「AIの話題はもう聞き飽きた」「うちはRPGとCOBOLの世界だから関係ない」——IBM iの現場でそう感じている方は少なくないはずです。しかし2026年に入り、IBM自身がIBM iとAIを本格的に結びつける方針を明確に打ち出し始めました。これまで「自分ごと」になりにくかったAIの波が、IBM iユーザーにも確実に近づいています。本記事では、専門用語をできるだけ避けながら、2026年にIBM iユーザーが最低限知っておきたい「AIの3つの波」と、今日から始められる実践のヒントを整理します。
対象読者
- IBM i(AS/400)の運用・開発担当者
- 社内システムとAIの連携を模索しているIT部門の方
課題
- IBM i環境でAIをどう活用できるかイメージが湧かない
- AI時代におけるIBM i資産の将来性に不安がある
この記事で分かること
- 2026年がIBM iとAIの転換点と言われる理由と結論
- IBM Bob など、IBM i開発における最新のAI支援技術
- IBM i担当者が今すぐ取り組むべき3つの具体的なアクション
本記事を通じて、IBM iが持つ豊富なデータをAIの「燃料タンク」として最大限に活かし、次世代のビジネス価値を創出するための第一歩を踏み出しましょう。
IBM i AI とは?2026年が転換点と言われる理由

IBM i AIとは?2026年が転換点と言われる理由について、まずは全体像をわかりやすく解説します。IBM iとAI(人工知能)の組み合わせは、長年にわたり企業の基幹業務を支えてきた堅牢なシステムに、最新のデータ解析や生成AIの能力を付加する取り組みです。2026年は、この融合が単なる概念から実用段階へと移行する重要な時期となっています。
これまでIBM i× AIが「自分ごと」になりにくかった背景
これまでIBM i× AIが「自分ごと」になりにくかった背景には、システムに対する役割認識の違いが存在します。多くの企業において、IBM iはミッションクリティカルな基幹システムとして安定稼働が最優先されてきました。そのため、新しい技術であるAI(人工知能)を直接連携させることはリスクと捉えられがちであり、現場のユーザーにとって身近なテーマとして認識されにくかったのが理由です。
また、AI(人工知能)を活用するためには、膨大なデータを適切に抽出し、学習可能な形式に整える必要があります。しかし、IBM i内に蓄積された貴重な業務データを外部のAIシステムへ連携する手法が複雑であったことも、導入のハードルとなっていました。以下の表から、従来と現在の状況の違いがわかります。
| 比較項目 | 従来のIBM i環境 | 2026年以降のIBM i環境 |
|---|---|---|
| AI(人工知能)との関係性 | 独立した基幹システムとして稼働 | AIシステムとシームレスに連携 |
| データ活用の難易度 | 外部連携の手間が大きく複雑 | APIなどを通じて容易にデータ抽出可能 |
| ユーザーの認識 | 安定性重視で最新技術は後回し | ビジネス価値を創出する中核基盤として再評価 |
このように、技術的な障壁や心理的なハードルが重なり、多くの企業でIBM iとAI(人工知能)の融合が進んでいませんでした。しかし、総務省が毎年公開している情報通信白書などの公的データからも、企業におけるAI(人工知能)の導入が急速に進展していることが確認できます。基幹システムのデータを活用しないままでは、市場での競争力を維持することが難しくなっています。
IBM自身がAI戦略を明確化
日本アイ・ビー・エム株式会社は、ハイブリッドクラウドとAI(人工知能)を中核に据えた戦略を強力に推進しています。その中で、IBM iは単なるレガシーシステムではなく、AI(人工知能)を駆動するための重要なデータソースとして位置づけられています。
2026年に開催されるIBM i World 2026などのイベントでは、IBM i上で直接AI(人工知能)モデルを活用する手法や、外部の生成AIサービスと安全に連携するアーキテクチャが多数提示されています。これにより、ユーザーは既存の資産を活かしながら、最新のAI(人工知能)機能を業務に組み込むことができます。
日本アイ・ビー・エム株式会社が提供する最新のツール群を活用することで、IBM iのデータを安全かつ効率的にAI(人工知能)の学習や推論に利用できます。これは、IBM iユーザーにとって、AI(人工知能)がもはや遠い未来の技術ではなく、今日の業務課題を解決するための現実的な選択肢となっていることを意味します。
IBM iユーザーが知っておくべき「AIの3つの波」とは

IBM iユーザーが知っておくべき「AIの3つの波」とは、基幹システムと最新技術が融合する過程で訪れる重要な変化のことです。AI(人工知能)技術の進化は非常に早く、日本アイ・ビー・エム株式会社が提供するIBM iの環境にも大きな影響を与えています。これからの時代を生き抜くためには、システム担当者がこの変化の波を正確に把握し、自社の環境にどう適用できるかを検討することが求められています。これらの波を理解して適切に対応することで、既存のシステム資産を最大限に活用できます。
| 波の段階 | キーワード | もたらす変化とメリット |
|---|---|---|
| 第1の波 | IBM Bob | 開発や保守の作業をAIが支援し、属人化の解消や生産性の向上を実現できます。 |
| 第2の波 | エージェント型AI | システムが自律的に判断して外部と連携し、業務プロセスの自動化を推進できます。 |
| 第3の波 | データ活用の再評価 | 蓄積された業務データをAIの学習や推論に利用し、新たなビジネス価値を創出できます。 |
波①IBM Bob|IBM i開発にAI支援が本格到来
長年運用されてきたシステムでは、RPGなどの言語で書かれたプログラムの保守が課題となることが少なくありません。そこで注目されているのが、AIを活用した開発支援ツールです。IBM Bobと呼ばれるAIアシスタントを活用することで、複雑なコードの解析やドキュメントの自動生成を効率的に実行できます。
この技術を導入することで、熟練の技術者が持つノウハウを若手エンジニアにわかりやすく共有できます。また、プログラムの改修にかかる時間を大幅に短縮できるだけでなく、人為的なミスの削減も期待できます。レガシーコードのブラックボックス化を防ぎ、将来に向けたシステムの近代化を安全に進めることができます。
波②エージェント型AI|IBM iが「AIと連携する」時代へ
これまでのAIは、人間が入力した指示に対して回答を返す受動的な使われ方が主流でした。しかし、現在ではAI自身が状況を判断して自律的にタスクを実行する、エージェント型AIの技術が発展しています。IBM iをこのエージェント型AIと連携させることで、日常的な運用業務や監視作業を高度に自動化できます。
たとえば、システムのエラー検知から初期対応までのプロセスをAIに任せることができます。これにより、担当者はさらに創造的な業務に専念できるため、組織全体の生産性を向上できます。総務省の情報通信白書から取得できるデータでも、AIの導入が企業の業務効率化に大きく貢献できることが示されています。IBM iは単なる記録のシステムから、AIと協調して能動的に動くシステムへと進化できます。
波③データ活用の再評価|IBM iは「AIの燃料タンク」になる
AIが精度の高い予測や分析を行うためには、大量かつ高品質なデータが不可欠です。多くの企業において、IBM iには数十年にわたって蓄積された販売データや在庫データなどの貴重な情報が眠っています。これらのデータをAIに供給することで、システム自体が強力な燃料タンクとして機能できます。
蓄積されたデータを最新のAIモデルと組み合わせることで、需要予測の精度向上や顧客の購買傾向の分析などを実現できます。基幹システムに眠るデータを単なる過去の記録として終わらせず、未来のビジネスを創り出すための資産として活用できます。他システムからデータを移行する手間が省けるだけでなく、リアルタイムな情報を直接AIに連携できるため、迅速な経営判断を支援できます。
IBM iは「AIに奪われる側」ではなく「AIを動かす基盤」

IBM iは「AIに奪われる側」ではなく「AIを動かす基盤」として、これからのビジネス環境で新たな価値を創出できます。近年、AI(人工知能)の進化によって既存のシステムや業務が代替されるのではないかという懸念を抱くユーザーも少なくありません。しかし、AI(人工知能)は単独で機能するわけではなく、学習や推論のための正確なデータとそれを支える安定した環境から大きな恩恵を受けることができます。基幹システムとして長年企業を支えてきたIBM iは、AI(人工知能)の能力を最大限に引き出すための理想的な土台として機能できます。
AIが力を発揮するために必要な「信頼できる基盤」とは
AIが力を発揮するために必要な「信頼できる基盤」とは、高品質なデータと強固なセキュリティ環境を兼ね備えたシステム基盤のことです。AI(人工知能)が正確な判断を下すためには、ノイズのない正確な業務データが欠かせません。総務省が毎年公開している情報通信白書から読み取れるように、デジタルデータの活用は企業競争力の源泉となっており、データの信頼性がAI(人工知能)の出力品質を直接的に左右する選択肢となっているのが理由です。
IBM iは、高度なセキュリティ機能と可用性を備えており、企業の最も重要なデータを安全に保管できます。AI(人工知能)に対して安全かつ正確なデータを供給する役割を担うことで、AI(人工知能)の誤答を防ぎ、業務に直結する精度の高い出力を得ることができます。以下の表は、AI(人工知能)を業務活用する際に求められる要件と、IBM iが提供できる価値を整理したものです。
| AI(人工知能)が求める要件 | IBM iが提供できる価値 |
|---|---|
| 正確で一貫性のあるデータ | リレーショナルデータベースによるデータの統合管理と高い整合性を維持できます。 |
| データの機密性と安全性 | オブジェクトベースのアーキテクチャによる堅牢なセキュリティ環境を提供できます。 |
| 安定したシステム稼働 | ハードウェアとOSの統合による極めて高い可用性と耐障害性を実現できます。 |
IBM i資産をAI時代にどう活かすか
IBM i資産をAI時代にどう活かすかという視点において、これまで蓄積してきた膨大な業務データが大きな強みとなります。販売履歴や在庫情報や顧客の購買傾向など、IBM iの内部に眠っているデータは、AI(人工知能)にとって非常に価値の高い情報源です。これらのデータをAI(人工知能)モデルに連携させることで、需要予測や在庫最適化といった高度な分析を実行できます。
また、既存のシステムで構築されたアプリケーション資産も無駄にはなりません。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて外部のAI(人工知能)サービスと連携させることで、長年培ってきたビジネスロジックを活かしながら最新のテクノロジーを導入できます。例えば、顧客からの問い合わせに対して、IBM i上のリアルタイムな在庫データを参照しながらAI(人工知能)が自動応答する仕組みなどを構築できます。
このように、IBM iを単なる古いシステムとして扱うのではなく、AI(人工知能)を駆動させるための「一意の識別子」を持った信頼できるデータソースとして再定義できます。自社の貴重な資産をAI(人工知能)と融合させることで、次世代のビジネス環境においても競争力を維持し続けることができます。
IBM i担当者が今すぐできる3つのアクション

IBM i担当者が今すぐできる3つのアクションについて、具体的なステップをわかりやすく解説します。AI(人工知能)技術の進化に伴い、システム運用や開発の現場でも新しいアプローチが求められています。既存のシステム資産を活かしながらAI技術を取り入れることが、企業の競争力を高める鍵となっています。ここでは、担当者が取り組むべき具体的な行動を3つの視点から紹介します。
①IBM i World 2026など最新動向に触れる
まずは、IBM i World 2026など最新動向に触れることから始めるのがおすすめです。日本アイ・ビー・エム株式会社が主催するイベントや公式の発表から、最新の技術情報を取得できます。最新のイベントでは、システムとAI(人工知能)の連携事例や今後のロードマップが具体的に示されるため、自社の戦略を立てる上で非常に役立ちます。
また、国が発表している各種調査データから、社会全体のデジタル化の進展を把握することも重要です。例えば、総務省の情報通信白書から、企業におけるAI活用の現状や課題についての客観的なデータを取得できます。こうした公的な情報とベンダーの最新動向を組み合わせることで、自社にとって最適なAI導入のタイミングを見極めることができます。
②IBM Bobなど新しい開発支援の選択肢を知っておく
次に、IBM Bobなど新しい開発支援の選択肢を知っておくことが重要です。IBM Bobは、RPGなどのプログラム言語で記述されたコードの解析や生成を支援するツールとして利用できます。このツールを活用することで、開発者は複雑なコードの構造をわかりやすく可視化できます。
機能の利点として、IBM Bobを導入することで、過去に作成されたプログラムの仕様を迅速に把握できます。さらに、新しい機能を追加する際にも、AI(人工知能)の提案を受けながら効率的にコーディングを進めることができます。以下の表は、従来の開発手法とAIを活用した開発支援の比較をまとめたものです。
| 比較項目 | 従来の開発手法 | AIを活用した開発支援 |
|---|---|---|
| コード解析 | 担当者が手作業で読み解くため時間がかかる | AIの支援を通じて迅速に構造を把握できる |
| 知識の継承 | 属人的なスキルに依存しやすい | ツールを通じて標準化された知識を共有できる |
| 新規開発 | ゼロから手動でコーディングを行う | AIのコード生成支援を受けて効率化できる |
このように、新しいツールを適切に選択して導入することで、開発現場の負担を大幅に軽減し生産性を向上させることができます。
③自社のIBM iデータの活用状況を棚卸しする
最後に、自社のIBM iデータの活用状況を棚卸しすることが不可欠です。AI(人工知能)が正確な分析や予測を行うためには、質の高いデータが欠かせません。そのため、システム内にどのようなデータが蓄積されているか、そしてそれらがどのように管理されているかを正確に把握できます。
データの棚卸しを進める際は、データの正確性や一貫性を確認し、一意の識別子が適切に設定されているかを見直すことができます。また、経済産業省のデジタルガバナンス・コードなどのガイドラインから、企業がデータをどのように資産として管理すべきかの基準を学ぶことができます。現状のデータ構造を整理し、不足している情報やクレンジングが必要な領域を特定することで、将来的なAI連携に向けた強固なデータ基盤を構築することができます。
よくある質問(FAQ)
IBM iでもAIは活用できますか?
IBM iでもAI(人工知能)は活用できます。IBM iとAIを組み合わせることで、業務効率化や開発の生産性向上を実現できます。具体的な活用パターンとしては、以下の表に示す3つのアプローチが挙げられます。
| 活用パターン | 詳細 |
|---|---|
| データの活用 | IBM i内の業務データを抽出し、AIの学習データやRAG(検索拡張生成)のソースとして活用できます。 |
| 開発の支援 | AIアシスタントを用いて、RPGなどのコードの理解や生成、モダナイゼーションを効率化できます。 |
| エージェントの連携 | AIエージェントからIBM iのプログラムやSQLを呼び出し、業務プロセスを自動化できます。 |
これらのアプローチを組み合わせることで、自社の課題に合わせた柔軟なAI活用を推進できます。
IBM Bobとは何ですか?
IBM Bobとは、日本アイ・ビー・エム株式会社が提供する、ソフトウェア開発を支援するAIアシスタントのことです。IBM iの開発においても、RPGなどのレガシーコードの理解や文書化、テストの自動化、モダナイゼーションを支援する機能を利用できます。
開発者の意図やリポジトリの文脈を理解するだけでなく、チャット形式での質問応答やコードの自動生成なども行えるため、開発の生産性を大幅に向上させることができます。また、セキュリティ基準を遵守しながら安全にコードを記述できます。
IBM iのデータをAIで活用するには何が必要ですか?
IBM iのデータをAIで活用するには、データの抽出と連携の仕組みが必要です。具体的には、IBM i上のDb2 for i からデータを安全に抽出し、AIモデルが参照できるクラウド上のデータベースやストレージに連携する手法が一般的です。
また、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じてリアルタイムにデータを取得し、RAG(検索拡張生成)などの技術と組み合わせることで、最新の業務データを踏まえたAIの回答を得ることができます。データの品質を保つために、事前のデータクレンジングや整理も実施できます。
AIエージェントとIBM iはどのように連携できますか?
AIエージェントとIBM iは、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を介して連携できます。AIエージェントがユーザーの自然言語による指示を受け取り、必要な処理を判断してIBM i上のプログラムやSQLサービスを呼び出す仕組みを構築できます。
これにより、在庫の照会や受発注処理などの業務をAIとの対話を通じて実行できるようになり、直感的な操作による業務効率化を実現できます。既存の資産を活かしながら、最新のインターフェースを提供できます。
IBM i× AIについて学べるイベントはありますか?
IBM i× AIについて学べるイベントとして、日本アイ・ビー・エム株式会社が主催する公式イベントや、ユーザーコミュニティが開催する勉強会などから最新情報を取得できます。たとえば、「IBM i World 2026」などのカンファレンスでは、AIを活用したモダナイゼーションの事例や最新ツールのデモンストレーションを確認できます。
定期的に開催されるオンラインセミナーや展示会に参加することで、自社に合った具体的な活用方法をわかりやすく学ぶことができます。イベントの詳細は、公式の案内サイトなどから確認できます。
※「IBM」「IBM i」「Db2」「RPG」「IBM Bob」は、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。
まとめ

2026年は、IBM iとAIの融合において重要な転換点となります。これまで縁遠く感じられていたAIですが、IBM Bobによる開発支援やエージェント型AIとの連携により、実用的な段階へと進んでいます。
IBM iはAIに取って代わられるものではなく、信頼性の高いデータを提供する「AIの燃料タンク」として不可欠な基盤です。まずは最新動向の把握や自社データの棚卸しなど、今できる3つのアクションから着手し、AI時代に向けた準備を確実に行っていきましょう。
DXやRPA、IBMi、セキュリティなど多彩な領域でソフトウェア開発・導入支援・コンサルティングを行い、
技術と発想の力で企業の課題解決と新たな価値創造を支援しています。
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