RPAを導入するメリットとは?
具体的な手順と失敗しないための注意点

 2024.02.06  三和コムテック

深刻な人手不足の状況が続く中、業務自動化を実現するRPAが多くの注目を集めています。RPAの導入を検討しているものの、「RPAのメリット・デメリットが知りたい」「RPAの導入方法がわからない」というケースも少なくありません。本記事では、RPAのメリットや導入手順、注意点などについて失敗事例を交えながら解説します。

RPAの導入で得られるメリットとは

RPAによる業務の自動化は、さまざまなメリットをもたらします。人的ミスの削減、生産性向上、社員のモチベーション向上などが実現し、ひいては企業の売上・利益向上にもつながります。

人的ミスの削減

RPAを導入すると、定型業務の自動化が可能です。手作業で業務を行っている場合、人的ミスの発生は避けられません。その点、手作業で行っていた業務をRPAによって自動化すれば、入力ミスや転記ミスなどの発生を抑えられます。

RPAは、メール送信先の振り分け、書類のスキャン、労働管理のような単純作業を自動化します。単純ながら量が多く、時間もかかるこれらの作業をRPAで自動処理できれば、人的ミスが削減され、業務品質の均一化が期待できます。

業務処理の高速化による生産性向上

RPAは24時間365日稼働できるため、勤務時間や休日などの制限なく作業を進められます。人間と違って疲労などによりパフォーマンスが低下することもないので、社員が手作業で行うよりも、はるかに多くの業務を高速かつ高精度で処理できます。

また、先述の人的ミスの削減にも通じますが、業務の精度が向上することによって、それまで見直しや修正などに割かれていた時間も削減されます。

このように、業務処理の高速化による生産性向上が期待できるのも、RPAの大きなメリットです。

知的でクリエイティブな業務への集中

RPA導入によって一部の業務を自動化した場合、単純作業に割かれる時間や労働力を減らせるメリットもあります。毎日、入力などの業務に約20~30分程度の時間を割いているケースでは、年換算すると累計で約80~120時間もの業務時間が取られていることになります。

たとえ1日あたりの業務時間は少なくても、毎日積み重なれば多くの時間を取られてしまいます。RPAを単純作業に活用することは、業務時間の削減に効果的です。単純作業にかけていたリソースを大幅に削減できるため、浮いたリソースをコア業務やよりクリエイティブな業務に回せます。

社員のモチベーションの向上

単純作業は「飽きやすく集中しにくい」「直接的に売上や利益に関係しない」などの理由から、社員のやりがいにつながりにくい側面があります。

RPAによって単純作業が自動化されると、戦略立案、企画書の作成といった売上や利益につながりやすい業務、社員が自身のスキルを活用できる業務など、社員がやりがいを感じられる業務に取り組める時間が増加します。やりがいのある業務に注力できる時間が増えることで、モチベーション向上にもつながります。

業務効率化によるコストの削減

RPAの導入は、入力やメール対応、書類発行などの自動化を可能にするため、それら業務にかかっていた人件費の削減が期待できます。人員が削減されれば、減らした人数分の給与や残業・休日出勤などの手当も不要になります。さらに、それら業務のために多くの人材を採用する必要がなくなるため、採用費や教育費などのコストも削減可能です。

RPAの導入時には、業務の見直しも行われます。導入後の業務処理の高速化、人的ミスの削減なども業務効率化につながるため、導入・運用にかかるコストを考慮しても、トータルでのコスト削減が期待できます。

RPAを導入・運用する手順

RPAの大まかな導入・運用手順は、以下の通りです。

(1)RPAを導入する業務を選定する
定型的かつ反復的な業務、膨大なデータを扱う業務は、RPA導入に適しています。導入・運用の前に業務プロセスを分析して、自動化できる業務の洗い出しを行いましょう。

(2)RPA導入で得たい効果と業務フローを見直す
業務を選定したあとは、RPAを導入してどのような効果を得たいのかを明確にします。現行の業務フローと工数を見直して課題を見つけ、RPA導入後に期待できる効果、改善できる内容を評価します。

(3)RPAの導入を開始する
「業務効率化」「人的ミスの削減」「人件費削減」などの導入目的を明確にして、適切なRPAツールを選定・導入し、業務自動化を開始します。

(4)運用開始後はチェックと改善を繰り返す
運用開始後は定期的に効果測定を行い、自動化による効果を定量/定性の両面から分析・評価します。効果測定によって明確になった課題点を改善していくことで、さらに費用対効果を高められます。

RPAを導入するときの3つの失敗例

RPA導入前には、事前にRPAの特徴を確認しておくことが重要です。RPAを活用してできることや、適用方法などを押さえて導入しないと、導入後に失敗する場合があります。

失敗事例1.RPAへの過剰な期待からくる失敗

RPAは、新たな「働き方改革の一手」としても注目されています。しかし、RPAを「システム」と捉えて過度な期待を寄せると失敗するおそれがあるため、注意が必要です。

RPAは、システムの構築や導入とは違い、あくまでユーザーが現在行っている処理や作業をなぞる形で自動化します。つまり、システム環境を変えるソフトウェアではなく、既存のシステムを「使う側」のソフトウェアです。仕事を継続的に学習させていくことで力を発揮するため、「RPAによって業務自体が大きく改善する」といった期待をもつと、期待外れな結果に終わりかねません。

失敗事例2.業務プロセスを可視化しないまま適用し誤作動が連発

RPAの処理内容は、開発者が設計したものです。実際の業務では、担当者が属人的な対応で処理しているケースもあるため、個別の対応をよく認識せずに定型的な処理フローを作成すると、いつもと違う処理結果になります。そのため、担当者からのヒアリングなどは慎重に行い、対象業務の選定や実装を行うことが大切です。

また、処理内容の変更や使用システムの変更などは、迅速にRPAに学習させなければなりません。変更を反映させないでいると、いつまでも間違った処理を続けてしまいます。導入時に一度設定して終わりではなく、迅速に修正対応をし続けられる体制が必要です。

失敗事例3.いきなり大規模な展開でプロジェクトがとん挫する

RPAの導入は「スモールスタート」が基本です。大規模な成功事例も多々ありますが、それもスモールスタートで運用を開始し、徐々に適用範囲を拡大した結果です。RPA自体は標準的なツールですが、使える環境や使い方はそれぞれ異なります。各組織の業務に即した導入が必要になるため、徐々に適用させていくことが重要です。

また、日本でRPAが注目され始めたのはごく最近で、RPAの導入実績をもつ企業はまだ多くありません。そのため、システム面と業務面の双方からすり合わせをして、組織に最適な形を見つける必要があります。導入後の運用体制、人材育成にも時間がかかるため、少しずつ広げてゆくことが結果的には近道になります。

まとめ

RPAを導入すると、人的ミスの削減、生産性向上、クリエイティブな業務への集中、社員のモチベーション向上、コストの削減といったメリットが得られます。

RPAを導入する際には、あらかじめ自動化する業務を選定して業務フローの見直しを行い、適切なRPAツールを選定し、運用を開始する、といった手順で行うとスムーズに導入が可能です。

RPAの導入を失敗しないためには、活用方法を確認し、スモールスタートで運用を開始すること、運用開始後も改善を繰り返すことが重要です。

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