業務作業標準化の進め方は?
有効的な5つのステップを紹介

 2024.05.22  三和コムテック

企業の中には、「あの人にしか頼めない・分からない」という仕事がしばしば存在します。しかし、特定の社員の働きに依存していることは、組織として健全な状態とはいえません。そこで重要になってくるのが、業務標準化と呼ばれる取り組みです。本記事では業務標準化とは何か、そのメリット・デメリットや実際の進め方などを解説します。

業務作業標準化の進め方は?有効的な5つのステップを紹介 1

業務標準化とは?

業務標準化とは、業務の手順や方法を統一し、誰が・いつ行っても同じ結果が出るように業務を最適化することです。企業においては、業務の進め方や判断基準が組織として統一されておらず、作業結果やその品質にばらつきが生じてしまうことがしばしばあります。それが極端な形で現れるのが、「この仕事はあの人にしか任せられない・分からない」という業務の属人化です。業務標準化は、こうした作業者ごとの業務手順・品質のばらつきや属人化を抑止することを目的とした取り組みです。

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業務標準化を図るメリット

業務の標準化を図ることで、企業は以下のような効果を期待できます。

生産性が向上する

メリットその1は、生産性の向上です。業務の属人化が放置されていると、担当者の不在時や多忙時などに業務が滞りがちになり、余計な時間ロスや機会損失が発生するおそれがあります。その点、業務標準化を行えば、属人化によってブラックボックス化している業務についてもその内容が明確化されるので、担当者の不在時や離職時などにも、代わりの者がスムーズに業務を引き継いで対処することが可能です。

また標準化により、その業務は組織的な検討の結果、最適な方法と判断された手順やルールに沿って行われることになるので、担当者の裁量に委ねられていた曖昧な部分もなくなり、効率的かつ迅速に処理できるようになるでしょう。

業務品質が向上する

メリットその2は、業務品質の向上です。業務が属人化していると、その業務内容を把握している人がごく少数または1人だけになるので、作業の中に抜けや漏れなどのミスがあっても気付きにくくなってしまいます。最悪の場合、担当者が何らかの不正行為を働いていても、発見が遅れてしまうでしょう。そこまで深刻化していなくても、業務が標準化されていないと、担当者の知識や経験などが業務品質にダイレクトに響いてしまい、たとえば顧客が何らかの問い合わせをしても担当者によって回答が違うなどの混乱が発生しがちです。

その点、業務標準化を行えば、誰もが同じ手順・方法で業務を処理するようになるので、業務品質にばらつきが生じにくくなり、ミスなどのチェックや抑制もしやすくなります。組織全体の業務品質が向上すれば、顧客対応なども高品質に安定しやすくなり、企業としての信頼感や顧客満足度の向上も見込めます。

成果目標を明確化できる

メリットその3は、成果目標を明確化できることです。標準化によって、各業務に必要とされる業務手順・作業時間・コストなどが明確化されれば、その業務に関連して期待される成果目標なども定量的に設定しやすくなります。こうして成果目標が明確化されることで、社員も自分たちにどのような仕事が求められているのかを具体的に把握しやすくなり、モチベーションの向上などが期待できます。

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業務標準化のデメリット

上記のようにさまざまなメリットがある一方で、業務標準化には留意すべきデメリットや注意点もあります。

標準化に向いていない業務もある

デメリットその1は、標準化がしにくい業務もあることです。情報システム部門や研究開発部門、法務部門の仕事のように、企業の中には専門的な知識やスキルが必要な業務もあります。こうした仕事は、「誰もができる」「誰がやっても同じ」というわけにはいかないので、業務標準化を行うのは困難です。また、業務内容が変動しやすい仕事などは、せっかく標準化してもその方法がすぐに使えなくなってしまうので、あまり向いていません。

従業員のモチベーションが低下する恐れがある

デメリットその2は、従業員のモチベーションが低下するおそれがあることです。標準化された業務は、誰が・いつ行っても同じ成果を出せるよう、業務プロセスが画一化・パターン化されます。しかし、この「誰が・いつ行っても」という強みは、人間心理からすると「自分の個性を発揮できない」「やりがいがない」と感じられがちです。そのため、社員のモチベーションを保つには、すべての業務を標準化するのではなく、従業員が力を発揮できるような仕事も一部残しておくことをおすすめします。

業務が改善されにくくなる

デメリットその3は、業務がそれ以上改善されにくくなってしまうことです。標準化された方法が本当に最良なのか、あるいはいつまで有効なのかは、保証されたものではありません。しかし、標準化されたフローに慣れてしまうと、それをさらに改善しようとはなかなか思いにくく、業務改善のサイクルがそこで停滞しがちになります。

業務標準化のための4ステップ

では、業務標準化は一体どのような手順で進めていけばよいのでしょうか。以下では、その進め方を4つのステップに分けて解説します。

1.現状把握と分析を行う

ステップ1は、現状の把握と分析です。自社のどの業務に標準化が必要かを見極めるために、社員へ直接ヒアリングなどを行いつつ、効率性の悪い業務や滞りがちな業務、あるいは属人化している業務などを洗い出します。こうした評価をする際は定性的な調査に依存せず、定量評価による明確な基準を設定することが重要です。

2.優先順位を付ける

ステップ2では、洗い出した標準化すべき業務に対して、さらに優先順位を付けていきます。優先順位を付ける際の基本的なポイントは、緊急性と効果の大きさです。属人化による弊害などがすでに表面化している業務は、真っ先に改善していかなければなりません。また、標準化による効果の大きな業務も、やはり優先的に着手すべきです。すべての仕事を一度に改善するのは現実的に難しく、新しい業務プロセスに対応する社員の負担も大きくなってしまうので、優先順位を付けて段階的に進めるのが大切です。

3.フローを整理・設計する

ステップ3は、既存の業務フローを整理し、それを新しく設計し直すことです。まずは担当者にヒアリングを行い、既存の業務フローをフローチャートなどで見える化します。それから、そのフローチャートを参考に、既存の業務フローに潜む問題を特定・改善し、新しい業務フローを再設計していきます。
新しい業務フローをつくったら、社員がそれにスムーズに適応できるよう、SOP(標準作業手順書)を作成するのがおすすめです。SOPとは、標準化された業務における具体的な作業手順や、守るべきルールなどを記載した指示書のことです。厳密には異なりますが、マニュアルをイメージすると分かりやすいでしょう。SOPは、社員が新しい業務フローに迅速に適応し、安全かつ安定的に高い業務品質を発揮できるようにするうえで役立ちます。

なお、業務によっては標準化による弊害が懸念されることもあるため、標準化する範囲については慎重に検討すべきでしょう。また、イレギュラー時の対応マニュアルや経験が浅い社員向けのQ&Aなども作成しておくとより安心です。

4.効果検証と改善を繰り返す

ステップ4は、効果検証と改善です。標準化した業務フローが必ずしも最適な方法とは限りません。場合によっては、結局現場に馴染まず、いつの間にか元の方法に戻ってしまっていることもあります。したがって、施策の実行後は必ず効果検証をするようにしましょう。

正確かつ客観的に効果検証を行うためには、施策を練る段階で、あらかじめ評価の基準となるKPIを設定しておくのがおすすめです。効果検証によって、さらなる改善の余地を見つけたら、それに対する対策をまた検討し、標準化の効果がより大きくなるようにPDCAサイクルを回していきます。

まとめ

業務標準化は、個々の社員による業務の品質差や属人化を減らし、組織全体の品質と生産性を向上させる取り組みです。この標準化を行うためには、まずは現在の業務をしっかりと理解することからスタートし、その後はPDCAサイクル(計画、実行、評価、改善のサイクル)を継続的に回して改善を重ねていくことが重要です。標準化された業務プロセスは多くの人に共通して利用されるため、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの自動化ツールを導入する際も、少ない労力で大きな効果を期待できるようになります。業務標準化の推進を一度ご検討されてはいかがでしょうか?

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