PCI DSS v4.0: 主要な変更例と合格のためのヒント

 2023.12.04  三和コムテック

PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)は、クレジットカード情報のセキュリティに関する業界標準です。 2022年に発表されたPCI DSS v4.0では、セキュリティの向上と新しい要件が導入されました。 本ブログでは、PCI DSS v4.0の主要な変更点の例と合格するための実用的なヒントを説明します。

Smiling woman at cash register paying with credit card in supermarket

主要な変更例

PCI DSS v4.0では、以前のバージョンと比べていくつかの重要な変更があります。以下はそのいくつかの例となります。

1. フレキシブルな要件

PCI DSS v4.0では、要件がより柔軟になり組織のニーズに合わせて対応ができるようになりました。セキュリティの実現方法についての柔軟性が増し、コンプライアンスを確保しやすくなります。

特定のテクノロジーやプロセスへの縛りを減らし、組織がセキュリティを達成するために適切な方法を選択できるようにしました。これにより、多くの種類のビジネスに合わせて適用でき、セキュリティの向上が促進されます。柔軟性のある要件に適合するためには、組織内で新しい方針や手順を検討し、変更を実施する必要があります。

ただ、特に日本の組織では、まずは既存ベースでの移行を検討されている組織が多くなる印象です。今後事例が増えていくことでより理解が深まっていくと想定されます。

2. 強化された認証

PCI DSS v4.0では、認証要件が強化され、多要素認証(MFA)の使用が推奨されます。これはアカウントの不正使用からの保護を向上させます。

MFAは、パスワードだけでなく、追加の認証要素(例:SMSコード、生体認証など)を必要とする方法です。これにより、アカウントへの不正アクセスが難しくなり、セキュリティが向上します。MFAの導入は、新しいバージョンに合格するために必要な一歩です。

組織によるかと思いますが実装・展開していくにはそれなりの時間が必要とされることが想定されます。新項目対応の中でも特に早目の検討開始をお勧めいたします。

3. サードパーティのサプライヤ管理

PCI DSS v4.0では、サードパーティのサプライヤに対する管理要件が強化されました。組織はサプライヤとの関係をより詳細に監視する必要があります。

サプライヤがクレジットカード情報にアクセスする場合、そのセキュリティも重要です。組織は、サプライヤに対する評価と監査を実施し、サプライヤとの契約にセキュリティ要件を明示する必要があります。サードパーティのサプライヤ管理を強化することで、セキュリティの全体的な信頼性が向上し、リスクが軽減されます。

合格のためのヒント

PCI DSS v4.0に合格するために、繰り返しも多くなりますが以下のヒントと戦略を考慮してください。

1. 早めの準備

PCI DSS v4.0に適合するためには、要件の変更に迅速に対応する必要があります。早めの準備を行い、変更点を理解し、組織内の適切なプロセスやポリシーを変更することで、合格のスムーズな道のりを確保できます。変更点を逃さずに実装することが重要です。

2. サードパーティのサプライヤ評価

サードパーティのサプライヤに対する評価を強化し、セキュリティリスクを最小限に抑えるための対策を講じましょう。

サードパーティのサプライヤがクレジットカード情報にアクセスする場合、関連するセキュリティ管理は組織の信頼性に影響を与えます。サプライヤのセキュリティポリシーや実施状況を評価し、監査を行うことで、リスクを最小限に抑え、セキュリティの強化に貢献できます。

3. MFAの導入

多要素認証(MFA)を導入し、アカウントのセキュリティを向上させましょう。

MFAは、アカウントへの不正アクセスを防ぐために非常に効果的な方法です。複数の認証要素を必要とすることで、セキュリティが向上し、不正アクセスが難しくなります。組織内のシステムやアプリケーションにMFAを導入することで、データの保護とセキュリティを向上させましょう。

PCI DSS v4.0に合格することは、クレジットカード情報のセキュリティを強化し、信頼を築く重要なステップです。新しい要件を理解し、適切な対策を講じることで、コンプライアンスを確保しましょう。

詳細情報や具体的な要件については、PCI Security Standards Councilの公式ウェブサイトをご確認ください。

また、弊社ではPCI DSS準拠に必要になるセキュリティ診断、ペネトレーションテストなどを提供しています。詳細はこちらをご覧ください。

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