XSS、Cookie設定の脆弱性を利用した攻撃手法

 2023.05.08  岡山 大

ドローン管理システムの複数の脆弱性を利用してユーザー情報の窃取が可能でした。セキュリティベンダーCheck Point社のレポートが公開されています。XSSやCookie設定の不備といった脆弱性がどのように利用され得るか、具体的に解説しています。

DJI Drone Vulnerability Research by: Oded Vanun, Dikla Barda and Roman Zaikin
https://research.checkpoint.com/dji-drone-vulnerability/

ドローンメーカーのDJI社のウェブアプリケーションから、他人のユーザーアカウントを乗っ取り、フライトレコード、位置情報、ビデオカメラのフィード、写真などの機微情報を取得可能でした。

アカウント乗っ取りのプロセスは、DJIのウェブサイトに存在するユーザー向けフォーラムから始まります。フォーラムにはXSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃を許す脆弱性があり、さらにCookieにhttponly属性とsecure属性が付与されていませんでした。これにより、フォーラム攻撃用のJavascriptを挿入し、そのスクリプトでログインCookieを盗むことが可能になっていました。
攻撃用のペイロードを仕込んだリンクをフォーラムに投稿し、ユーザーがリンクにアクセスすると、ログイン情報がハッカーに渡ります。

ウェブアプリケーションの脆弱性に加え、DJIのモバイルアプリにはSSLピンニングをバイパスできる脆弱性が存在し、中間者攻撃が可能でした。

一度ログインCookieを入手してしまえば、DJIのウェブアカウント、モバイルアプリケーション、管理プラットフォームのアカウントを乗っ取ることが可能でした。

Check Point社のリサーチチームは、この脆弱性を「高リスクではあるものの、悪用される可能性は低い」としています。ユーザーがアカウントにログインした状態で特定のリンクをクリックしなければ攻撃が成功しないためです。

SCT Security Solution Book

この記事の執筆・監修者
岡山 大
三和コムテック株式会社
セキュリティソリューションプロダクトマネージャー
OEMメーカーの海外営業として10年間勤務の後、2001年三和コムテックに入社。
新規事業(WEBセキュリティ ビジネス)のきっかけとなる、自動脆弱性診断サービスを立ち上げ(2004年)から一環して、営業・企画面にて参画。 2009年に他の3社と中心になり、たち上げたJCDSC(日本カードセキュリティ協議会 / 会員企業422社)にて運営委員(現在,運営委員長)として活動。PCIDSSや非保持に関するソリューションやベンダー、また関連の審査やコンサル、などの情報に明るく、要件に応じて、弊社コンサルティングサービスにも参加。2021年4月より、業界誌(月刊消費者信用)にてコラム「セキュリティ考現学」を寄稿中。

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