
AWSやAzure、GCPといったパブリッククラウドの利用がビジネスに不可欠となる一方、「クラウドの設定ミス」を突いたサイバー攻撃や情報漏洩インシデントが深刻な問題となっています。手作業でのセキュリティチェックには限界があり、特に複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウド環境では、管理の複雑化がリスクをさらに増大させます。本記事では、こうした現代のクラウドセキュリティ課題を解決する切り札として注目される「CSPM(Cloud Security Posture Management)」について、その基本から具体的な製品選定のポイントまでを徹底解説します。結論として、CSPMは複雑化・分散化するクラウド環境全体のセキュリティ設定を継続的に監視・可視化し、設定不備を自動で検知・修正することで、人為的ミスに起因するセキュリティリスクを根本から解消する最も効果的なソリューションです。
この記事でわかること
- CSPMがなぜ今、企業のクラウドセキュリティ対策に不可欠とされるのか
- セキュリティ設定不備の発見や、国内外のコンプライアンス基準への準拠といった導入メリット
- 混同されがちなCWPPやCASB、SSPMといった他のソリューションとの明確な違いと使い分け
- 自社の環境や運用体制に最適なCSPM製品を選ぶための具体的な5つのチェックリスト
- 国内で導入実績のある主要CSPMソリューションの特徴と具体的な比較ポイント
この記事を最後までお読みいただくことで、CSPMの全体像を深く理解し、自社のクラウド資産を脅威から守るための具体的な次の一歩を踏み出せるようになります。
あなたの会社のクラウドは大丈夫?CSPMが必要とされる理由
デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に伴い、今や多くの企業にとってクラウドサービスの活用は事業成長に不可欠な要素となっています。総務省の調査によれば、国内企業の7割以上が何らかの形でクラウドサービスを利用しており、その市場規模は今後も拡大が見込まれています。しかし、その利便性の裏側で、新たなセキュリティリスクが深刻な問題として浮上していることをご存知でしょうか。本章では、なぜ今CSPM(Cloud Security Posture Management)が必要とされているのか、その背景にある3つの理由を深掘りしていきます。
クラウド利用の拡大がもたらす新たなセキュリティリスクとは?
オンプレミス環境からクラウド環境へ移行することで、企業はサーバー管理の物理的な負担から解放される一方、これまでとは質の異なるセキュリティリスクに直面します。インターネット経由でどこからでもアクセスできるというクラウドの特性は、そのまま攻撃対象領域(アタックサーフェス)の拡大に直結するのです。
具体的には、以下のようなリスクが挙げられます。
- 設定ミスによる情報漏洩: アクセス権限の誤設定など、単純なヒューマンエラーが大規模な情報漏洩につながるケースが後を絶ちません。
- サイバー攻撃の標的化: 多くの企業の重要データが集まるクラウドサービスは、ランサムウェア攻撃などサイバー攻撃者にとって魅力的な標的となります。
- シャドーITの発生: 部門や従業員が情報システム部門の許可なく便利なクラウドサービスを利用することで、管理の行き届かない領域が生まれ、セキュリティホールとなる可能性があります。
- 責任共有モデルの誤解: クラウドのセキュリティは、クラウド事業者と利用者双方に責任範囲が分かれています。利用者が自身の責任範囲を正しく理解せず、対策を怠ることで脆弱性が生まれます。
これらのリスクは、従来の境界型防御だけでは防ぎきることが難しく、クラウド環境に特化した新たなセキュリティアプローチが求められています。
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なぜクラウドの設定ミスは起こるのか?ヒューマンエラーが招く重大インシデント
ガートナー社の調査によると、クラウドにおけるセキュリティインシデントの大部分は、利用者の設定ミスが原因であると指摘されています。実際に国内でも、クラウドストレージの公開設定の誤りによって、数万人、場合によっては数十万人規模の個人情報が意図せず外部から閲覧可能な状態になっていたという事件が繰り返し報道されています。
では、なぜこれほどまでに設定ミスは頻発するのでしょうか。その背景には、主に以下の要因が挙げられます。
| 設定ミスを誘発する主な要因 | 具体例 |
|---|---|
| クラウドサービスの複雑性 | AWS、Azure、GCPといった主要なクラウドプラットフォームは、日々新しいサービスが追加され、機能も非常に多岐にわたります。その結果、設定項目が膨大かつ複雑になり、すべての設定のセキュリティ上の意味を正確に理解することが困難になっています。 |
| 人材・スキル不足 | クラウド技術の急速な進化に、企業のセキュリティ担当者の育成が追いついていないのが現状です。専門知識を持つ人材が不足する中で、手探りで設定を行わざるを得ないケースも少なくありません。 |
| 開発スピードの優先 | ビジネスサイドから求められる迅速なサービス展開(アジャイル開発など)を優先するあまり、セキュリティ設定の確認やレビューが不十分なままサービスを公開してしまうことがあります。 |
| 管理体制の不備 | 誰が、いつ、どの設定を変更したのかを追跡・管理する体制が整っていない場合、意図しない設定変更が見過ごされ、脆弱性として放置されてしまうリスクが高まります。 |
こうしたヒューマンエラーに起因する設定ミスは、悪意がなくとも、企業の信頼を根底から揺るがす重大なインシデントを引き起こす引き金となり得るのです。
マルチクラウド環境の管理、複雑化していませんか?
現在、多くの企業では単一のクラウドサービスだけを利用するのではなく、AWSのコンピューティング能力、Azureの認証基盤、GCPのデータ分析機能といったように、それぞれのサービスの強みを活かすために複数のクラウドを併用する「マルチクラウド」が一般的になっています。
マルチクラウドは、ベンダーロックイン(特定の事業者に依存すること)を回避し、最適な機能を組み合わせられるメリットがある一方で、管理の複雑性を飛躍的に増大させるという大きな課題を抱えています。
具体的には、以下のような問題が発生します。
- 管理コンソールとAPIの乱立: 各クラウドで管理画面や操作方法が異なるため、運用担当者は複数のツールを使い分ける必要があり、学習コストと運用負荷が増大します。
- セキュリティポリシーの不統一: クラウドごとにセキュリティの考え方や設定方法が異なるため、企業全体で統一されたセキュリティポリシーを適用し、維持することが非常に困難になります。
- 全体像の把握が困難: 各クラウド環境に資産が分散するため、「どの部署が、どのクラウドで、どのような設定で、何のリソースを動かしているのか」という全体像を正確に把握できなくなりがちです。
このように、管理がサイロ化・複雑化した結果、セキュリティ設定の漏れや不備が発生しやすくなり、企業全体のセキュリティレベルの低下を招いてしまうのです。 このような課題を解決するためにも、複数のクラウド環境を一元的に監視・管理できるCSPMの役割が重要視されています。
CSPMを導入すると、どんな課題を解決できるの?

CSPM(Cloud Security Posture Management)は、複雑化するクラウド環境のセキュリティを維持・強化するための強力なソリューションです。導入することで、これまで手動での対応に多大な工数がかかっていたり、そもそも気づくことのできなかった課題を解決に導きます。具体的にどのようなメリットがあるのか、3つの側面に分けて詳しく見ていきましょう。
課題解決1:セキュリティ設定の不備をリアルタイムに発見・修正
クラウドサービスは、ビジネスの俊敏性を高める一方で、設定項目の多さや頻繁なアップデートにより、意図しない設定ミスが発生しやすい環境でもあります。一つの些細な設定ミスが、重大な情報漏洩インシデントの引き金となるケースは後を絶ちません。CSPMは、このようなヒューマンエラーに起因するリスクを低減するための重要な役割を担います。
CSPMを導入すると、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudといった主要なパブリッククラウド環境全体を継続的に監視し、セキュリティ上のベストプラクティスや自社で定めたポリシーに違反する設定をリアルタイムで自動的に検出します。例えば、「本来は非公開であるべきストレージがインターネットに公開されている」「必要以上に強力な権限がユーザーに付与されている」といったリスクの高い設定不備を即座に特定し、管理者にアラートで通知します。
さらに、単に問題を指摘するだけでなく、具体的な修正手順を提示したり、事前に定義したルールに基づいて自動的に修正(自動修復)を実行したりする機能も備わっています。これにより、セキュリティ担当者は脅威が顕在化する前にプロアクティブ(事前対策的)に行動でき、クラウド環境を常に安全な状態に維持することが可能になります。
課題解決2:GDPRやISO27001など国内外の規制・基準への準拠を効率化
企業活動のグローバル化に伴い、国内外の様々な法規制や業界標準への準拠が求められます。GDPR(EU一般データ保護規則)やPCI DSS(クレジットカード業界のセキュリティ基準)、ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)など、その内容は多岐にわたり、クラウド環境がこれらの要件を満たしているかを継続的に証明することは、担当者にとって大きな負担となります。
CSPMは、主要なコンプライアンスフレームワークに対応したポリシーテンプレートを標準で備えており、自社のクラウド環境が各基準に準拠しているかを自動で評価します。ダッシュボード上で準拠状況が一目で可視化され、どの設定項目がどの規制のどの部分に違反しているかを瞬時に把握できます。
これにより、従来は数週間から数ヶ月かかっていた監査対応の準備が大幅に短縮されるだけでなく、監査に必要なレポートも自動で生成できるため、監査対応の工数を劇的に削減し、継続的なガバナンス強化を実現します。
| 分類 | 基準・フレームワーク名 | 概要 |
|---|---|---|
| 国際規格・法規制 | ISO/IEC 27001 | 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格。 |
| 国際規格・法規制 | GDPR | EU(欧州連合)における個人データ保護を目的とした規則。 |
| 業界基準 | PCI DSS | クレジットカード会員データを安全に取り扱うことを目的としたセキュリティ基準。 |
| ベストプラクティス | NIST CSF | 米国国立標準技術研究所(NIST)が発行するサイバーセキュリティフレームワーク。 |
| ベストプラクティス | CIS Benchmarks | Center for Internet Security(CIS)が策定した、セキュアなシステム構成のためのベストプラクティス。 |
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課題解決3:インシデント対応の迅速化と被害の最小化
万が一セキュリティインシデントが発生した場合、その被害を最小限に食い止めるためには、いかに迅速に検知し、原因を特定し、対処するかが鍵となります。しかし、複雑なクラウド環境では、問題の根本原因を突き止めるのに時間がかかり、対応が後手に回ってしまうことも少なくありません。
CSPMは、クラウド環境の構成情報を常に監視・記録しているため、インシデント発生時に「いつ、誰が、どの設定を、どのように変更したか」を迅速に追跡できます。不審なアクティビティやポリシー違反を検知すると即座にアラートを発報し、セキュリティチームは迅速に調査を開始できます。
また、検出されたリスクに対しては、その深刻度や影響範囲を自動で評価し、対応の優先順位付けを支援します。これにより、限られたリソースの中でも、最も危険な問題から効率的に対処することが可能になります。CSPMによるプロアクティブなリスク管理とインシデント発生時の迅速な対応体制は、事業継続性を確保し、企業のブランドイメージや社会的信用を守る上で不可欠です。
CSPMの主要機能と仕組みを解説

CSPMは、複雑化するクラウド環境のセキュリティを維持するための多様な機能を提供します。その仕組みは、主にクラウドプラットフォームが提供するAPI(Application Programming Interface)を介して設定情報を自動的に収集し、あらかじめ定義されたセキュリティポリシーと照らし合わせることで成り立っています。ここでは、CSPMが持つ中核的な3つの機能と、その仕組みについて詳しく見ていきましょう。
クラウド資産の可視化とインベントリ管理
CSPMの最も基本的な機能は、組織が利用しているすべてのクラウド資産(リソース)を網羅的に検出し、一元的に可視化することです。手動での管理では、担当者が把握していない「シャドーIT」や、テスト目的で作成され放置されたリソースを見逃す可能性があります。CSPMは、こうした管理外の資産を含むすべてのリソースを自動でインベントリ化し、セキュリティリスクの温床となる死角をなくします。
具体的には、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudといった複数のクラウド環境にまたがって存在する、以下のような資産情報をAPI経由で継続的に収集し、常に最新の状態に保ちます。
- コンピュートリソース: 仮想マシン(EC2, Azure VMなど)、コンテナ(ECS, EKS, AKSなど)、サーバーレス関数(Lambda, Azure Functionsなど)
- ストレージ: オブジェクトストレージ(S3, Blob Storageなど)、ブロックストレージ、ファイルストレージ
- データベース: RDS, Azure SQL Database, Cloud SQLなど
- ネットワーク: 仮想ネットワーク(VPC, VNet)、サブネット、セキュリティグループ、ファイアウォール、ルートテーブル、ロードバランサー
- IDとアクセス管理: IAMユーザー、ロール、ポリシー、アクセスキー
これらの情報を一元的なダッシュボードで確認できるため、自社がどのようなクラウド資産をどこで利用しているのか、その構成はどうなっているのかを正確に把握し、管理体制を強化することが可能になります。
セキュリティポリシー違反の継続的モニタリング
クラウド資産を可視化した上で、CSPMはそれらの設定がセキュリティ上のベストプラクティスや業界標準のコンプライアンス要件に準拠しているかを継続的に監視します。監視は一度きりではなく、24時間365日体制で自動的に行われ、新たなリソースの作成や設定変更も即座に検知の対象となります。
CSPMは、以下のような多様なポリシーやフレームワークを標準で搭載しており、自社のセキュリティ基準に合わせてカスタマイズすることも可能です。
- 国際的なセキュリティ基準: CISベンチマーク、NISTフレームワーク(SP800-53, CSFなど)、ISO/IEC 27001
- 各種規制要件: GDPR(EU一般データ保護規則)、PCI DSS(クレジットカード業界データセキュリティ基準)、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)
- クラウド事業者ごとのベストプラクティス: AWS Well-Architected Frameworkなど
これらのポリシーに基づき、設定ミスや脆弱な構成を検知すると、管理者にリアルタイムでアラートを通知します。これにより、インシデントにつながる前に問題へ対処することができます。
| カテゴリ | 違反内容の例 | 潜在的なリスク |
|---|---|---|
| ネットワーク設定 | SSH(ポート22)やRDP(ポート3389)がインターネット全体に公開されている | ブルートフォース攻撃による不正アクセス |
| ストレージ設定 | Amazon S3バケットやAzure Blob Storageがパブリックに公開設定になっている | 機密情報や個人情報の大規模な漏洩 |
| IDとアクセス管理 | ルートアカウントでアクセスキーが作成されている、または多要素認証(MFA)が無効になっている | 管理者権限の乗っ取りによる深刻な被害 |
| ログと監視 | 操作ログ(AWS CloudTrail, Azure Monitorなど)の記録が有効になっていない | インシデント発生時の原因調査や追跡が困難になる |
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リスク評価と修復プロセスの自動化
CSPMは、単にポリシー違反を検出するだけではありません。発見された膨大な数のアラートの中から、対応すべき問題の優先順位付けを支援し、修復プロセスを効率化・自動化する機能を備えています。
まず、検出された各違反に対して、その深刻度(重大、高、中、低など)や、インターネットに直接公開されている資産かどうかといったコンテキスト情報を加味してリスクスコアリングを行います。これにより、セキュリティ担当者は最も危険な問題から優先的に対処することが可能になります。
さらに、修復プロセスにおいては、以下のような機能を提供します。
- ガイド付き修復(Guided Remediation): 違反内容だけでなく、問題を解決するための具体的な修正手順(コンソールでの操作方法や実行すべきCLIコマンドなど)を提示します。これにより、クラウドの専門知識が豊富でない担当者でも、迅速かつ正確に対応できます。
- 自動修復(Auto Remediation): 「パブリック公開されているS3バケットを自動でプライベートに戻す」といったように、事前に定義したルールに基づき、特定の設定ミスを人の手を介さずに自動で修正します。これにより、セキュリティ運用担当者の負荷を大幅に削減し、ヒューマンエラーの介在を防ぎながら、常に安全な状態を維持することができます。
これらの機能によって、企業はセキュリティインシデントへの対応(インシデントレスポンス)を迅速化し、万が一問題が発生した際の被害を最小限に抑えることが可能となります。
【図解】CSPM・CWPP・CASB・SSPMの違いが一目でわかる

クラウドセキュリティと一言で言っても、その対策は多岐にわたります。CSPMとしばしば比較されるセキュリティソリューションとして、CWPP、CASB、SSPMなどが存在します。これらはそれぞれ保護する対象や目的が異なり、自社の環境や課題に応じて適切なツールを選択、あるいは組み合わせて利用することが不可欠です。この章では、それぞれのソリューションが持つ役割と違いを明確にし、どのような場面でどのツールが有効なのかを分かりやすく解説します。
保護するレイヤーで理解する各ソリューションの役割
各セキュリティソリューションの違いを理解する鍵は、「クラウド環境のどのレイヤー(階層)を保護対象としているか」を把握することです。クラウドサービスは、インフラストラクチャ(IaaS)、プラットフォーム(PaaS)、ソフトウェア(SaaS)といった複数のレイヤーで構成されており、それぞれセキュリティ上の責任範囲が異なります。以下の表で、各ソリューションの主な役割と保護対象を整理しました。
| ソリューション | 正式名称 | 主な保護対象 | 目的 |
|---|---|---|---|
| CSPM | Cloud Security Posture Management | IaaS/PaaSのコントロールプレーン(設定情報) | クラウド環境全体の設定ミスやポリシー違反を検知・修正し、セキュリティ態勢を維持・強化する。 |
| CWPP | Cloud Workload Protection Platform | IaaS/PaaS上のワークロード(仮想マシン、コンテナ、サーバーレスなど) | OS、ミドルウェア、アプリケーションといったワークロード自体を、脆弱性やマルウェアなどの脅威から保護する。 |
| CASB | Cloud Access Security Broker | ユーザーとクラウドサービス間の通信・アクセス | 従業員のクラウドサービス利用を可視化・制御し、シャドーIT対策や情報漏洩対策を行う。 |
| SSPM | SaaS Security Posture Management | SaaSアプリケーションの設定 | SaaSアプリケーションの設定ミスやアクセス権の不備を発見・修正し、SaaS利用におけるセキュリティを確保する。 |
このように、CSPMがクラウド基盤の「設定」という静的な状態を監視するのに対し、CWPPは仮想マシンやコンテナといった実際に「稼働している中身(ワークロード)」を保護します。一方でCASBは、ユーザーとクラウド間の「アクセス経路」に焦点を当て、SSPMはSaaSアプリケーションの「設定」に特化したソリューションであることが分かります。
どのツールをいつ、どのように使い分けるべきか?
それぞれのソリューションの役割を理解した上で、自社の課題に応じて適切に使い分けることが重要です。ここでは、具体的な課題シナリオごとに最適なツールを紹介します。
ケース1:AWSやAzureの管理コンソールの設定ミスによる情報漏洩を防ぎたい
この場合はCSPMが最適です。CSPMは、Amazon S3バケットやAzure Blob Storageの公開設定、IAMロールの過剰な権限付与、セキュリティグループの不適切なポート開放といった、意図しない設定ミスを継続的に監視し、リアルタイムで警告・自動修復します。これにより、ヒューマンエラーによる情報漏洩リスクを大幅に低減できます。
ケース2:クラウド上のサーバーで稼働するアプリケーションの脆弱性を保護したい
この課題にはCWPPが有効です。CWPPは、サーバー(ワークロード)にエージェントを導入するなどして、OSやミドルウェア、アプリケーションの脆弱性をスキャンし、不正なファイルの検知や不審なプロセスの監視を行います。開発段階(シフトレフト)から本番環境まで、ワークロードのライフサイクル全体を保護するのに役立ちます。
ケース3:従業員が許可なく利用している外部クラウドサービス(シャドーIT)を把握・制御したい
この目的にはCASBが適しています。CASBは、社内ネットワークの通信を監視することで、従業員がどのようなクラウドサービスを利用しているかを可視化します。その上で、未許可のサービスへのアクセスをブロックしたり、特定の操作(個人情報を含むファイルのアップロードなど)を禁止したりといった詳細な制御が可能です。
ケース4:Microsoft 365やSalesforceの共有設定が適切か、継続的に監視したい
このシナリオではSSPMの導入を検討すべきです。SSPMは、各SaaSアプリケーションにAPI連携し、管理者が意図しない共有設定や、退職したユーザーアカウントの放置、多要素認証(MFA)が有効になっていないユーザーなどを自動で検出し、セキュリティリスクを可視化・修正します。
重要なのは、これらのツールはどれか一つを選べば万全というわけではなく、多くの場合、複数を組み合わせて利用することで、より強固で多層的なクラウドセキュリティを実現できるという点です。
例えば、CSPMでクラウド基盤の設定を固め、その上で稼働するサーバーをCWPPで保護するといった組み合わせは非常に効果的です。近年では、CSPMとCWPPの機能を統合した「CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)」と呼ばれる包括的なソリューションも登場しています。
各ソリューションのより詳細な活用方法や最新の脅威動向については、定期的に開催されるセキュリティ関連のイベントやセミナーで情報を収集するのも有効です。三和コムテックでも、セキュリティに関する様々な情報発信を行っていますので、ぜひご確認ください。
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自社に最適なCSPM製品を選ぶための5つのチェックリスト

CSPM製品は国内外のベンダーから数多く提供されており、機能や価格もさまざまです。多岐にわたる選択肢の中から、自社の環境や目的に最適な製品を見つけ出すためには、明確な評価基準を持つことが不可欠です。ここでは、CSPM製品を選定する上で特に重要となる5つのチェックリストを、具体的な確認ポイントとともに詳しく解説します。
既存のセキュリティ運用プロセスに統合できるか?
CSPMを新たに導入しても、既存のセキュリティ運用プロセスから孤立してしまっては、かえって運用が複雑化し、セキュリティ担当者の負担を増大させることになりかねません。導入するCSPMが、現在利用している他のセキュリティツールや運用フローとスムーズに連携・統合できるかは、選定における極めて重要なポイントです。
具体的には、以下のようなツールとの連携可否を確認しましょう。
- SIEM/SOAR製品との連携:CSPMが検出したアラートを、普段から利用しているSIEM(Security Information and Event Management)製品に集約できるかを確認します。これにより、他のセキュリティ製品からのアラートと一元的に相関分析が可能となり、インシデントの全体像を素早く把握できます。さらに、SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)と連携できれば、アラートのトリアージや一次対応の自動化も実現し、インシデント対応の迅速化と効率化が図れます。
- チケット管理・インシデント管理システムとの連携:検出された設定ミスや脆弱性を、JiraやRedmine、ServiceNowといったインシデント管理システムに自動で起票できる機能も重要です。手動でのチケット作成の手間を省き、修正担当者への割り当てや対応状況の追跡を効率的に行えるようになります。
- APIの提供:公開されたAPI(Application Programming Interface)が豊富に用意されている製品であれば、自社独自のシステムやツールと柔軟に連携させることが可能です。将来的な拡張性も考慮し、APIの仕様やドキュメントが整備されているかを確認しましょう。
これらの連携機能を活用することで、CSPMを単なる監視ツールとして終わらせるのではなく、組織全体のセキュリティ運用プロセスに組み込み、セキュリティレベルを継続的に向上させる仕組みを構築できます。
レポート機能は監査や経営層への報告に活用できるか?
CSPMの導入目的の一つに、コンプライアンス準拠の証明や、経営層へのセキュリティ状況報告があります。そのため、レポート機能が自社の要件を満たしているかは、実用面で非常に重要な評価項目です。
監査対応で求められるレポート
外部監査や内部監査では、特定のセキュリティ基準やガイドラインへの準拠状況を客観的な証跡として提出する必要があります。選定するCSPMが、自社で準拠すべき各種フレームワークに対応したレポートテンプレートを標準で備えているかを確認しましょう。
| 主要なセキュリティフレームワークの例 | 概要 |
|---|---|
| ISO/IEC 27001 (ISMS) | 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格。多くの日本企業が認証を取得しています。 |
| NIST サイバーセキュリティフレームワーク (CSF) | 米国国立標準技術研究所(NIST)が発行した、重要インフラのセキュリティ対策に関するガイドライン。 |
| CISベンチマーク | Center for Internet Security (CIS) が策定した、OSやクラウドサービスなどのセキュアな設定基準。 |
| PCI DSS | クレジットカード業界のセキュリティ基準。カード情報を扱う事業者は準拠が求められます。 |
これらのフレームワークに沿ったレポートを定期的に自動生成できる機能があれば、監査対応にかかる工数を大幅に削減できます。
経営層向けのレポート
経営層への報告では、専門的な設定項目の羅列ではなく、ビジネスリスクの観点からセキュリティ状況を分かりやすく可視化することが求められます。リスクスコアの推移や、部署・プロジェクトごとのリスク状況比較、重要なリスクのサマリーなどをダッシュボードで直感的に把握できる製品が望ましいでしょう。レポートのカスタマイズ性や、PDFやCSVなど多様な形式でエクスポートできるかも確認すべきポイントです。
セキュリティに関する最新の動向や対策について、より深く学びたい方は、定期的に開催されるセキュリティ関連イベント・セミナー情報をご確認いただくことをお勧めします。専門家による解説は、経営層への説明にも役立つでしょう。
コスト体系は自社の利用規模に適しているか?
CSPMの価格は、製品の機能やベンダーによって大きく異なります。自社の現在の利用規模と将来的な拡大計画を見据え、最もコスト効率の高い製品を選ぶことが重要です。
CSPMの課金モデルは、主に以下の要素に基づいています。
- 監視対象リソース数:監視する仮想マシン、ストレージ、データベースなどの数に応じて課金されるモデル。最も一般的で分かりやすい体系です。
- クラウドアカウント数:監視対象のAWS、Azure、Google Cloudなどのアカウント数に基づく課金モデル。
- 機能ごとのライセンス:基本機能は低価格で提供し、高度な機能(コンプライアンスチェック、CWPP機能など)を追加オプションとして提供するモデル。
製品を比較する際は、単にライセンス費用だけでなく、初期導入費用、年間のサポート費用、トレーニング費用などを含めた総所有コスト(TCO)で評価することが大切です。また、事業の成長に合わせてクラウド利用が拡大した場合に、コストがどのようにスケールするのか、事前に料金シミュレーションを依頼しましょう。スモールスタートが可能で、必要に応じて柔軟にライセンスを追加できる製品は、無駄な投資を抑える上で有効な選択肢となります。
PoC(概念実証)で実際の効果を検証できるか?
製品のカタログスペックやデモンストレーションだけでは、自社の複雑な環境で本当に有効に機能するのか、運用担当者にとって使いやすいのかを正確に判断することは困難です。そこで重要になるのが、本格導入前のPoC(Proof of Concept:概念実証)です。
多くのベンダーは、期間限定のトライアルやPoC支援プログラムを提供しています。PoCを実施する際は、事前に評価目的と成功基準を明確に定義しておくことが成功の鍵です。
PoCで検証すべき主要な項目
- 検出精度と網羅性:既知の設定ミスを正確に検出できるか。自社が利用しているサービスやリソースを網羅的に監視できるか。
- 誤検知・過検知の発生率:対応不要なアラート(誤検知)が多発しないか。運用負荷に直結するため、非常に重要な評価項目です。
- パフォーマンスへの影響:CSPMの監視プロセスが、既存のシステムパフォーマンスに影響を与えないか。
- 操作性(UI/UX):管理画面は直感的で分かりやすいか。アラートの確認やレポート作成などの日常的な操作をスムーズに行えるか。
- サポート品質:PoC期間中に発生した疑問や問題に対して、ベンダーのサポート担当者から迅速かつ的確な回答が得られるか。
PoCを通じてこれらの項目を実際に検証することで、導入後の「こんなはずではなかった」というミスマッチを防ぎ、確信を持って製品を選定することができます。
サードパーティツールとの連携は可能か?
近年のクラウド開発では、DevOpsの考え方を取り入れ、開発から運用までを迅速に連携させるCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインの活用が一般的になっています。このような環境では、セキュリティを開発プロセスの後工程でチェックするのではなく、開発の初期段階からセキュリティを組み込む「シフトレフト」のアプローチが不可欠です。
選定するCSPMが、開発チームが利用するさまざまなサードパーティツールと連携できるかを確認しましょう。
- IaC(Infrastructure as Code)スキャン:TerraformやCloudFormationなどのコードをスキャンし、インフラがデプロイされる前に潜在的な設定ミスを発見できるか。
- コンテナレジストリスキャン:Docker HubやAmazon ECRなどのコンテナイメージをスキャンし、脆弱性や不適切な設定が含まれていないかをチェックできるか。
- コミュニケーションツール連携:検出した重要なアラートを、開発者が利用しているSlackやMicrosoft Teamsにリアルタイムで通知できるか。
これらの連携により、開発者はコードのコミットやビルドといった日常的な開発フローの中でセキュリティリスクを認識し、迅速に修正することが可能になります。これにより、手戻りを減らし、開発スピードを損なうことなくセキュアなクラウド環境を実現できます。
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主要CSPMソリューションの比較と特徴

CSPM製品は国内外の多くのベンダーから提供されており、それぞれに独自の特徴や強みがあります。自社のクラウド環境やセキュリティポリシーに最適なソリューションを選定するためには、各製品の違いを理解することが不可欠です。ここでは、国内で広く利用されている代表的なCSPMソリューションとして「SCT SECURE CSPMサービス」と「Prisma Cloud」を取り上げ、その特徴と導入事例を詳しく解説します。
SCT SECURE CSPMサービスの特徴と導入事例
SCT SECURE CSPM サービスは、スウェーデンのOutpost24社が開発、三和コムテック株式会社が代理店として提供する、クラウド環境のリスク可視化に特化した CSPM ソリューションです。マルチクラウド環境(AWS、Azure、GCP)を横断的に分析し、誤設定・脆弱性・不要な公開リソースといったリスクをリアルタイムで検出します。また、SCT SECURE クラウドスキャン(自動脆弱性診断ツール)と開発元が同じであるため、脆弱性診断と同じポータル画面で運用できる点も大きな特徴です。
SCT SECURE CSPMサービスの主な特徴
- エージェントレスでの導入: 監視対象のサーバーにエージェントをインストールする必要がなく、API連携のみで迅速に利用を開始できます。これにより、既存環境への影響を最小限に抑えながら、導入・運用の手間を大幅に削減することが可能です。
- マルチクラウド対応: AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)といった主要なパブリッククラウドに対応しており、複数のクラウドサービスを単一のダッシュボードで一元的に管理できます。
- プロアクティブなリスク検知: IDS(侵入検知システム)のような攻撃発生後の「リアクティブ」な対応とは異なり、CISベンチマークなどのセキュリティベストプラクティスに基づき、システムの弱点をプロアクティブ(事前)に検知し、修正のための情報を提供します。
- 詳細なレポート機能: 検出されたリスクの内容だけでなく、具体的な修正方法までを日本語のレポートで分かりやすく提示します。これにより、専門知識が豊富なセキュリティ担当者でなくても、迅速かつ的確な対応が可能になります。
SCT SECURE CSPMサービスの導入事例
ある国内製造業では、事業部ごとに異なるパブリッククラウド(AWS, Azure)を導入しており、全社的なセキュリティガバナンスの欠如が課題でした。各クラウド環境の設定が標準化されておらず、セキュリティレベルにばらつきが生じていたのです。SCT SECURE CSPMサービスを導入した結果、すべてのクラウドアカウントの設定状況を横断的に可視化。CISベンチマークに準拠していない設定ミスを自動で検出し、修正を促すことで、統一されたセキュリティポリシーの適用と、セキュリティ担当者の運用負荷軽減を同時に実現しました。
セキュリティ対策に関する用語で不明な点があれば、「分かりやすいセキュリティ用語集」も併せてご活用ください。専門用語の解説が、より深い理解の助けとなります。
Prisma Cloudの特徴と導入事例
Prisma Cloudは、サイバーセキュリティの世界的リーダーであるパロアルトネットワークス社が提供する、包括的なクラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム(CNAPP)です。CSPM機能に加え、CWPP(Cloud Workload Protection Platform)やCIEM(Cloud Infrastructure Entitlement Management)などの機能を統合し、コード開発から本番環境に至るまで、アプリケーションのライフサイクル全体を保護します。
Prisma Cloudの主な特徴
- 幅広いクラウド環境への対応: AWS, Azure, GCPに加え、Alibaba Cloud, Oracle Cloud Infrastructure (OCI) など、非常に多くのパブリッククラウドに対応しています。これにより、グローバルに展開する企業や、多様なクラウドサービスを利用する複雑な環境でも、一貫したセキュリティ管理を実現できます。
- DevSecOpsの実現を支援: 開発ライフサイクルの早期段階(コード&ビルド)からセキュリティを組み込む「シフトレフト」のアプローチを強力に支援します。IaC(Infrastructure as Code)スキャンやコンテナイメージの脆弱性スキャン機能により、本番環境にデプロイされる前にリスクを特定・修正することが可能です。
- 高度なコンプライアンス対応: GDPR, NIST, PCI DSSなど、業界や地域ごとの主要なコンプライアンス基準に基づく数百種類のセキュリティポリシーが標準で用意されており、準拠状況を継続的に監視・レポートできます。
- 日本国内でのホスティング: 日本国内にホスティング拠点を設けており、国内のデータを国外に持ち出すことなくサービスを利用したいという企業のニーズにも応えています。
Prisma Cloudの導入事例
大手金融機関である株式会社みんなの銀行様では、業界に先駆けてフルクラウドのバンキングシステムを構築するにあたり、そのセキュリティ確保のためにPrisma Cloudを導入しました。開発のスピードを損なうことなく、コンテナ環境を含むワークロードの脆弱性管理と、クラウドインフラの設定ミス防止を両立。アプリケーションのライフサイクル全体にわたる包括的な保護を実現し、安全で革新的な金融サービスの提供を支えています。また、三井不動産株式会社様でも、DX推進に伴うクラウド利用の拡大に対し、Prisma Cloudを導入してセキュリティ対策を強化。導入の容易さと、複数システムにまたがるセキュリティ状況の一元的な可視化を実現しています。
SCT SECURE CSPMサービスとPrisma Cloudの比較表
どちらのソリューションが自社に適しているかを判断するために、以下の比較表をご活用ください。
| 比較項目 | SCT SECURE CSPMサービス | Prisma Cloud |
|---|---|---|
| 提供元 | 三和コムテック株式会社 | パロアルトネットワークス株式会社 |
| 対応クラウド | AWS, Azure, GCP | AWS, Azure, GCP, Alibaba Cloud, OCIなど多数 |
| 主な特徴 |
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| 特に適した企業 |
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よくある質問(FAQ)
CSPMとは一言で言うと何ですか?
CSPM(Cloud Security Posture Management)とは、クラウド環境(AWS, Azure, GCPなど)のセキュリティ設定を継続的に監視し、設定ミスやポリシー違反を自動で検知・修正するためのソリューションです。「クラウド設定の健康診断ツール」と考えると分かりやすいでしょう。
CSPMとCWPPの主な違いは何ですか?
保護する対象が異なります。CSPMは、VPCやストレージ、ID管理といった「クラウド基盤(IaaS/PaaS)の設定」を保護します。一方、CWPP(Cloud Workload Protection Platform)は、クラウド上で稼働するサーバーやコンテナなどの「ワークロード(実データやアプリケーション)」をマルウェアなどから保護します。両者は連携して利用することで、より強固なクラウドセキュリティを実現します。
CSPMはどのような企業に必要ですか?
クラウドサービスを利用しているすべての企業に推奨されますが、特に複数のクラウドサービス(マルチクラウド)を利用している企業、多数の開発者がクラウド環境にアクセスする企業、GDPRやPCI DSSといった厳格なコンプライアンス要件への準拠が求められる企業にとっては、その必要性が非常に高いと言えます。
CSPMを導入すれば、クラウドのセキュリティは万全になりますか?
いいえ、CSPMだけでは万全とは言えません。CSPMは設定ミスに起因するリスクを大幅に低減しますが、アプリケーションの脆弱性やマルウェア感染、不正アクセスなど、他の脅威に対応するためには、CWPPやCASBといった他のセキュリティソリューションとの組み合わせが不可欠です。
CSPMの導入にかかるコストはどれくらいですか?
コストは、監視対象となるクラウドアカウントの数やリソース量、利用する機能、サポート体制などによって大きく変動します。多くの製品では、利用規模に応じたサブスクリプションモデルを採用しています。正確な費用については、各ベンダーや代理店に見積もりを依頼することをおすすめします。
まとめ
本記事では、クラウド利用の拡大に伴い重要性を増しているCSPMについて、その必要性から主要機能、関連ソリューションとの違い、製品選定のポイントまでを網羅的に解説しました。
クラウド利用における設定ミスは、もはや見過ごせない重大なセキュリティリスクであり、たった一つの設定不備が大規模な情報漏洩につながる可能性があります。手動でのチェックには限界があり、特にマルチクラウド環境では管理が複雑化する一方です。このような課題を解決し、クラウド環境のセキュリティとコンプライアンスを維持するために、CSPMは不可欠なソリューションとなっています。
CSPMを導入することで、セキュリティ設定の不備をリアルタイムに可視化し、国内外の規制や基準への準拠を効率化、そしてインシデント対応の迅速化を実現できます。自社の環境に最適なCSPM製品を選び、安全で統制の取れたクラウド活用を推進しましょう。
どのCSPM製品が自社に適しているか分からない、あるいは自社のクラウドセキュリティ全体について相談したいという場合は、お気軽にお問い合わせください。専門のコンサルタントが貴社の課題解決をサポートします。
より詳細な情報を集めたい方は、以下の資料や情報もぜひご活用ください。
セキュリティソリューションプロダクトマネージャー OEMメーカーの海外営業として10年間勤務の後、2001年三和コムテックに入社。
新規事業(WEBセキュリティ ビジネス)のきっかけとなる、自動脆弱性診断サービスを立ち上げ(2004年)から一環して、営業・企画面にて参画。 2009年に他の3社と中心になり、たち上げたJCDSC(日本カードセキュリティ協議会 / 会員企業422社)にて運営委員(現在,運営委員長)として活動。PCIDSSや非保持に関するソリューションやベンダー、また関連の審査やコンサル、などの情報に明るく、要件に応じて、弊社コンサルティングサービスにも参加。2021年4月より、業界誌(月刊消費者信用)にてコラム「セキュリティ考現学」を寄稿中。
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