でも、他の対策が補完し合い、総合的なセキュリティ強度が向上します。多層防御の考え方を取り入れることで、データベースへの不正アクセスを効果的に防止できます。

「入口対策」だけではなく「内部対策」「出口対策」も徹底する

データベースのセキュリティを強化するには、入口対策に加え、内部対策と出口対策も徹底することが重要です。入口対策としては、ファイアウォールやIDS/IPSの導入が挙げられますが、それだけでは不十分です。内部対策として、データベース内のアクセス制御やユーザーの権限管理、定期的なセキュリティ監査を行います。

また、出口対策として、データの持ち出しや外部送信を監視し、不審な動きを検出する仕組みを導入します。これらの対策を総合的に実施することで、内部からの攻撃や情報漏洩も防ぎ、データベースのセキュリティを全方位的に強化できます。

侵入や攻撃を検知する仕組みを導入する

データベースのセキュリティを強化するためには、侵入や攻撃を迅速に検知する仕組みの導入が不可欠です。侵入検知システム(IDS)侵入防止システム(IPS)は、ネットワークトラフィックを監視し、不審な活動をリアルタイムで検出します。

さらに、セキュリティ情報およびイベント管理(SIEM)システムを利用して、ログやイベントデータを統合的に分析し、異常な動きを早期に発見することが可能です。これらの仕組みにより、攻撃を未然に防ぎ、万が一の侵入時にも迅速に対応できる体制を整えることができます。定期的な監視とアラート設定も重要な要素です。

データベースの暗号化を行う

データベースのセキュリティを強化するためには、データベースの暗号化が重要です。データベース暗号化は、保存中のデータを保護し、不正アクセスがあっても情報を読み取られないようにします。暗号化技術を用いることで、データベース内の機密情報が漏えいするリスクを大幅に軽減できます。

また、暗号化キーの管理も重要で、安全な保管場所とアクセス制御の設定が必要です。さらに、通信経路の暗号化も行い、データが移動中に盗聴されないようにします。これらの暗号化対策を組み合わせることで、データベースのセキュリティが強化され、信頼性の高いシステムを構築できます。

データベース脆弱性の確認時に知っておくべき用語解説

データベースの脆弱性があるか確認するために、押さえておくべき用語とその意味を解説します。

データベース脆弱性の確認時に知っておくべき用語解説

脆弱性の深刻度を表す「CVSS」

CVSS(Common Vulnerability Scoring System)は、ソフトウェアやシステムの脆弱性の深刻度を評価するための標準化されたスコアリングシステムです。CVSSスコアは0から10までの範囲で示され、高いほど深刻な脆弱性を表します。

このスコアは、攻撃の容易さ、影響の範囲、攻撃の複雑さなどの要素を基に計算されます。CVSSは、脆弱性の優先順位を決める際に役立ち、セキュリティ担当者がリソースを効果的に配分するための指針となります。

脆弱性の種類を表す「CWE」

CWE(Common Weakness Enumeration)は、ソフトウェアの設計や実装における脆弱性や欠陥の種類を分類するための体系的なリストです。CWEには、バッファオーバーフロー、クロスサイトスクリプティング(XSS)、SQLインジェクションなど、さまざまな脆弱性が含まれています。

このリストは、開発者やセキュリティ専門家が脆弱性を特定し、修正するための共通の基盤を提供します。CWEは、セキュリティ対策の効果を評価し、改善点を明確にするのに役立ちます。

脆弱性の識別子を表す「CVE」

CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)は、既知のソフトウェア脆弱性に対して一意の識別子を付与するシステムです。各CVE識別子は、特定の脆弱性に関する詳細情報を含むデータベースエントリにリンクされており、共通の参照点を提供します。

これにより、セキュリティ専門家や開発者が同じ脆弱性について議論する際に混乱を避けることができます。CVEは、脆弱性の管理と修正を効率化し、セキュリティのベストプラクティスを実現するための重要なツールです。

脆弱性に関する最新情報を得る方法

日々、新たな脆弱性が見つかるため、セキュリティの最新情報やトレンド、傾向は随時チェックしなければ正しい対策ができません。ここでは、脆弱性の最新情報を取得するためのサイトを紹介します。

JPCERT/CCやIPAの公式サイトを見る

JPCERT/CC(一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター)やIPA(情報処理推進機構)の公式サイトは、脆弱性に関する最新情報を得るための信頼できるリソースです。これらのサイトでは、国内外のセキュリティインシデントや脆弱性情報を定期的に更新しており、具体的な対策や推奨事項も提供しています。

また、JPCERT/CCは脆弱性ハンドリングに関するアドバイザリを発行し、IPAはセキュリティに関するガイドラインや教育資料を公開しています。これらの情報を活用することで、最新のセキュリティ動向を把握し、適切な対策を講じることが可能です。

脆弱性情報ポータルサイト(JVN、JVN iPedia)を見る

JVN(Japan Vulnerability Notes)JVN iPediaは、脆弱性情報を集約し、提供するポータルサイトです。これらのサイトでは、ソフトウェアやシステムの脆弱性に関する最新情報が一元化されており、ユーザーは簡単にアクセスできます。

JVNはJPCERT/CCとIPAが共同で運営しており、脆弱性の詳細、影響範囲、対策方法などを提供しています。そして、JVN iPediaでは、過去の脆弱性情報をデータベース化し、検索可能な形で情報の取得が可能です。これらのポータルサイトを定期的にチェックすることで、最新の脆弱性情報を迅速に把握し、セキュリティ対策を強化できます。

まとめ

データベースの脆弱性とセキュリティリスクを理解し、適切な対策を講じることは、情報資産を守る上で不可欠です。

本記事で紹介した脆弱性とリスクを把握し、それぞれに対する効果的な対策を実施することで、データベースの安全性を大幅に向上させることができます。

データベースの脆弱性をチェック・対策したい企業は、三和コムテックが提供している「DB Plug-In方式」によってデータベースの暗号化を行うツール「D'Amo」がおすすめです。セキュリティに関する社内リソースが足りていない企業はD'Amoの導入をご検討ください。
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