【徹底解説】脆弱性診断の重要性とその手法、
ペネトレーションテストとの違い

 2024.07.25  三和コムテック

脆弱性診断は、情報システムの安全性を確保するために必要なプロセスです。サイバー攻撃が増加する現代において、企業は自社のシステムが持つ潜在的な脆弱性を把握し、適切な対策を講じる必要があります。

本記事では、脆弱性診断の重要性、その具体的な手法、そしてペネトレーションテストとの違いについて詳しく解説し、企業が情報セキュリティを強化するための実践的な知識を提供します。

脆弱性診断とは何か?

【徹底解説】脆弱性診断の重要性とその手法、ペネトレーションテストとの違い 1

脆弱性診断は、情報システム(ネットワーク、サーバー、Webアプリケーションなど)に存在する脆弱性と呼ばれる「セキュリティ上の欠陥」を見つけ出し、そのリスクや影響度を評価する一連のプロセスです。

近年、サイバー攻撃は巧妙化しており、従来のセキュリティ対策だけでは十分に対処できなくなっています。脆弱性診断はこうした状況下で、情報システムのセキュリティを積極的に向上させるための重要な手段の1つです。

そもそも「脆弱性」とは

脆弱性とは、システムの設計や実装のミス、設定ミスなどによって生じるセキュリティ上の弱点です。例えば、未更新のソフトウェアや不適切なアクセス権設定などが脆弱性として挙げられます。

これらの脆弱性は、攻撃者がシステムに侵入したり、データを盗んだりするための入口となり、情報漏えい、システムダウン、不正アクセスなど、さまざまな被害につながる可能性があります。

脆弱性診断はこうした被害を防ぐために、事前に脆弱性を発見し、対策を講じることを目的としています。

ペネトレーションテストと脆弱性診断は「調査目的」が違う

ペネトレーションテストと脆弱性診断は、いずれもセキュリティ評価の手法ですが、その調査目的には違いがあります。

  • ペネトレーションテスト:実際の攻撃シナリオをシミュレーションして、システムの防御力を評価するもの
  • 脆弱性診断:システムやネットワークに存在する潜在的な脆弱性を広範囲にわたって洗い出すことが目的

つまり、ペネトレーションテストは攻撃者の視点からシステムの防御性能を評価するのに対し、脆弱性診断は内部の弱点を体系的に特定し、修正を促すことに重点を置いています。

脆弱性診断が重要な理由

システムやアプリに脆弱性があると以下のような被害にあう確率が高くなります。

  • 顧客情報やクレジットカード情報などの個人情報の漏えい
  • 社内の機密情報や営業秘密の漏えい
  • システムのダウンや改ざんによる業務停止
  • 不正アクセスによる金銭被害

これらの被害を未然に防いだり、被害を最小限に抑えたりすることが脆弱性診断の重要な役割です。

また、診断結果はセキュリティポリシーの見直しや改善に役立ち、組織全体のセキュリティ意識を高めることにもつながります。結果として、情報漏えいや不正アクセスなどのセキュリティインシデントを未然に防げます。

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脆弱性診断の種類とそれぞれの特徴

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脆弱性診断には、対象とするシステムや環境に応じたさまざまな種類があり、各診断方法には、特定の特徴と目的があります。ここからは、主な脆弱性診断の種類とその特徴を紹介していきます。

Webアプリケーション診断

Webアプリケーション診断は、WebサイトやWebアプリケーションにひそむ脆弱性を特定し、評価するプロセスです。この診断では、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、なりすましなどの一般的な攻撃を含む多様な脆弱性を検出します。

特に、Webアプリケーションはインターネットに公開されているため、外部からの攻撃に対して非常に脆弱です。定期的な診断を行うことで、これらの脆弱性を早期に発見し、対策を講じることが重要です。診断結果は開発者にフィードバックされ、セキュリティ対策の改善に役立てられます。

スマートフォンアプリケーション診断

スマートフォンアプリケーション診断は、iOSやAndroidなどのモバイルプラットフォームで動作するアプリケーションのセキュリティ脆弱性を評価するプロセスです。この診断では、アプリケーションのコード、データの処理・保存、通信プロトコルの脆弱性などを特定します。

例えば、不適切なデータ暗号化や認証の欠如、セキュリティ設定のミスなどが対象です。スマートフォンは個人情報や機密データを多く扱うため、アプリケーションの脆弱性が深刻なセキュリティリスクを引き起こす可能性があります。したがって、開発段階からセキュリティ診断を実施し、リリース前に問題を解決することが不可欠です。

プラットフォーム診断

プラットフォーム診断は、オペレーティングシステム(OS)やサーバ、データベースなどの基盤システムの脆弱性を評価するプロセスです。具体的には、Windows、Linux、Unixなどの一般的なOSや、Apache、Nginx、IISなどのWebサーバ、MySQL、PostgreSQLなどのデータベースサーバが診断対象となります。

この診断では、パッチ未適用のソフトウェア、設定ミス、不要なサービスの有効化など、システムの脆弱性を検出します。プラットフォームのセキュリティは、全体のシステムセキュリティに直結するため、定期的な診断と適切な対策が求められます。

その他の脆弱性診断

その他の脆弱性診断には、ネットワーク診断やクラウド診断、IoTデバイスの診断などが含まれます。ネットワーク診断は、企業の内部ネットワークやインターネット接続のセキュリティを評価し、不正アクセスやデータ漏えいのリスクを低減します。

クラウド診断は、AWSやAzure、Google Cloudなどのクラウド環境におけるセキュリティ評価を行います。IoTデバイス診断は、スマートデバイスやセンサーなどのセキュリティをチェックし、物理的なセキュリティリスクを特定します。これらの診断は、現代の多様なIT環境に対応するために不可欠です。

脆弱性診断の2つの手法と費用相場

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脆弱性診断には、主にセキュリティエンジニアが手動で行う手法と、ツールを使用して自動で行う手法の2つがあります。この2つの手法の概要と費用相場を解説します。

セキュリティエンジニアが手動で行う

手動の脆弱性診断は、セキュリティエンジニアが直接システムを調査し、潜在的な脆弱性を見つけ出す手法です。エンジニアが手動のペネトレーションテストなどを実施し、細かい部分まで、システムのセキュリティレベルを評価します。

手動診断のメリットは、専門家の直感と経験にもとづいた細かな分析が可能な点です。特に、ツールでは見落としがちなビジネスロジックの脆弱性や新たな攻撃手法にも対応できます。

費用については、エンジニアのスキルや診断の範囲によって異なりますが、数十万円から数百万円と高額になることが一般的です。高額となる理由は、専門的な知識と高度な技術が必要とされるためです。

ツールを使って自動で行う

ツールを使用した自動脆弱性診断は、専用のソフトウェアやプラットフォームを用いてシステムをスキャンし、脆弱性を特定する手法です。自動診断ツールは、設定に従ってシステムの各部分を迅速にチェックし、既知の脆弱性をリストアップします。

この手法のメリットは、時間と労力を大幅に削減できる点にあります。また、自動ツールは定期的なスキャンが容易であり、継続的なセキュリティ管理に適しています。

費用については、ツールのライセンス費用やサービス利用料として数万円から数十万円程度が一般的です。ただし、手動診断に比べて費用は抑えられるものの、ツールの精度やカバー範囲には限界があるため、重要なシステムには手動診断との併用が推奨されます。

脆弱性診断の流れ・進め方

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手動での診断、ツールを使用しての診断、どちらの手法でも基本的には以下の3ステップで診断を実施します。

  1. 事前準備
  2. 診断の実施
  3. 診断結果のレポートを確認して対策を行う

この3ステップについて、それぞれ詳しく解説します。脆弱性診断を実施する頻度についてもあわせて解説します。

事前準備

まず、診断対象のシステム、ネットワークの範囲を明確にすることが重要です。そのために、対象のIPアドレスやホスト名、システム構成図などシステムに関わる資料を集めましょう。

次に、使用する診断ツールや手法を選定します。「細かく診断をしたいからエンジニアに手動で行ってもらう」、「費用を抑えたいからツールの導入をする」など、目的によって手法を使い分けましょう。

さらに、診断実施に必要な権限やアクセス権を確保することも重要です。事前にこれらの準備を行うことで、診断の効率性と効果性が大幅に向上し、正確な結果を得られます。

脆弱性診断の実施

事前準備が完了してから、実際に脆弱性診断を行います。ツールを使う場合は、選定したツールを用いてスキャンを開始し、システムやネットワークの脆弱性を検出します。この際、実施するべき社内のシステムやアプリの全てを網羅して診断できるように設定を行いましょう。

手動で行う場合は、1つずつ細かくチェックするため、コストだけでなく診断にかかる時間も増大します。一時的にシステムが停止する可能性があることも考慮しておきましょう。

診断結果レポートを確認

脆弱性診断を行って終了ではありません。診断結果をもとにしたセキュリティ向上が真の目的です。脆弱性診断実施後は、診断結果のレポートを細かくチェックし、発見された脆弱性の詳細、影響度評価、および推奨される対策を確認しましょう。

具体的な流れとして、まず、レポート全体を通して重要な脆弱性に注目します。次に行うのは、各脆弱性についてその原因や影響範囲を理解した上での適切な対策の検討です。必要に応じて、技術担当者やセキュリティ専門家と協議し、最適な対応策を決定します。最終的に、レポートにもとづいて修正作業を計画し実施します。

これにより、システムのセキュリティレベルが向上し、将来のリスクを低減できます。

脆弱性診断の実施頻度について

システムのセキュリティ維持のために、脆弱性診断を定期的に行うことが推奨されます。

例えば、四半期ごとや半年ごとに実施することで、新たに発生する脆弱性に迅速に対応できます。また、システムの大幅な変更や新しいソフトウェアの導入時にも診断を行うことが望ましいです。

さらに、業界標準や法的規制、社内規則に従った診断頻度の設定も重要です。適切な診断頻度であれば、潜在的な脅威を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。これにより、システムの安全性が向上するでしょう。

脆弱性診断ツール・サービスを選ぶ際のポイント

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適切な脆弱性診断ツール・診断が可能なサービスなどを選ぶことは、システムのセキュリティを確保するために非常に重要です。

最後に、効果的な脆弱性診断を実施するための、最適なツールやサービスの選定方法を解説します。

診断したい対象が含まれているか

脆弱性診断ツール・サービスを選ぶ際に、まず確認すべきことは診断したい対象が含まれているかどうかです。企業のシステムやネットワークは多岐にわたるため、選定するツールやサービスが自社の環境に対応しているかを確認することが不可欠です。

例えば、Webアプリケーション、ネットワークインフラ、クラウドサービスなど、それぞれに特化した診断が必要な場合があります。適切なツールを選ぶことで、全体のセキュリティリスクを網羅的に評価でき、抜け漏れのない診断を実施できます。

自社で重視している項目に対応してもらえるか

次に、自社が特に重視している項目や、過去に問題が発生した領域について、詳細な診断が可能かを確認します。脆弱性診断にはさまざまな検査項目がありますが、特に調べたい項目やシステムの性質上、この診断は必須というものがあれば、対応しているツールを選ばなければなりません。

例えば、SQLインジェクションやなしすましなど、特定の脆弱性に対する深堀りが求められる場合があります。選定するツールやサービスがこれらのニーズに対応できるかどうかを事前に確認することで、効果的な診断を実施し、セキュリティリスクを低減できます。

どれくらいの費用がかかるか

脆弱性診断ツールやサービスを選ぶ際には、費用も重要な要素です。料金体系は、機能や診断範囲、提供されるサポート内容によって異なります。まず、自社の予算を確認し、その範囲内で最適なツールやサービスを選定することが必要です。

ただし、単なるコスト削減を目的とするのではなく、必要な機能やサポートの確保を優先すべきです。コストパフォーマンスの高いツールやサービスを選ぶことで、効果的な脆弱性診断を行いながら、コストの適正化を図ることが可能となります。

どんなアフターフォローがあるのか

最後に、選定したツールやサービスがどのようなアフターフォローを提供しているかを確認することが重要です。脆弱性診断の結果を踏まえて、適切な対応策を講じるためには、専門的なサポートが必要となることがあります。

例えば、診断結果の詳細な説明や、修正方法に関するアドバイス、さらには再診断のサービスなどが含まれます。充実したアフターフォローにより、脆弱性の修正作業が円滑に進み、システムのセキュリティを迅速に向上させることができます。

SCT SECUREで定期的なリスク管理を

三和コムテックでは、最新のツールと専門知識を駆使したクラウド型の脆弱性診断サービスSCT SECUREを展開しています。

SCT SECUREは、Webサイトやネットワーク機器の脆弱性を外部から毎日診断し、潜在的なリスクを特定して修正に必要な情報を提供するサービスです。プラットフォーム診断やWebアプリケーション診断など、さまざまな診断に対応しており、診断結果は対策方法やソリューションを含む詳細なレポートとして提供します。

このセキュリティサービスの導入により、定期的なリスク管理が可能であり、インターネットの安全性を確保できます。

https://product.sct.co.jp/product/security/cloud-scan

まとめ

脆弱性診断は、情報システムのセキュリティ確保のために不可欠なプロセスです。定期的な脆弱性診断を行うことで、潜在的な脆弱性を早期に発見し、適切な対策を講じることが可能になります。これにより、情報漏えいやサイバー攻撃のリスクを大幅に軽減できます。

三和コムテックのSCT SECUREを活用することで、システムの脆弱性を徹底的に洗い出し、安全性を高めるための具体的なアクションプランを提案します。情報セキュリティ対策を強化したい企業は、ぜひ1度ご相談ください。

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